コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成30年度第3回開催 関東オークス 他

6月11〜15日の開催でメインとして行われたのは関東オークス。勝ったのはJRAの伏兵ハービンマオでしたが、川崎のゴールドパテックが直線一旦は先頭に立ち、あわやという場面があって惜しくも2着。鞍上は山崎誠士騎手でした。 初日に行われたC2級の入梅特別は、ゴール寸前で3番人気ヒミノクリスエスが差し切りました。また12日に行われたスーパースプリントシリーズ・トライアルの川崎スーパーキングスプリントは、川崎のラディヴィナがラチ沿いから抜け出しました。ともに鞍上は、目下川崎リーディングの瀧川寿希也騎手でした。  今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2018年6月13日(水)関東オークス

優勝馬 ハービンマオ

斎藤
逃げたのは大井のクレイジーアクセルで、JRAのメイショウヒサカタ、ララプリムヴェールがぴたりと追走して、4番手以下は離れて縦長の展開でした。
竹見
ゴールドパテックの山崎騎手は、スタート直後は前3頭を追いかける形でしたが、ペースが速いと見たのでしょう。最初の3コーナーに入るあたりで下げていきました。勝ったハービンマオはさらにうしろでした。スタンド前でもペースが緩むことがなく、ラップタイムを見ると前の3頭はかなりのハイペースでした。
斎藤
4コーナー手前で、山崎騎手が先頭のクレイジーアクセルをとらえにかかりました。
竹見
直線を向いて先頭に立ったときはゴールドパテックが勝ったかと思いましたが、さらにうしろから来たハービンマオに交わされてしまいました。この2頭は、展開も向いたでしょうし、距離伸びての適性もあったと思います。さらに勝ったハービンマオは人気がなかったので気楽に乗れたこともあったでしょう。それにしても御神本騎手のクレイジーアクセルは終始2頭に突かれる息の入らない流れで、よく3着に粘りました。

2018年6月11日(月)入梅特別

優勝馬 ヒミノクリスエス

斎藤
勝った瀧川騎手のヒミノクリスエスは縦長の8番手からの追走でした。
竹見
逃げた今野騎手のスミトアンドチャーには、増田騎手のネオヴァルカスが競りかけて、そのうしろでは的場騎手のレッドローズキングがラチ沿いで主張していましたから、前のペースは速くなりました。
斎藤
瀧川騎手は3〜4コーナーで外から位置取りを上げていきました。
竹見
直線では左海騎手のジュンアイルランドが先頭に立って粘っていましたが、瀧川騎手は最後、よく差し切ったと思います。3番人気ということで、落ち着いて乗れたこともあったでしょうし、展開も向きました。逃げた今野騎手は1番人気でしたが粘れませんでした(6着)。どうしても雨馬場だとテンが速くなるので、終いのいい馬がペースを読んでうまく乗れば差し切るという場面はよくあります。3着に入った保園騎手のエイトクレインは中団よりうしろからよく追い込みました。先行勢はすべて着外でしたから、やはり前のペースは速かったようです。

2018年6月12日(火)川崎スパーキングスプリント

優勝馬 ラディヴィナ

斎藤
勝ったラディヴィナの瀧川騎手は、控えて5番手あたりからでした。
竹見
瀧川騎手は、先行争いでハナが取れないと見て無理せず下げたのかもしれません。内枠(4番)だったので、まわりを見ながらラチ沿いをとりました。
斎藤
瀧川騎手は3〜4コーナーでもそのまま内々を回ってきました。
竹見
4コーナーから直線を向くところでは内がぽっかり空きました。川崎はコーナーがきついので、スピードに乗っている馬は外に振られることがあるので、瀧川騎手はうまくそこを突くことができました。ただ内が開かない場合もあるので、運もあります。ゴール前は外からも3、4頭ほどが一気に追い込んで大接戦となりました。5着までがコンマ1秒という差ですから、最後は、内を通ったか、外を通ったかの差はあったと思います。それも含めて瀧川騎手はうまく乗りました。1番人気だった川島正太郎騎手のサトノスピードオーは、外を回ってきて4着。これが船橋の1000メートルだったら、また結果は違っていたかもしれません。