重賞レース

第24回 クラウンカップ(SIII)

2021年4月21日

レースガイド RACE GUIDE

新年度になって南関東で最初に実施される3歳重賞。2013~18年では7番人気以下が3着以内に1~2頭入り、11→12→3番人気で決まった15年は3連単で618万3360円の超高額配当。19年こそ2→3→4番人気で比較的堅い決着だったが、20年は8番人気が2着で波乱になった。過去10回で、1番人気が2勝、2、3着各1回と不振なのも波乱が多い要因といえる。【1着馬に東京ダービーへの優先出走権を付与】

コースガイド

4コーナーのポケットから発走し最初のコーナーまで500mあり、さほどハイペースにはなりません。差し馬にとってはカーブがきつい3コーナーでうまく立ち回ることが求められます。

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波乱続きの3歳重賞

※データは、過去10年分(11〜20年)を対象にした。

毎年3連単は万馬券決着

単勝1番人気は2勝、2、3着各1回、2、3番人気も馬券に絡んだのは計6回で上位人気が不振。8番人気以下が3着以内に9回入っているように、人気はアテにならない。3連単の配当では、11→12→3番人気で決まった15年の618万3360円が最高で、最低でも12年の1万2580円と毎年荒れる。

【単勝人気別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外
1番人気 2 1 1 6
2番人気 1 0 1 8
3番人気 1 1 2 6
4番人気 2 0 1 7
5番人気 2 1 1 6
6番人気以下 2 7 4 74

近年は浦和が躍進

船橋が4勝で、浦和と川崎が3勝ずつ。2、3着も船橋が各6回、2回と合計ではもっとも多く、複勝率29.3%は、次点の川崎(2着3回、3着4回)21.8%を上回る。ただし、川崎の3勝は15年以前のもの。一方、浦和の3勝、3着1回(着外12回)は17年以降で、過去5回では船橋(出走20頭で2勝、2着3回、3着なし)と複勝率25.0%は同じ。同じく過去5回では、川崎は2、3着各2回、大井は3着2回となっている。

【所属別成績】(過去10回)

所属 1着 2着 3着 着外
船橋 4 6 2 29
川崎 3 3 4 36
浦和 3 0 1 20
大井 0 1 3 22

ニューイヤーカップ組が波乱を呼ぶ

まず注意したいのは、ニューイヤーカップ出走馬。過去10回では、出走24頭で2勝、2着3回、3着2回の複勝率29.2%。3連単618万円となった15年は、11番人気で1着ウインバローラス(川崎)はニューイヤーカップ9着、12番人気で2着ルコンポゼ(大井)は同8着だった。その他、13年2着(12番人気)、20年2着(8番人気)など人気薄での馬券絡みが多い。
11、18年は施行日の関係で京浜盃からの出走がなかったが、その両年を除く8回では、京浜盃から27頭が出走し3勝、2着1回、3着3回で複勝率25.9%。過去10回で、雲取賞は出走40頭で、1勝、2着5回、3着6回の複勝率30.0%と互角以上。20年3着ストーミーデイ(大井)は、2走前の雲取賞3着、前走京浜盃6着。どちらのレースも大きく負けていないほうがいい。
また出走頭数は少ないが、18年創設のトライアル(椿賞・つばき賞)は19、20年では出走5頭で2勝、2着1回と優秀だ(※複数レースに出走していた馬は、のべ頭数とする)。

ライター: 栗田勇人

 

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

プロフィール_2

第24回クラウンカップ(SIII)

注目馬情報

■ジョーロノ(牡3歳 浦和・小久保智厩舎)

写真:小金井邦祥

重賞勝ちこそないが、デビューから3連勝し、ニューイヤーカップ、平和賞2着。ハイセイコー記念、鎌倉記念3着と実績を重ねてきた。前走の京浜盃では早めに並ばれる厳しい逃げになって失速したが、距離短縮されるのはプラスに働きそう。まだ道中は遊び遊び走っていて後ろから馬がくるとまた反応してハミを取るという幼さはあるが、集中して走れれば楽しみは大きい。57キロを背負うのは鍵になるが本領発揮すればタイトルを狙える。

「現時点ではマイル以下でスピードを生かす競馬が合っていそうだね。左回りでは好走しているし、他馬がくれば走る気を出す根性はあるから番手でも問題ない。タイトルまであと一歩だからここで期待したいね」と小久保智調教師。

■ギガキング(牡3歳 船橋・稲益貴弘厩舎)

写真:真鍋元

JBC2歳優駿JpnIIIは勝ち馬にコンマ5秒差の6着。そこから間隔をあけずに臨んだ盛岡・南部駒賞では速い流れのなか好位内からのレースで、直線では力強く馬群を割る会心の勝利。京浜盃馬チサットをはじめ、そこで破った馬たちのその後の活躍を考えるとレベルは高かったと言えるだろう。
全日本2歳優駿JpnI参戦後に休養を挟んで船橋に移籍。前走の勝ちっぷりを見ても左回りは得意とするところ。久しぶりの距離マイルがカギになりそうだ。

「距離はもっとあった方がいいが、南部駒賞を勝っているくらいだからマイルは適性内。あとは気性面だね。まだ幼い面があり、前走でもレース中は遊ぶところがあったし、1コーナーの入りはふわふわしていた。集中して走ってくれればいいんだが」と稲益貴弘調教師。

■ヴァヴィロフ(牡3歳 川崎・高月賢一厩舎)

写真:真鍋元

鎌倉記念では積極的に先団に取りつき、見せ場は十分な内容で6着。その後は成長を促すために休養を挟んだが、復帰後は距離を変えて適性を探り、マイルは守備範囲と言える走り。どこからでも競馬ができる器用さがあるのは強みになるはず。

「使いながら心肺機能もよくなり、馬体も成長している。前走で1200mを使ったことで調教での行き脚もよくなり、それが今回生きてきそうだ。反応がよく競馬が上手な馬だからこのメンバーでも好勝負になると思う」と高月賢一調教師。

■ジョエル(牡3歳 船橋・張田京厩舎)

写真:真鍋元

クラウンカップトライアルの椿賞では中団で脚をため、早めにスパートをかけてあっさり前を捕らえる快勝。マイルは3度目だったが一戦ごとにタイムを詰めて適性を見せている。2走前には逃げる競馬をしており、どこからでもレースができるのは強みと言えるだろう。

「前走は半マイルから追い出しているし展開面でハマった気もするね。周囲が速くてあの位置になったがそれが反対によかった。反応の良さからも能力の高さはわかるがまだ腰も甘く成長途中。それでも以前に乗った時に比べて全体的に力がついてきているのを感じた。スタミナはありそうだから距離はもっと長くても大丈夫そう」と張田昂騎手。

■ピースフラッグ(牡3歳 川崎・山崎尋美厩舎)

写真:真鍋元

デビューから先行力には光るものを見せていたが、ニューイヤーカップでは急激な下がり方で失速。心房細動を起こしていたことが判明した。
ひと息入れた後の京浜盃では着順こそ8着だったが、砂をかぶったわりに折り合いもつき収穫十分。先行にこだわらず抑えた競馬もしていけそうだ。

「前走は休み明けで砂をかぶったレースだったことをを考えればよく走っている。もう心房細動の影響はなさそうだし、地元のマイルならいい競馬ができそうだ」と山崎尋美調教師。

■ハートプレイス(牡3歳 大井・佐宗応和厩舎)

写真:真鍋元

5月デビューと早くから頭角を現し、栄冠賞5着、ブリーダーズゴールドジュニアカップ6着、イノセントカップ2着など北海道の2歳重賞で善戦。平和賞にホッカイドウ所属として出走し3着した後に大井移籍。マイルの時計も上々で調教中に外傷を負ってひと息入ったが前走では惜しい2着。揉まれる競馬に課題はあるものの折り合いがつき、レースぶりに進境を見せていた。川崎は初コースも左回りは経験済み。

「前走では久しぶりに乗ったが、仕掛けたら1コーナーでガーッとハミを取ったが2コーナーで折り合いがついた。成長した面も感じたよ。現時点ではかぶらない競馬が理想。船橋で走っているから左回りも問題ないだろう」と今野忠成騎手。

■ニヨドスマイル(牡3歳 川崎・岩本洋厩舎)

写真:真鍋元

北海道では11戦して2勝、2着2回。昨年暮れに川崎に移籍し、初戦のジングルベル特別では後方から切れ脚を炸裂させ鮮やかに差し切った。気性の激しい面があって返し馬もままならないが、決め手勝負になれば切れる。展開次第では。

「自分でレースを作るタイプではないけれど、いったんエンジンがかかるとすばらしい脚を使ってくれるから、ここも展開がハマれば見せ場はあると思う。ここ2戦のレースからも距離はマイルが合いそうだね」と山崎誠士騎手。

■リコーシンザン(牡3歳 川崎・久保秀男厩舎)

写真:真鍋元

北海道では逃げて2勝していたが、川崎に移籍してからは抑える競馬もできるようになり、対応力が広がっている。前走のクラウンカップトライアル椿賞では道中で窮屈になるロスがありながらも直線伸びて2着に入り、出走権を獲得した。母リコーシルエットは同じ久保秀男厩舎に所属した快速馬で短距離を得意としていた。

「道営からきてレースを使おうと思ったら前日の調教で軽い捻挫。すぐによくなったので船橋戦に出ると初物尽くしの中で抑える競馬で勝ってくれた。距離を延ばしてこの収穫が生きた。この2戦を見ると好位で折り合って抜け出す競馬をしているから、気になっていた幼さも解消してきたようだね」と久保秀男調教師。

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

プロフィール_2

写真:真鍋元

第24回クラウンカップ。昨年は羽田盃のトライアルレースだったが、日程的なものもあり今年は1着馬に東京ダービーへの優先出走権が与えられるトライアルに。

ジョーロノが軽快に飛ばし、逃げ切りを図るが、後方にいたギガキングが怒濤の追い上げ。そこに中団にいたジョエルが加わり、直線は3頭の追い比べ。最後はジョエルの脚いろが上回って優勝。
張田京厩舎の馬に張田昂騎手が騎乗して親子で手にした初タイトルとなった。
2、3着は僅差の勝負となったが、1番人気のギガキングが食い下がって2着を確保した。

勝ちタイムは1分41秒6(晴・稍重)。

写真:小川慎介

1着 ジョエル

トライアルレースを勝って重賞初挑戦も自在な脚質で対応。強敵相手に見事な末脚を発揮した。冷静に立ち回った張田昂騎手の好騎乗も光った。
昨年のウタマロに続きクラウンカップトライアル椿賞からの勝ち馬となった。
張田京調教師は初重賞制覇。

<張田京調教師>
挑戦者の立場なので最後まで気が抜けなかったが、なんとかダービーに行ければと思っていた。スタートもよくて、競馬を教えてくれるような馬なので、状態さえよければ恥ずかしいレースにはならないだろうと。その通り末脚もよく伸びてくれた。(重賞初制覇について)昂にはうちの馬で最初に重賞を勝たせたいと思っていたのに先に勝たれてしまったが、これからもいっしょに勝っていきたい。このあとは東京ダービーに向かいます。


 

<張田昂騎手>
スタートは良い馬なのでこの馬のリズムを崩さないように気をつけて乗った。向正面で先に仕掛ける馬もいたが、4コーナーではまだ前との距離はあったが、内を通れそうだと思っていた。いい末脚を見せてくれた。(父である京調教師について)ずっと乗せてくれてありがたいし僕が重賞をプレゼントしたなんて…。
距離も延びて良い馬だと思うのでこれからもいっしょに頑張っていきたい。


2着 ギガキング

序盤はハミ掛かりが悪く位置を下げたが、外に出すと長くいい脚を使い、直線もよく伸びてきた。このあと距離が延長されても問題なさそう。

<和田穰治騎手>
1枠がアダになってしまいましたね。今日は最初砂を嫌がって頭を上げたので、1コーナーで砂をかぶらないよう外に出したらだいぶハミ取りがよくなった。船橋戦の時は砂を嫌がることもなかったんだけど。4、5頭外をまわるきつい競馬になったが、それでも脚を使って終いも食らいついていった。

3着 ジョーロノ

同型を捌くには少し外めの枠だったが、軽快な走りで馬の持ち味を発揮していた。最後まで集中して走っていたが、マイルは少し長いのかもしれない。

<左海誠二騎手>
道中はずっと急かされるような競馬で、距離はマイルが一杯なのかもしれない。今日は展開も厳しかった。馬は一生懸命走っていたから悔しい競馬になりました。

4着 リコーシンザン

好スタートから射程圏内で折り合い、理想的な競馬をしていたが、直線は最後のひと伸びが足りなかった。このあとは短距離路線に向かう予定。

<伊藤裕人騎手>
スピードがあり出していけば番手くらい行けそうだし、もっと成長していきそうですね。距離は保ってマイルくらいかな。短い距離だったら、もっと切れる脚が使えそう。

5着 ヒートアップハート

外枠だったが、内めをうまく立ち回り、直線もよく伸びていた。課題のスタートも今回はクリアできていた。

<矢野貴之騎手>
新馬戦で乗った時よりも走りは素軽くなっていましたね。ゲートの中でもまだ落ち着きがなくて、前半ムキになっていった感じ。競馬はうまいので落ち着いて競馬ができるようになれば。距離はマイルくらいがベストかもしれない。

6着 ハートプレイス

無理なく先行し、うまく折り合っていた。ラクな手応えだったわりに直線の脚が冴えなかった。

<今野忠成騎手>
想像していた感じでは進めたんだが、現状では全体的にもうワンパンチ足りない感じ。もっと力をつけてくれば。

7着 ニヨドスマイル

鋭い決め手をもっているが、追い込み馬の難しさか今回は不発に終わった。敏感なところがあって乗り難しさがある。

<山崎誠士騎手>
流れについて行くことはできるんですが、少しでも刺激を与えてしまうとガーッといってしまうので徐々に出していくしかなく乗り難しい馬ですね。ゲートもよくなかったし、1コーナーで挟まれてハミを噛んで馬の気分を損ねてしまった。脚を温存できれば切れる脚を使えるのですが。

9着 ノートウォージー

好位を進んでいたが、直線で一杯になってしまった。

<的場文男騎手>
2番手で競馬ができたんだが、右回りの方がスムーズな感じがするね。

11着 ピースフラッグ

今の段階では逃げがベストだが、行けないと脆さが出てしまう。距離を短縮した方が合うかもしれない。

<町田直希騎手>
行けたらハナに行きたかったんだけど、進んで行かなかった。トモを使わず前だけで走っている感じでしたね。

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
23 令和2年 ウタマロ 牡3 酒井 忍
22 令和元年 ホールドユアハンド 牡3 戸崎 圭太
21 平成30年 スプリングマン 牡3 左海 誠二
20 平成29年 ローズジュレップ 牡3 吉原 寛人
19 平成28年 ガーニーフラップ 牡3 的場 文男
18 平成27年 ウインバローラス 牡3 柴田 大知
17 平成26年 ワタリキングオー 牡3 的場 文男
16 平成25年 アメイジア 牡3 吉原 寛人
15 平成24年 キタサンツバサ 牡3 繁田 健一
14 平成23年 ナターレ 牝3 的場 文男
13 平成22年 ポシビリテ 牡3 松岡 正海
12 平成21年 サイレントスタメン 牡3 金子 正彦
11 平成20年 モエレラッキー 牡3 張田 京
10 平成19年 エスプリベン 牡3 今野 忠成
9 平成18年 サンキューウィン セ3 左海 誠二
8 平成17年 ブラウンコマンダー 牡3 張田 京
7 平成16年 ブルーローレンス 牡3 的場 文男
6 平成15年 ウィンブロー 牡3 石崎 隆之
5 平成14年 キングセイバー 牡3 酒井 忍
4 平成13年 シングルトラック 牡3 堀 千亜樹
3 平成12年 ピーエムカイザー 牡4 佐藤 隆
2 平成11年 キタノダイマジン 牡4 桑島 孝春
1 平成10年 ハードサインカラー 牡4 佐々木 竹見