コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成27年度第7回開催 戸塚記念 他

9月3日~4日及び7日~8日の開催のメインとして行われた3歳重賞・戸塚記念を勝ったのは、船橋のミスアバンセ。鞍上は、現在南関東リーディング3位と躍進著しい大井の矢野貴之騎手でした。 4日の2歳4組戦で2番手から抜け出して勝利したイーサンコヒバリ、8日の最終レースに行われた金木犀賞を逃げ切ったシゲルナガト、ともに鞍上は瀧川寿希也騎手でした。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2015年9月8日(火)戸塚記念

優勝馬 ミスアバンセ

斎藤
2番枠のアロマベールが内から逃げて、勝ったミスアバンセは差のない外の3番手につけました。
竹見
アロマベール、吉原騎手のドライヴシャフト、ミスアバンセが先行する形になって、前3頭ともがすぐに抑えたので、1周目のスタンド前ではペースが落ち着きました。何頭か掛かる馬がいたなか、後方からクラバズーカー(山崎誠士騎手)が一気に押し上げて来ましたが、1~2コーナーでペースが上がって、前の隊列はほとんど変わりませんでした。
斎藤
直線では、ミスアバンセが突き抜けるかという勢いでしたが、内のアロマベールも食い下がりました。
竹見
ミスアバンセはもともと素質のあった馬で、連勝して力をつけてきました。このあとロジータ記念ではおそらく1番人気になるでしょう。アロマベールの澤田騎手は、逃げて自分でレースをつくって、直線バテそうになるところをよく2着に粘らせました。内枠から先行できて、道中も楽なペースで行けたので、そのぶん最後まで粘れたと思います。
斎藤
1番人気のストゥディウムは6着でした。
竹見
ストゥディウムは最後方からの追走で、3コーナーから仕掛けて行きましたが、中団まで(6着)。58キロを背負っていたこともありますが、春から使い詰めで、今回は厳しい競馬になりました。

2015年9月4日(金)2歳4

優勝馬 イーサンコヒバリ

斎藤
瀧川騎手のイーサンコヒバリは、12頭立て9番枠で、まわりの出方を見ながら2番手につけました。
竹見
7番のビジョヒメが先頭に立って、イーサンコヒバリは無理には行かず、ビジョヒメを見ながらの追走でした。増田充宏騎手のブルーレイズがラチ沿いの3番手で、この馬もいい位置につけています。
斎藤
3~4コーナーでは外から真島騎手のドリームキングが仕掛けてきて、イーサンコヒバリと追い比べとなりました。
竹見
瀧川騎手は1番人気ということもあって、自信を持って乗っていました。追い出されると、直線半ばから差を広げています。瀧川騎手は、スタートもいいし、行くときは思い切って行くのがいいところです。
斎藤
増田騎手のブルーレイズが差を詰めて2着でした。
竹見
うまく乗ったのが増田騎手です。3コーナーあたりでは外から行く馬を先に行かせて、4コーナーを回るところで外に持ち出しました。最後までしっかり伸びていました。

2015年9月8日(火)金木犀賞

優勝馬 シゲルナガト

斎藤
シゲルナガトの瀧川騎手は、スタートから気合を入れてハナを取りに行きました。
竹見
水が浮いたような馬場では前に行ったほうが断然有利です。瀧川騎手は、ハナを取ったらすぐに抑えました。
斎藤
向正面では縦長の展開になって、3コーナー過ぎで並びかけてきたのは、2番手の繁田騎手、アジャーニだけでした。
竹見
4コーナー手前で2頭が並んだあたりでは、アジャーニのほうが楽な手ごたえだったので、そのままの勢いで抜け出すと思いましたが、逆にシゲルナガトが直線半ばから突き放しました。シゲルナガトは少しコズんでいるようなところがあるらしいのですが、雨馬場ならあまり気にならないのでしょう。今回は馬場も味方しました。もともとこのクラス(C2)では力は上だったと思います。瀧川騎手は逃げ馬に乗ったときにもいいレースをします。