コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成28年度第2回開催 かわさきホースライダー創設記念 他

重賞競走が実施されなかった5月9日~13日の開催。初日のメインに行われた、かわさきホースライダー創設記念では、好位追走からディーエスコマンドが直線で抜け出しました。9番人気馬を勝利に導いたのは拜原靖之騎手でした。13日に行われたスパーキングデビューは、6頭立て6番人気のマックスベルンが勝利。鞍上は郷間勇太騎手でした。その最終日のメイン、開成町あじさいまつり特別では1番人気のソウブテイオーが逃げ切って2連勝。鞍上は酒井忍騎手でした。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2016年5月9日(月)かわさきホースライダー創設記念

優勝馬 ディーエスコマンド

斎藤
勝ったディーエスコマンドの拜原騎手は、スタート後の直線ではまわりをうかがいながら内目に入れて4番手からの追走でした。
竹見
行く気を見せた3頭を行かせて、その後ろが空いてることを確認したら、スッと内に入れて絶好位につけました。
斎藤
直線では、前で粘っていた2頭をとらえて抜け出しました。
竹見
直線を向いたところで、4番手の内にいた左海誠二騎手のドリームエルダーが1頭分外に進路を外にとったところ、その前をディーエスコマンドがカットする形になりました。これでドリームエルダーはさらに外に持ち出さなければならず、最後は伸びていますが3着でした。もしドリームエルダーに勢いがあって、ディーエスコマンドの内の隙間にスッと頭だけでも入れることができれば、そのまま伸びて際どい勝負になっていたかもしれません。それにしてもディーエスコマンドは、1コーナーを回るところで4番手の内をとったのは大きかったと思います。それで最後の直線までレースを優位に進めることができました。拜原騎手の好判断だったと思います。

2016年5月13日(金)スパーキングデビュー

優勝馬 マックスベルン

斎藤
郷間騎手のマックスベルンと、石崎駿騎手のシュールと、一騎打ちでした。
竹見
900メートル戦なので、スピードに任せて行くしかないのですが、内枠のシュールが行く気を見せたので、好スタートを決めた郷間騎手は2番手に控えました。2歳の新馬戦ではスタート次第で勝ち負けが決まってしまうようなところはあります。
斎藤
直線で郷間騎手が差し切りました。
竹見
直線を向いたところでは1馬身くらいの差があって、そのままシュールが押し切るかとも思いましたが、マックスベルンは並びかけてから、最後はよく交わしました。それにしても6頭立ての6番人気と5番人気の決着で、2頭とも馬体重が300キロ台ですから、馬の方はまだまだこれから成長してどうか、でしょう。

2016年5月13日(金)開成町あじさいまつり特別

優勝馬 ソウブテイオー

斎藤
ソウブテイオーの酒井騎手は気合を入れてハナを取りに行きました。
竹見
1番のダイワアズール(笹川翼騎手)が好スタートを切って行く気を見せましたが、ソウブテイオーが勢いをつけてきたので、笹川騎手はすぐに2番手に控えました。ソウブテイオーはダッシュ力があります。酒井騎手は無理しても先頭というつもりでいたと思います。
斎藤
ソウブテイオーは、単騎での楽な逃げになりました。
竹見
逃げ馬にマイペースに持ち込まれると、うしろから行く馬には厳しいです。3~4コーナーで後続が追い出しているところ、酒井騎手の手ごたえはまだ楽なまま。直線を向いて追い出されると、そのまま突き放しての完勝でした。今後は2、3番手に控える競馬を教えれば、もっと強くなるかもしれません。このクラスで1500メートル1分34秒台は好時計です。いずれ上のクラスに入っても通用するのではないでしょうか。