重賞レース

第17回川崎マイラーズ(SIII)

2025年1月3日

レースガイド RACE GUIDE

南関東で実施される新年最初の重賞。
新たな競走体系構築により2024年から施行時期が5月から1月に変更となり、頂点のかしわ記念(JpnI)に向かう上半期の古馬ダートマイル路線、始動のレースとなった。
半数の8頭がこのレースで重賞初制覇を挙げており、新星誕生の期待も高い。
【1・2着馬に京成盃グランドマイラーズ競走への優先出走権を付与】

コースガイド

4コーナーのポケットから発走し最初のコーナーまで500mあり、さほどハイペースにはなりません。差し馬にとってはカーブがきつい3コーナーでうまく立ち回ることが求められます。

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大井所属の重賞実績馬が軸 2枠が断然、1・4枠が続く

※データは過去10年(2015~2023年5月実施、2024年は1月実施時)のデータを対象にした。

伏兵の台頭に注意

 三連単万馬券決着が5回、1~4番人気で3着内を独占したのは4回。
 単勝1番人気は4勝2着1回3着1回でまずまず信頼出来るが、2~4番人気は一長一短。
 6番人気以下の馬が1勝2着4回3着3回、さらに5番人気馬も含めると半数近い14頭が馬券に絡んでおり伏兵の台頭には十分注意したい。

【単勝人気別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1番人気 4 1 1 4 50.0 % 60.0 %
2番人気 1 1 2 6 20.0 % 40.0 %
3番人気 1 3 0 6 40.0 % 40.0 %
4番人気 1 0 1 8 10.0 % 20.0 %
5番人気 2 1 3 4 30.0 % 60.0 %
6番人気以下 1 4 3 72 6.3 % 10.0 %

大井所属馬を中心視

 大井所属馬が2019年の1~3着独占を始め、2016年以外は毎年3着内に1頭以上絡んでおり、5勝2着5回3着5回、連対率29%、複勝率44%なら馬券の中心として考えたい。内12頭には重賞勝ちの実績があった。
 船橋所属馬は1勝2着3回3着2回、浦和所属馬は3勝2着1回3着はゼロ。共にここ7年では馬券に絡んだのは5番人気以内馬に限られる。
 地元川崎所属馬は2022年こそワンツーを決めたが、それ以外では3着3頭と奮わない。

【所属別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
大井 5 5 5 19 29.4 % 44.1 %
船橋 1 3 2 22 14.3 % 21.4 %
浦和 3 1 0 25 13.8 % 13.8 %
川崎 1 1 3 34 5.1 % 12.8 %

5歳馬VS4・6歳馬が好成績

 5歳馬が4勝2着2回3着1回と頭1つ抜け出しているが、4歳馬・6歳馬もこれに劣らない。
 7歳馬は4勝2着1回と一発の魅力を秘める。
 牝馬は9頭が参戦しているものの、女傑クラーベセクレタ(2013年3着)を最後に馬券に絡めていない。

【馬齢別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
4歳 1 2 2 15 15.0 % 25.0 %
5歳 4 2 1 14 28.6 % 33.3 %
6歳 1 3 3 18 16.0 % 28.0 %
7歳 4 1 0 23 17.9 % 17.9 %
8歳以上 0 2 4 30 5.6 % 16.7 %

2枠が断然。4枠も押さえておきたい

 川崎1,600mは1コーナーまでの距離が長く、ペースが鍵となるが逃げ馬が2勝2着1回3着1回、2番手の馬が2勝2着3回と健闘している。
 加えて鍵となってくるのが枠順で、2枠が2勝2着4回3着2回と複勝率80%と特筆すべきものになっている。
 4枠も3勝2着2回3着2回(1・1・5・5・8・8・8番人気)と人気にかかわらず押さえておきたい。
 最内の1枠が3勝3着1回でこれに続くが、一方の8枠は2着1回のみの複勝率5%と厳しい。

【枠順別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1枠 3 0 1 6 30.0 % 40.0 %
2枠 2 4 2 2 60.0 % 80.0 %
3枠 1 1 0 14 12.5 % 12.5 %
4枠 3 2 2 10 29.4 % 41.2 %
5枠 0 0 3 15 0.0 % 16.7 %
6枠 1 1 0 17 10.5 % 10.5 %
7枠 0 1 2 17 5.0 % 15.0 %
8枠 0 1 0 19 5.0 % 5.0 %

重賞勝ち実績馬に注目

 5月開催時はフジノウェーブ記念(2~3月・大井1400m)、ブリリアントカップ(4月・大井1800m)出走馬や、近2走内に1500~1600mのオープン特別を優勝していた馬が数多く馬券に絡んでいた。
 正月開催に移行された昨年は12月開催の重賞・オープンからの転戦馬が1~3着となったが、2回目となる今回はどうなるだろうか。
 川崎初参戦だった馬が3勝2着2着1回3着1回、川崎2回目の馬も2勝2着2回3着3回と順応しており、コース経験は不問。
 2016年を除き毎年重賞勝ち実績馬(計18頭)が馬券に絡んでおり、近走不振で人気を落としていてもその実力を加味しておきたい。
ライター:友好春

アランバローズ

スパーキングマイラーズチャレンジ(2024/12/10)

リンゾウチャネル

勝島王冠(2024/12/04)

ギャルダル

トパーズ賞競走(2024/11/07)

デュードヴァン
ムエックス

マイルグランプリ競走(2024/10/16)

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

第17回川崎マイラーズ(SIII)

注目馬情報

アランバローズ(牡7歳 船橋・林正人厩舎)

写真:真鍋元

 非凡なスピードを武器にして、2歳時にはゴールドジュニア、ハイセイコー記念、全日本2歳優駿を制してNARグランプリ2歳最優秀牡馬に選ばれ、東京ダービーでは堂々たる逃げで戴冠。430キロ台の小さな馬体でタフに駆け抜けた。馬体は大きく成長したが、テンのスピードを生かせず失速するシーンもあり、陣営は蓄積した疲労をとるために手間をかけ、徐々に快復。前走のトライアル戦では以前のような速くて強い走りを再び見せた。川崎コースは適性もあり、自分のペースで気持ちよく行けるかどうかが鍵になる。

「最近調子いいんでスピードを生かせてますが、重賞になるとテンの速さも違うので、あとはあの馬のレースができるかどうか。展開にも左右されますね。ここ何走かは自信を持って行けているし、しっかり走りきっています。馬に自信を取り戻させるように乗っています。メンタルが強化しているのがわかるし実になっていると思います」と笹川翼騎手。

デュードヴァン(牡8歳 大井・坂井英光厩舎)

写真:真鍋元

 中央からの移籍後は歯がゆいレースが続いて適性距離を探りつつ使われてきたが、時期を正月に移行した昨年の川崎マイラーズでは、アランバローズの逃げを先行馬たちが追いかける淀みないペースのなか、直線外から強襲してまとめて差し切って優勝。これが重賞初制覇となった。夏にはサンタアニタトロフィーも制して飛躍の1年だった。いずれも戴冠は距離マイルでのもの。スピード馬が多く出走してくることもあって展開も向きやすいのだろう。

「マイルグランプリのあとは牧場に出していて状態は悪くないんだが、最終追い切りがしっくりこなかった。時計のわりに動きが今ひとつだったように感じた。前走も中団あたりでレースをするつもりがハナの後ろに行ってしまった。以前は砂を被って嫌がっていたのに、最近は砂を被っても掛かるようになっている。今回はブリンカーを外すことでちょうどよく改善されると思う」と坂井英光調教師。

ムエックス(牡6歳 船橋・張田京厩舎)

写真:真鍋元

 昨年4月から7連勝でオープン入りするまでに出世した。2023年秋に中央から移籍して以来、一度も馬券圏内を外しておらず安定感は抜群。前走のマイルグランプリでは南関東トップマイラーの僚馬スマイルウィにコンマ2秒まで迫る充実のレースぶり。川崎コースは二度目になるがその際は先行策で2着。逃げ、先行、差しと自在に立ち回るレース巧者だ。

「スタミナ、スピード、瞬発力、全体にパワーアップしている。一戦ごとにどんどんというより少しずつ少しずつ良くなってきた感じ。競馬に対して前向きな性格が良いよね。マイルはいいけど重賞だとスピードが問われるね。今回は10月以来のレースだからね」と張田昂騎手。

ギャルダル(牡7歳 船橋・川島正一厩舎)

写真:真鍋元

 東京ダービー2着後は足踏みが続いたが、2023年のオープン特別を足がかりにフジノウェーブ記念を連覇。左回りは少し外に張るところがあるが、昨年のこのレースでは速い流れを自分のリズムは崩さず追走し、逃げ切り態勢にあるアランバローズをゴール前で捕らえたところで勝ち馬デュードヴァンの強襲に遭った。足下をすくわれる悔しいレースになったことで昨年のリベンジを期待したい一戦だ。

「昨年は人気になっていたのに悔しい結果だった。休み明けを2度使い、この中間もしっかり3本乗って体調面はすごくいいよ。ゴールドカップか川崎マイラーズの選択肢で川崎マイラーズを選んだ。馬が自信をつけたのか顔つきが凜々しくなったのを感じる。妹のプラウドフレールが東京2歳優駿牝馬を勝ったところだし、兄貴としても頑張りたいよね」と兄妹を担当している秋葉文勝厩務員。

リンゾウチャネル(牡9歳 大井・荒山勝徳厩舎)

写真:真鍋元

 3歳時には道営三冠馬に輝いた実力馬。その後園田の楠賞を勝って大井に移籍した。古馬になってからはオープン特別(準重賞含む)を4勝。しかしながら重賞になると2着、3着が多く、勝ちきれないレースが続いている。これまで騎乗したジョッキーたちが口を揃えるのは乗り難しさ。それも年齢と共に解消しつつあるようで、残る課題はゲートの悪さ。スタート五分に出てレースができるようだと距離マイルの適性も生かせることだろう。

「前走は休み明けということもあり、スタート出なくて結果6着。川崎コースとの相性もいいし、今回の追い切りでは動きが良かったし、馬体もシャープになっている。以前は難しかった気性面もだいぶ良くなってきていると思うよ」と荒山勝徳調教師。

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

写真:真鍋元

 川崎マイラーズは昨年から時期が移行されて、南関東新年最初の重賞レースとなった。1、2着馬には3月に実施される船橋・京成盃グランドマイラーズへの優先出走権が与えられる。今年は12頭が参戦した。

 アランバローズの逃げに、ムエックスが続き、内にギャルダル、コンシリエール、リンゾウチャネルと人気どころが先団を固めるかたちになった。向正面に入るとこの5頭が後続を大きく引き離し、全体的にもかなりの縦長状態。

 勝負どころから動いたムエックスが4コーナー先頭に。直線も独走状態でそのまま押し切った。

 2着にはイン3番手にいたギャルダル。3着にも先行集団で競馬をしたリンゾウチャネルが入って確定。

 勝ちタイムは1分42秒3(曇・良)。

写真:小川慎介

1着 ムエックス

 スタートダッシュが良く、無理なく外2番手の絶好のポジション。道中はアランバローズをぴったりマーク。直線早めに先頭に立つとあとは独走状態。後続に5馬身差をつける圧勝で重賞初制覇。

<張田京調教師>
 マイルグランプリのあとはいい休養になりましたね。7連勝して、重賞にもぶつけていって、どこまでやれるのかと半信半疑で来たんですが、重賞では思った以上の競馬だったんで、あとはタイトル獲るしかないと狙ってきました。引っかかるところがあるんで砂を被った方がいいと思っていたんですが、昂は状態の良さを感じたからあの位置につけていったんだと思う。あれ以上掛からなければいいと思って見ていました。休養して思った以上に腰の方が良くなっていたんでしょうね、最後も強かった。7連勝したときにこの馬にはタイトルを獲らせてあげたいと思っていましたから余計にうれしい。7歳だけどまだこれからの馬。次は報知グランプリの予定だけど若干長い1800mでもうまく乗ってくれれば大丈夫でしょう。

<張田昂騎手>
 休み明けで不安要素もあったんですけど、期待以上の走りをしてくれました。イメージより前で競馬をしたんですが、道中も終始手応えよく気持ちよかったですね。タイトルをプレゼントしてあげられました。大晦日の重賞に続いて新年最初の重賞を勝つことができて、こんなこともあるんですね。新年とか年末とか関係なく仕事をしているんですが、こういう姿を見せられて本当にうれしいです。

2着 ギャルダル

 好枠を生かし、イン3番手とロスのない立ち回り。じっくりためて直線よく伸びたが、昨年に続きまたしても2着。

<矢野貴之騎手>
 イメージ通りの競馬でしたけど、もう少し我慢できれば良かったですね。3、4コーナーでリンゾウチャネルの圧を感じて動くしかなくなった。もっとラクに2着はあったと思います。よく粘った2着。ここ2戦より内容は良いと思います。

3着 リンゾウチャネル

 課題のスタートも決まり、5番手の位置取り。先行集団で競馬ができた。直線もしっかり脚を使って馬券圏内。今年9歳になるが元気いっぱいの走りを見せた。

<安藤洋一騎手>
 9歳だけど馬は若いですね。返し馬ではこれまで以上の具合の良さを感じました。ベストはマイルですね。1800mだと後ろからになってしまうので。御神本さんがペースをつくっていたんで遅く感じたくらいでしたが速かったんですね。ラクにあの位置につけられました。

4着 コンシリエーレ

 中央からの移籍緒戦。1年以上ぶりの競馬だった。揉まれることなく、自分のかたちで競馬をしていたが、追い出してからの反応が今ひとつだった。

<御神本訓史騎手>
 外にモタれながら走っていたし、休み明けの分もあると思います。(ノドの)手術して初めてですからね。外向きながら走っていたのは苦しかったからだともいます。距離はマイルがギリギリでしょうか。

5着 オメガレインボー

 ゴールドカップから中1週での強行軍。前とは大きく離されての追走も、自分のペースを守りながら後半の追い上げは見事なもの。5着入線も、2着とはコンマ1秒差。

<野畑凌騎手>
 いい感じで来てましたね。雰囲気は良かった。前回の浦和あたりからだいぶ馬が復活してきた感じです。次はもっと良い勝負ができると思いますよ。

6着 デュードヴァン

 昨年の覇者。後方から終いに懸けたが、前がなかなか止まらなく、追い込みが決まらなかった。

<本田正重騎手>
 調子は悪くなかったんですが、ちょとモタれながらの走りでしたね。ブリンカーを着けていると引っかかるからと今回は外したんですけど、着けていた方がよかったかもしれない。最後も脚は使ってますけど切れてはないんで、脚をためきれなかったぶんが大きいですね。

7着 アランバローズ

 単騎逃げと、自分のかたちで競馬はしたが、直線の止まり具合からすると見た目以上にマークがきつかったようだ。

<笹川翼騎手>
 逃げ馬の宿命ではありますけど、厳しい展開になりましたね。結果的に枠も悪かった。2、3番でもいいんですけど、あの枠だと行くしかない。みんな僕の馬を目がけてきてますからね。今日はきつい展開でした。

8着 ゴールドホイヤー

 自在な脚質だが、今回は出たなりの位置取り。ムラな面もあるが、もう8歳馬で、以前のような迫力ある走りは見られなかった。

<山崎誠士騎手>
 ダートグレード競走並みの速い流れだった。

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
16 令和5年 デュードヴァン 牡7 御神本 訓史
15 令和5年 アイウォール 牡4 森 泰斗
14 令和4年 ファルコンビーク 牡5 本田 正重
13 令和3年 モジアナフレイバー 牡6 真島 大輔
12 令和2年 グレンツェント 牡7 森 泰斗
11 令和元年 キャプテンキング 牡5 坂井 英光
10 平成30年 ウェイトアンドシー セ7 今野 忠成
9 平成29年 リアライズリンクス 牡7 的場 文男
8 平成28年 モンサンカノープス 牡5 矢野 貴之
7 平成27年 ソルテ 牡5 吉原 寛人
6 平成26年 サトノタイガー 牡6 町田 直希
5 平成25年 スマートジョーカー 牡6 御神本 訓史
4 平成24年 カキツバタロイヤル 牡6 石崎 駿
3 平成23年 ザッハーマイン 牝6 的場 文男
2 平成22年 イーグルショウ 牡6 坂井 英光
1 平成21年 ノースダンデー 牡4 左海 誠二