重賞レース

第28回クラウンカップ(SIII)

2025年4月8日

第74回川崎記念(JpnI)

レースガイド RACE GUIDE

南関東で2025年度に行われる最初の重賞レース。
2015年には三連単618万3360円の配当となるなど波乱も多い3歳重賞。
同じ川崎1,600mを舞台としたトライアルレースつばき賞(2020年からは椿賞)の勝ち馬が再度好走する傾向があるが、2024年は椿賞の翌日に重賞・ネクストスター東日本(1,400m)が行われ、そこからの転戦馬が2頭馬券に絡んだ。
【1着馬に東京ダービーへの優先出走権を付与】

コースガイド

4コーナーのポケットから発走し最初のコーナーまで500mあり、さほどハイペースにはなりません。差し馬にとってはカーブがきつい3コーナーでうまく立ち回ることが求められます。

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椿賞勝ち馬か、重賞参戦馬の巻き返しか 波乱の期待大

※データは過去10年分(2014~2023年)を対象にした。

6番人気以下の激走で波乱の期待大

 1番人気こそ3勝2着1回3着1回とまずまず信頼できる数字だが、2~5番人気馬が揃って、2勝以下・連対率30%以下と信頼に足りない。

 1~5番人気で1~3着を独占したのは3回しかなく、それ以外の7回は6~12番人気以下が激走している。

 8回は三連単万馬券決着で、内3万円以上が6回、2015年は618万3360円と大波乱となっている。

【単勝人気別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1番人気 3 1 1 5 40.0 % 50.0 %
2番人気 2 1 0 7 30.0 % 30.0 %
3番人気 1 1 4 4 20.0 % 60.0 %
4番人気 1 0 1 8 10.0 % 20.0 %
5番人気 1 2 1 6 30.0 % 40.0 %
6番人気以下 2 5 3 71 8.6 % 12.3 %

浦和VS船橋の構図も、大井・川崎の人気薄を一考

 浦和所属馬が5勝2着1回3着2回。これは全て近8年間によるもので、1・1・2・3・4・5・5・7番人気だった。勢いがある。

 連対率・複勝率なら船橋所属馬。4勝2着6回3着1回。近7年連続で馬券に絡んでいる(1・1・2・2・3・3・3・5・6番人気)。

 上位人気馬から選ぶなら船橋所属馬か浦和所属馬が良さそうだ。

 大井所属馬の1~3番人気は全て着外。その代わり、10年で勝ち馬は無いが5・10・12番人気の3頭が馬券絡み。出走してきたら人気薄から穴馬を探したい。

 地元川崎所属馬は出走頭数が多い割に1勝2着2回3着5回といまひとつだが、1・3・3・8・8・9・11・12番人気と両極端。こちらも穴馬に注意したい。
【所属別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
大井 0 1 2 17 5.0 % 15.0 %
船橋 4 6 1 23 29.4 % 32.4 %
浦和 5 1 2 22 20.0 % 26.7 %
川崎 1 2 5 39 6.4 % 17.0 %

断然牡馬

 牝馬は9頭が参戦し、2016年3戦全勝で挑んだディーズプリモの3着があるのみ。

 一線級牝馬は直前に行われている桜花賞に参戦している事が多く、余程の事がない限り厳しい。

【性別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
牡馬 10 10 9 93 16.4 % 23.8 %
牝馬 0 0 1 8 0.0 % 11.1 %

内枠は買い目に入れておきたい

 勝ち馬は2~7枠から万遍なく出ているが、連対率で見ると1~4枠が20%超えに対し、5~8枠は11%。

 1~4枠が馬券に絡まなかったのは2022年の1回しかなく、買い目には入れておきたい。

【枠順別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1枠 0 2 1 7 20.0 % 30.0 %
2枠 2 0 2 5 22.2 % 44.4 %
3枠 1 2 0 12 20.0 % 20.0 %
4枠 2 2 2 13 21.1 % 31.6 %
5枠 1 0 1 17 5.3 % 10.5 %
6枠 3 0 2 14 15.8 % 26.3 %
7枠 1 1 1 17 10.0 % 15.0 %
8枠 0 3 1 16 15.0 % 20.0 %

椿賞勝ち馬か、重賞参戦馬の巻き返しか

 2018年から同じ川崎1600mを舞台としたつばき賞(2020年からは椿賞)がトライアルレースとなり、近6年はその勝ち馬が4勝3着1回、2着馬も2頭が再度2着になっている。

 2024年は同じ3月川崎開催時にネクストスター東日本(SIII、1400m)が実施され、椿賞ではなくここからの転戦馬(3・4着馬)が2・3着となった。

 今年のネクストスター東日本は浦和で施行されるため、再び椿賞からの転戦馬に注目してよいのではないだろうか。

 他では京浜盃出走組が3勝3着4回と好相性。4・6・7・8・10・11・12着からの巻き返しで警戒が必要だ。

 雲取賞出走組は1勝止まりも2着5回3着3回。ただ2024年から同レースがダートグレード競走となった事で傾向が変わる可能性がある。

 ニューイヤーカップ出走組は3勝2着4回3着3回。三連単618万と大荒れとなった2015年1・2着馬はニューイヤーカップ出走組だった。ちなみに同レースで3着以内だった馬は9頭中、馬券に絡んだのは4頭止まり。巻き返しに注意したい。

 穴馬を探す際に注意したいのは、近2走で4着以内がなかったのは2018年1着スプリングマンと2023年2着ナイトオブバンド(2走前は中央芝に参戦、3走前に盛岡で2着有り)の2頭のみで大敗続きからの一変は難しい。

 最後に、前走から騎手が替わった馬が2024年を除き毎年馬券に絡んでおり、8勝2着3回3着4回で計15頭もいる事を付け加えておく。
ライター:友好春

プレミアムハンド

京浜盃競走(2025年3月26日)

ケンシレインボー

アクアマリンC(2025年3月13日)

ドリームジャパン
ヤギリケハヤ
ゴールドモーニン

椿賞(2025年3月5日)

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

第28回クラウンカップ(SIII)

注目馬情報

ドリームジャパン(牡3歳 川崎・高月賢一厩舎)

写真:真鍋元

 デビューから3戦とまだキャリアは浅く、新馬戦を快勝したあとは管骨骨折で8ヶ月もの長期休養を余儀なくされた。2月の復帰戦ではスタートの悪さをカバーするように二の脚で追い上げて完勝。素質の高さを披露した。前走はそのぶんの疲労もあったが、調教タイムが示すようにすっかり調子を戻して本領発揮といきたい。

「馬場が悪かったので追い切りは馬なりにしたが、それでも良い時計が出たね。新馬戦の段階で矢野騎手からは高い素質を感じると聞かされていた。前走は少し疲れがあったぶんの3着。そこから良い感じに上昇してきている。成長分も見られ、どこからでもレースができるのが強み」と高月賢一調教師。

ヤギリケハヤ (牡3歳 船橋・張田京厩舎)

写真:真鍋元

 トライアルの椿賞ではスピード値の高さを発揮して1位入線で権利を獲得した。これまで4勝したうちの2勝は川崎コースで適性も十分。2歳時に重賞に挑戦するも善戦止まりだったが、休養を挟んで成長を見せる。今年に入ってからはマイル中心のローテーションで、先行、差しと位置にこだわらず自在な立ち回りで結果を出して充実してきている。1600m戦も3戦2勝、2着1回と距離適性は十分。今の状態なら重賞レースでも大いに期待できそうだ。

「大人しくてすでに完成型なのかな。操縦性もいいからレースはしやすい。ただ、これまでは相手に恵まれてきた気もするね。今回の相手関係を見ると先に行けないもしれない。(砂を)かぶってもレースはしてきているし、先行にこだわらなくても良いと思っている」と張田昂騎手。

プレミアムハンド (牡3歳 浦和・小久保智厩舎)

写真:真鍋元

 トライアルの椿賞で2着に入りクラウンカップの出走権を獲得。前走の京浜盃では流れに乗れずに大敗したが、左回りコースのマイルで再びのチャンスを狙う。若武者賞や平和賞では3着と上位に健闘。雲取賞では4コーナー大外を回って5着まで追い上げた。まだ走りに集中せず精神的に幼い面もあるが、すでに14戦積んでいる豊富なキャリアでカバーする。

「前走の京浜盃は不利とされる1700mの外枠で、リズム良くレースができなかった。距離は幅広くこなせそうなタイプ。器用さはそうないけど、跳びが大きくてバテない強みがありますね。終いは確実に伸びてきます」と笹川翼騎手。

ケンシレインボー(牡3歳 船橋・佐藤裕太厩舎)

写真:真鍋元

 佐藤裕太調教師が期待する素質馬の1頭。430キロ台の小柄ながら均整の取れた馬体が魅力。心身共に成長途上ではあるが気持ちが強くどんな競馬にも対応できる自在性がある。鎌倉記念は3着、ニューイヤーカップは4着と好位で折り合う競馬ができていたし、前走の東京湾カップTRの特別戦では3コーナー過ぎて早くも先頭。距離が長くなっても対応できそうだ。

「権利を獲った東京湾カップ一本を目標にして向かおうと思ったんですが、あまりにも元気が良く調子がいいのでクラウンカップも使おうということになりました。距離延びても味が出るタイプ。1600~1800mが合うだろうし、操作性が良いので流れに応じたレースができるのが魅力です。充実はしてますがまだ伸びしろはあると思います。身体も小さく仕上がりは早いタイプでハナにこだわりません」と佐藤裕太調教師。

ゴールドモーニン (牡3歳 川崎・岩本洋厩舎)

写真:真鍋元

 ぶっちぎりのデビュー戦が印象的だったが、すでに8戦キャリアを積んでモマれる競馬も経験してきた。デビュー当時は遊びながら走るような幼さも見せたが、後方からになった若武者賞では早めに動いて2着まで進出。鎌倉記念でもじっくり抑えて4着と、位置取り選ばないレースぶりは成長がうかがえる。馬格が雄大で跳びが大きいぶん距離延長は歓迎だろう。少頭数で捌きやすい。

「前々走の特別戦はゆっくり行って2着だったが、レースでズルさを見せていたので、前走はパッシュファイヤーを着用させた。しかし、それが裏目に出るような行きたがるレースになってしまった。今回はチークピーシーズに戻してみる。追い切りでも単走で動くようになって、いくらか精神面の成長は見せているがまだ途上と言える段階。今回は後ろからじっくり行くような理想のパターンでレースをしたいね」と岩本洋調教師。

写真:真鍋元

 クラウンカップ。1着馬には6月11日に実施される東京ダービーへの優先出走権が与えられるトライアル重賞。今年は8頭立てと少頭数。全馬初タイトルを懸けての戦いでもある。

 アーサの逃げに、ヤギリケハヤ、ドリームジャパンと続き、序盤はスローな流れ。向正面に入ると後方にいたプローラーテイオーがまくり気味に動き、2番手まで進出。ペースが上がるなか、4コーナーでは各馬一団となり、最後は直線勝負。

 先に抜け出したドリームジャパンを、ゴール前鋭く伸びたミーヴァトンがきっちり捉え重賞初制覇。2着には粘ったドリームジャパン、3着は先行したヤギリケハヤが入り確定。

写真:小川慎介

1着 ミーヴァトン

 スタートで軽く仕掛けると、あとは馬のリズム重視の競馬。後方からも距離的ロスを避けた立ち回り。直線、間を割って伸びてきたゴール前の切れ脚は抜群。道中、無理に動かず我慢した甲斐があった。佐藤博紀調教師は初重賞制覇となった。

<佐藤博紀調教師>
 重賞はいずれ獲れればと意識はしていませんでしたがうれしいです。少頭数ではありましたが、描いていた以上にいい位置につけられて結果につながればと思っていた。ペースが向正面まで落ち着いていたので、速く流れてくれないかなと思っていたら急に忙しくなってチャンスがあるのではと。いい脚をもっているので直線外に出せば必ず伸びてくれると思って見ていた。せっかく権利をいただいたので東京ダービーを目標に調整していきたい。あとはオーナーと相談して決めることになります。

<町田直希騎手>
 2コーナーまでペースが遅かったんで、厳しいかと思ったんですけど、向正面から一気にペースが上がって、これならチャンスあるかと思った。自分のペースを守っていけばその分伸びてくれると、前走同様に良い伸び脚を見せてくれた。佐藤博紀調教師は一緒に乗っていたときから優しくていい先輩だったので初重賞をプレゼントできてうれしいです。


2着 ドリームジャパン

 スタートダッシュも良く外3番手からの競馬。緩急ある流れにもうまく対応。直線も先に抜け出し、勝ちパターンに思えたが、惜しくも2着。勝ち馬の決め手が上回った。

<矢野貴之騎手>
 まくられても気にせず自分のリズムで競馬ができた。抜け出すのがもうひと呼吸我慢だったと思いますが、直線ソラ使うところは変わってない。まだ余力あるし、結果的に負けたという感じ。いろんなところを使っても変な競馬はしないので、どんどん挑戦していった方がいいと思う。距離も延ばしていった方がいい。

3着 ヤギリケハヤ

 外2番手の絶好ポジションもプローラーテイオーのまくりでイン3番手に。直線で前の馬が壁になってスムーズさを欠く場面もあった。ゴール前の伸び脚は良く、着差から見ても力負けとは言えず展開のアヤだろう。

<張田昂騎手>
 相手は矢野さんの馬としか見えてなかったからヨシヨシと思ったんだけど・・。このメンバーでは展開ひとつ。今日はすんなり乗れなかった。距離は短すぎなければ案外と融通は利きそう。

4着 ケンシレインボー

 スタートが今ひとつで乱ペースになり、流れに乗りきれなかったところはあるが、直線しっかり伸びてくるのがこの馬の強さ。

<山中悠希騎手>
 ゲートの中で気が入っていて立ち後れてしまった。硬くなって前脚を上げる素振りをしていた。もう少しリラックスして走れるポジションなら良かったんですけど。展開的にも遅くて、自分から動いていける馬ではないので終いがもうひとつでした。馬場的にも今日みたいに乾かず、昨日くらいの湿り気があれば良かった。

5着 プレミアムハンド

 好位に取り付いたが、ペースが上がると追走に手こずった。跳びが大きく小回りの瞬発力勝負になると多少の苦手意識もあり、展開に注目がつく。

<笹川翼騎手>
 ペースが遅くなって、速くなってと緩急あって噛み合わなかった。跳びが大きいので淡々と運びたがったんですけど。レースだからどうしようもないんですが、たらればが多い馬です。

6着 プローラーティオー

 ペースが遅く、向正面で思い切って動いたが、そのぶん直線での脚に影響した。

<西啓太騎手>
 ペースも落ち着いていたので、思い切って動きました。ですが現状ではそのあとが厳しくなりました。

7着 アーサ

 ダッシュよく逃げて自分のかたちは作ったが、休み明け初の重賞。直線では一杯一杯になった。

<野畑凌騎手>
 スタートしていいペースだったんですが、まくられてペースが乱されました。休み明けもあって切れ味勝負で負けましたね。これからの馬です。

8着 ゴールドモーニン

 後方から直線勝負も、伸び脚は不発。チークピーシーズを着用したが、前走に続きこの馬らしくない走りだった。

<山崎誠士騎手>
 ムラッ気があって真面目に走っていない。途中は良かったんだけど、最後は集中してなかった。

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
27 令和6年 シシュフォス 牡3 森 泰斗
26 令和5年 ポリゴンウェイヴ 牡3 山口 達弥
25 令和4年 フレールフィーユ 牡3 和田 譲治
24 令和3年 ジョエル 牡3 張田 昂
23 令和2年 ウタマロ 牡3 酒井 忍
22 令和元年 ホールドユアハンド 牡3 戸崎 圭太
21 平成30年 スプリングマン 牡3 左海 誠二
20 平成29年 ローズジュレップ 牡3 吉原 寛人
19 平成28年 ガーニーフラップ 牡3 的場 文男
18 平成27年 ウインバローラス 牡3 柴田 大知
17 平成26年 ワタリキングオー 牡3 的場 文男
16 平成25年 アメイジア 牡3 吉原 寛人
15 平成24年 キタサンツバサ 牡3 繁田 健一
14 平成23年 ナターレ 牝3 的場 文男
13 平成22年 ポシビリテ 牡3 松岡 正海
12 平成21年 サイレントスタメン 牡3 金子 正彦
11 平成20年 モエレラッキー 牡3 張田 京
10 平成19年 エスプリベン 牡3 今野 忠成
9 平成18年 サンキューウィン セ3 左海 誠二
8 平成17年 ブラウンコマンダー 牡3 張田 京
7 平成16年 ブルーローレンス 牡3 的場 文男
6 平成15年 ウィンブロー 牡3 石崎 隆之
5 平成14年 キングセイバー 牡3 酒井 忍
4 平成13年 シングルトラック 牡3 堀 千亜樹
3 平成12年 ピーエムカイザー 牡4 佐藤 隆
2 平成11年 キタノダイマジン 牡4 桑島 孝春
1 平成10年 ハードサインカラー 牡4 佐々木 竹見