コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成29年度第9回開催 ローレル賞 他

11月6~10日の開催では、牝馬重賞が2戦行われました。2歳馬によるローレル賞を勝ったのは川崎のゴールドパテック。鞍上は瀧川寿希也騎手で、デビュー5年目での南関東重賞初制覇を地元川崎で達成しました。3歳馬によるロジータ記念は、大井のステップオブダンスが1番人気にこえたえての完勝。鞍上は森泰斗騎手でした。 そして8日の準メインに行われたC1級特別では、昨年2歳時には中央の重賞に挑戦するなど期待を集めたコスモスが7カ月半ぶりの復帰戦を制しました。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2017年11月7日(火)ローレル賞

優勝馬 ゴールドパテック

斎藤
瀧川騎手のゴールドパテックは、控えて3番手を追走しました。
竹見
枠順も内目の3番枠で、好位の内は絶好の位置取りです。
斎藤
ゴールドパテックは直線で弾けました。
竹見
3コーナーあたりから追っていって、前2頭は確実にとらえられると思ったのでしょう、直線を向いたところで、自信を持って外に持ち出しました。瀧川騎手は今回この馬には初騎乗でしたが、終いの脚を生かす競馬をしました。
斎藤
エーデルワイス賞を勝ったストロングハートが人気になっていましたが、2番手を追走して3着でした。
竹見
エーデルワイス賞が1200メートルだったからか、御神本騎手は折り合いをつけるのに苦労しているようでした。ただここを経験して、次は同じような距離でもよくなると思います。門別と同じで慣れている右回りで、直線も長い大井コースのほうがよさそうです。

2017年11月8日(水)ロジータ記念

優勝馬 ステップオブダンス

斎藤
前2頭が飛ばして、ステップオブダンスは3番手でした。
竹見
アップトゥユー、スターインパルスはもともと飛ばしていく馬ですから、その2頭が前で競り合って、2100メートルでもハイペースで縦長の展開になりました。スタンド前でようやく少しペースが落ち着きましたが、ステップオブダンスの森騎手はそこから離れての3番手。実質逃げているのと同じで、前2頭は行くだけ行かせてと思って見ていたと思います。絶好の展開になりました。
斎藤
スターインパルスは向正面で早々と失速、3コーナー過ぎでアップトゥユーをとらえにかかりました。
竹見
森騎手はまだ手応えに余裕がありました。4コーナー手前でハナに立ったのは、タイミング的に少し早かったように思いますが、前がバテているので仕方ありません。それでもまだまだ余裕があったので、後続勢から2頭が抜け出して追ってきましたが、差は詰まりませんでした。このメンバーでは力が違っていました。

2017年11月8日(水)「かわさきパンマルシェ」開催記念

優勝馬 コスモス

斎藤
コスモスは中団よりうしろ、後方3番手からの追走でした。
竹見
おそらくこのクラスなら負けないと思って、山崎誠士騎手は自信を持って、大事に乗ったのではないでしょうか。
斎藤
4コーナーでもまだ10番手あたりでどうかと思いましたが、直線は大外を伸びてきました。
竹見
コスモスの直線での脚色は際立っていました。一完歩の幅がほかの馬とは違います。馬体重がプラス35キロで479キロ。中央の重賞を狙っていたほどの馬ですから、休み明けでもこのクラスでは能力が違っていました。ここを使って、次はまたガラッと変わってくると思います。