コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成26年度第12回開催 マイスターチャレンジ 他

1月最終週の開催は、恒例の佐々木竹見カップ・ジョッキーズグランプリと、川崎記念が行われました。竹見カップは、第1戦を制した山崎誠士騎手が見事2度目の総合優勝を果たしました。川崎記念は、ホッコータルマエが盤石の強さを見せ、南関東のサミットストーン、ハッピースプリントも、3、4着と健闘しました。 また、竹見カップ当日の最終レースとして行われた、本企画の冠レース、王者の眼差し賞も含めて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2015年1月27日(火)マイスターチャレンジ

優勝馬 ダークダイナミック

斎藤
山崎騎手のダークダイナミックが1番人気で、その人気通りの勝ち方だったように思いますが、いかがでしょう。
竹見
山崎騎手は地元でもあり、落ち着いて乗っていました。4番手の外の好位からの追走で、直線では御神本騎手のフクジュソウも、勝つかという勢いで伸びていましたが、山崎騎手は最後まで交わさせませんでした。余裕のある勝ち方でした。
斎藤
御神本騎手が2着で、南関東のワンツーでした。
竹見
御神本騎手は、人気の山崎騎手とほぼ同じような位置のラチ沿いを追走しました。4コーナーから直線では、馬群をさばいて空いたところから抜けてきて、うまく乗りました。7番人気で気楽に乗れたこともあると思いますが、位置取りがよかったです。
斎藤
ほかに目立った騎手はいましたか。
竹見
5着でしたが、永森騎手はうまく乗りました。8番枠から後方を追走していましたが、3~4コーナーでは内々を回ってきて、4コーナーではうまく最内を突きました。昨年勝ち鞍が伸びていたように、今年は注目かもしれません。

2015年1月27日(火)ヴィクトリーチャレンジ

優勝馬 トーセンサミット

斎藤
勝ったのは2番人気、山口勲騎手のトーセンサミット。好位からゴール前で抜け出しました。
竹見
山口騎手はラチ沿いの3番手、絶好位を追走していました。4コーナーを回るところでは前が完全に空きました。そこを伸びて来てという、絶好の展開になりました。川崎の4コーナーで内が空くかどうかは運もありますが、それにしても見事な勝ち方でした。
斎藤
御神本騎手はこのレースでも、直線で勝ったかと思えるところでの2着でした。
竹見
御神本騎手は第1戦は7番人気で、今度は8番人気でした。それでもまた2着に来るんですからたいしたものです。直線では先頭に立って、完全に勝ったかと思いましたが、勝ち馬は内ぴったりを回ってきましたから、負けたのはその差のぶんでしょう。それでも2戦ともに騎乗ぶりが目立っていました。
斎藤
山崎騎手は、ここで3着を確保して、優勝を決めました。
竹見
山崎騎手のトーセンハリケーンはもう少し前に行くと思いましたが、前半は後方の位置取りでした。1番枠でラチ沿いを追走していましたが、向正面では外に持ち出して、直線半ばから徐々に進出して、早めに仕掛けていったのがよかったと思います。最後はよく伸びてきました。

2015年1月27日(火)王者の眼差し賞

優勝馬 ケンロクエンペラー

斎藤
勝った森泰斗騎手のケンロクエンペラーは4番手の内、2着岡部騎手のシゲルオオカミザはその直後の外を追走していました。
竹見
逃げたのは吉原騎手で、2頭ともに絶好の位置でうまく流れに乗っていました。3~4コーナーでは岡部騎手が外から先に仕掛けて、直線を向いて先頭に立ちました。このあたりでは岡部騎手が勝ったかと思いました。
斎藤
森騎手は4コーナーまで追い出しを我慢していたようでした。
竹見
4コーナーを回るところでは岡部騎手が外に膨れ気味になって、森騎手はそこからうまく抜けてきました。道中は楽をしていて、追い出しを我慢していたぶんもあったでしょう。それでも、もし岡部騎手が4コーナーで、内で勢いをなくしていた吉原騎手の馬にピタリと併せて回っていれば、森騎手は外に持ち出さなければならず、もしかして岡部騎手が勝っていたかもしれません。直線半ばでは、森騎手のケンロクエンペラーが完全に抜けましたが、シゲルオオカミザもしぶとい馬です。ゴール前、差し返してもう一度差を詰めましたが、惜しい2着でした。

2015年1月28日(水)川崎記念

優勝馬 ホッコータルマエ

斎藤
スタート後、先頭に立ったのはサミットストーンでしたが、外からランフォルセが交わして行きました。
竹見
ランフォルセは折り合いがつかないときがあるので、三浦騎手は無理に抑えずに行かせたのかもしれません。ランフォルセが先頭に立ったところで流れが落ち着きました。サミットストーンの石崎駿騎手は、むしろランフォルセが行ってくれたことで楽に競馬ができたのではないでしょうか。うまく折り合いもつきました。
斎藤
ホッコータルマエは、今回は控えて5番手からでした。
竹見
スタートは出ましたが、今回は勢いがつかなかったのか、それでも自信があったのでしょう。(1周目の)スタンド前では外に持ち出したのがよかったと思います。最後、カゼノコに迫られましたが、着差を測りながらで、ホッコータルマエには余裕がありました。直線ではおそらく一発もムチを入れていません。目標は先にありますから、幸騎手は無理をさせなかったんだと思います。
斎藤
カゼノコがゴール前、3/4馬身まで迫りました。
竹見
カゼノコは、4コーナーでホッコータルマエの直後につけて、終いのいい馬ですから、交わせるかという勢いでしたが、やはり力の差はありました。
斎藤
サミットストーンは直線まで先頭でしたが、粘りきれず3着でした。
竹見
石崎駿騎手は、レースの流れを読めるし、追ってからもいいし、うまい騎乗をします。
斎藤
スタート後、先頭に立ったのはサミットストーンでしたが、外からランフォルセが交わして行きました。
竹見
ランフォルセは折り合いがつかないときがあるので、三浦騎手は無理に抑えずに行かせたのかもしれません。ランフォルセが先頭に立ったところで流れが落ち着きました。サミットストーンの石崎駿騎手は、むしろランフォルセが行ってくれたことで楽に競馬ができたのではないでしょうか。うまく折り合いもつきました。
斎藤
ハッピースプリントも東京大賞典と同じ4着。3~4コーナーで位置取りを下げてしまいました。
竹見
ハッピースプリントは、3コーナーのあたりでちょっともたついた感じがありました。あそこでうまくさばいて、もう少し前に行けていれば、結果は少し違ったものになったかもしれません。昨年3歳前半の大井では外々をまわってレースをしていたので、こういうタイプの馬は内に入れないほうがいいかもしれません。それでもよく4着まで盛り返したと思います。