コラム
佐々木竹見・王者の眼差し
佐々木竹見(ささき たけみ)
元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。
平成27年度第4回開催 スパーキングレディーカップ 他
6月29日~7月3日の開催でメインとして行われたスパーキングレディーカップは、戸崎圭太騎手のトロワボヌールがゴール前で抜け出して勝利。連覇を狙ったサウンドガガが2着で、断然人気のサンビスタは3着でした。 期間限定で川崎に所属し、活躍していた赤岡修次騎手は、この週が川崎競馬場での最後の騎乗となりました。スパーキングレディーカップ当日の最終レース、彦星特別では、6番人気のストロングジーンを勝利に導きました。 最終日のメイン、七夕特別をバーンザワールドで制したのは、山崎誠士騎手でした。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)2015年7月1日(水)スパーキングレディーカップ
優勝馬 トロワボヌール
- 斎藤
- サウンドガガが逃げて、カイカヨソウが2番手、その後ろにサンビスタとトロワボヌールが続きました。
- 竹見
- サウンドガガはさすがにダッシュ力があるので楽に先頭に立ちました。武豊騎手も迷いはなかったでしょう。トロワボヌールの戸崎騎手は、スタート後の直線では外に出す様子がなかったので、枠順的にもおそらくインコースを狙っていたのかもしれません。ラチ沿いの3、4番手でずっと我慢しての追走でした。
- 斎藤
- 4コーナー手前では、手ごたえ的にサウンドガガが逃げ切るかと思いましたが。
- 竹見
- 本来であれば、3コーナー過ぎあたりからサンビスタがサウンドガガをとらえに行くところですが、サンビスタの手ごたえがよくなかったですね。直線では伸びませんでした。
- 斎藤
- トロワボヌールは直線で内から差し切りました。
- 竹見
- 手ごたえ的に、トロワボヌールは外に出してもおそらく勝っていたと思いますが、よく内から伸びました。サウンドガガはこれで負けたのでは仕方ないと思います。直線を向いたところでは外からサンビスタが来ていたので、武騎手は外に併せに行ったのかもしれません。そのぶん内が空いてトロワボヌールには進路が開けました。戸崎騎手には運もありました。
2015年7月1日(水)彦星特別
優勝馬 ストロングジーン
- 斎藤
- ストロングジーンの赤岡騎手は、大外枠から2番手につけました。
- 竹見
- 赤岡騎手はスタートからムチを入れて位置を取りに行っています。外枠ですから、控えてしまうと内の馬に行かれて位置取りが悪くなってしまいます。主張して2番手を取りに行ったのが結果につながりました。
- 斎藤
- 直線では1番人気のジョーチャーリーを振り切って勝ちました。
- 竹見
- ジョーチャーリーの東川騎手も、ゴール前は空いた内からよく伸びてきました。ストロングジーンは、普通なら差し切られていたところですが、この馬が来たことでゴール前もうひと伸びしていました。
- 斎藤
- 赤岡騎手はこの翌週の大井の開催まで、期間限定騎乗で30勝以上を挙げました。
- 竹見
- 赤岡騎手は普段小回りコースで乗っていることもあって、コースの内目を通って早め早めに行きます。カーブのきつい川崎の4コーナーや大井の内回りの4コーナーでは、ほかの騎手が外に膨れるところを、内を突いて勝ったことが何度かありました。すばらしい活躍でした。
2015年7月3日(金)七夕特別
優勝馬 バーンザワールド
- 斎藤
- 的場騎手のノボキャビアが思い切って逃げました。
- 竹見
- スタート後、的場騎手はムチを入れて行きました。内枠だったので包まれたくないと思って行ったのでしょう。逃げることはあらかじめ考えていたのかもしれません。それで前がかなり速くなりました。先頭の的場騎手だけでなく、外から来た2、3頭も追いかけて行ったことで先行争いが激しくなり、ペースが速くなりました。
- 斎藤
- 勝った山崎騎手のバーンザワールドは中団よりうしろからの追走でした。
- 竹見
- 山崎騎手がスタートしてすぐに控えたのは、前が速いと思ったのでしょう。結果的にベストの位置を追走することになりました。ペースが落ち着いた向正面から徐々に位置取りを上げています。
- 斎藤
- 4コーナー手前でも的場騎手のノボキャビアが単独先頭で、後続とはまだ差がありました。
- 竹見
- あのあたりではノボキャビアが逃げ切るかと思いました。直線半ばでもまだまだ3、4馬身の差がありましたが、さすがに最後は一杯になりました。山崎騎手は向正面から早めに位置取りを上げてきていたのがよかったと思います。2着に来たオイダシダイコの左海騎手もうまく乗りました。向正面では、勝ったバーンザワールドよりさらにうしろにいましたから、やはり前のペースは速かったです。