コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成30年度第2回開催 川崎マイラーズ 他

5月14〜18日の開催でメインとして行われた川崎マイラーズは、浦和のウェイトアンドシーが逃げ切って、中央から転厩後4連勝。鞍上は今野忠成騎手でした。 開催最終日に行われた3歳馬によるカーネーション特別は、7番人気、11番人気という波乱の決着。勝ったビヨンドボーダーズの鞍上は山林堂信彦騎手、2着トミノカモンの鞍上は町田直希騎手でした。また最終レースに行われた北条早雲公顕彰五百年記念特別は、瀧川寿希也騎手のオーネットダンディが1番人気にこたえての勝利となりました。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2018年5月16日(水)川崎マイラーズ

優勝馬 ウェイトアンドシー

斎藤
1番人気、今野騎手のウェイトアンドシーがハナをとりました。
竹見
ダッシュ力があるので、無理せず先頭に立ちました。全体は縦長になりましたが、ペースが速いわけでもなく、競りかけてくる馬もなく、今野騎手のマイペースでした。2コーナーから向正面を向くあたりでは単独での逃げになって、折り合いもついて、息も入っています。
斎藤
3コーナー手前から、ウェイトアンドシーの直後をオメガヴェンデッタが追走しましたが、3番手以下は離れました。
竹見
ペースがそれほど速いわけでもないのに、3番手から後ろの馬たちのほとんどは向正面から追い通しになっていました。
斎藤
4コーナーあたりでは、ようやくムサシキングオーが3番手で追ってきましたが、直線は先行した2頭の一騎打ちになりました。
竹見
オメガヴェンデッタの真島騎手も離れずに追走して、直線では並びかけて、ゴール前で一瞬前に出るような場面もありましたが、最後は今野騎手が粘らせました。この馬は勝負根性がありますね。

2018年5月18日(金)カーネーション特別

優勝馬 ビヨンドボーダーズ

斎藤
町田騎手のトミノカモンが逃げて、山林堂騎手のビヨンドボーダーズが2番手。3番手以下はやや離れて、人気薄だったからなのか、前の2頭に競りかけて来る馬はいませんでした。
竹見
このレースも縦長の展開になって、勝負どころでも3番手以下の馬たちは並びかけることもできませんでした。
斎藤
3コーナーを回るあたりではビヨンドボーダーズの山林堂騎手が余裕の手応えのまま前に出て、しかし直線半ばでは町田騎手のトミノカモンに差し返されるような場面もありました。
竹見
それでもビヨンドボーダーズは、ゴール前でもうひと伸びしていますから、まだ余裕があったのでしょう。今回は外枠から前の位置をとることができて、砂をかぶらない2番手の外につけられたのがよかったです。ただ最後の直線でフラフラしていて、頭も上げて、悪さを出すクセがあるようです。

2018年5月18日(金)北条早雲公顕彰五百年記念特別

優勝馬 オーネットダンディ

斎藤
勝ったゼンノウラヌスの吉原騎手は内の4番手につけました。
竹見
瀧川騎手には余裕がありました。行く馬を生かせて、スッと控えて好位の内目をキープしました。
斎藤
向正面あたりでは、前に馬を置いて少し行きたがるような場面がありました。
竹見
それでもここでは能力が違いますから、3コーナー過ぎでは手応え抜群のまま、いつでも抜け出せるような態勢でした。
斎藤
直線を向いてからは危なげのない勝利でした。
竹見
内目の好位を追走すれば、4コーナーから直線で必ず前が開くところがあります。ただ好位のうしろ、6、7番手あたりになると、なかなかそうもいきません。今回は、2番手の外を追走していたマイネルデアデビルが4コーナーで後退したので、オーネットダンディにとっては前を遮る馬がいなくなりました。楽な手応えのまま、逃げていたシャカリキをとらえると、瀧川騎手は、あとはうしろから来る馬がいるかどうか確認するだけでした。外からカナイオの伸びもよかったですが、オーネットダンディはゴール前で突き放して2馬身差をつけました。