重賞レース

第31回 ロジータ記念(SI)

2020年11月11日

レースガイド RACE GUIDE

レース名のロジータは川崎所属で活躍した不世出の名牝(2016年死亡)。3歳牝馬の地方全国交流戦で、10〜18年の勝ち馬にはすでに重賞勝ちがあり、18年以外は単勝1番人気が連対と比較的堅く収まる重賞。しかしグランモナハート(大井)が重賞初制覇を果たした19年は3連単10万円台と荒れた。【1着馬にクイーン賞、東京シンデレラマイル(南関東所属馬のみ)の優先出走権を付与】

コースガイド

2コーナーの出口から発走し、コーナーを6回まわります。2周目の向正面でペースが上がったときに、離されずについていくことができるか。騎手のペース判断も重要になります。

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川崎の距離経験が重要

※データは、地方全国交流になってからの過去9年分(11〜19年)を対象にした。

1番人気は複勝率100%

1番人気は11〜17年では4勝、2着3回とすべて連対。18、19年もともに3着で複勝率100%と信頼できる。2番人気は2勝、2、3着各1回だが、3番人気は2着1回(11年)のみと不振。5番人気以下が10頭も馬券に絡んでおり伏兵の台頭には警戒したい。19年は6→5→1番人気で入って、3連単では過去9回で最高となる10万9710円。しかし1番人気は堅調で、3連単4桁配当が5回あるだけに、大きく荒れることは少ない。

【単勝人気別成績】(過去9回)

  1着 2着 3着 着外
1番人気 4 3 2 0
2番人気 2 1 1 5
3番人気 0 1 0 8
4番人気 2 0 1 6
5番人気 0 1 1 7
6番人気以下 1 3 4 68

近年は大井が躍進

船橋が6勝、2着3回と断然。しかし15年以降の過去5回では大井が【3-3-2-8】と好成績で、船橋は【2-0-0-13】と2勝しているのみ。なお川崎は未勝利だが、2、3着には計8頭入っている。浦和は川崎の重賞と相性がいい小久保智厩舎の馬でも苦戦している。

【単勝人気別成績】(過去9回)

所属 1着 2着 3着 着外
船橋 6 3 1 21
大井 3 3 2 20
川崎 0 2 6 30
浦和 0 0 0 11
他地区 0 1 0 12

戸塚記念上位馬とサルビアカップ組

戸塚記念(川崎2100m)組は、3勝、2着4回、3着3回(着外9頭)で10頭が3着以内。そのうち7頭は戸塚記念で5着以内だった。サルビアカップ(川崎2000m)は、準重賞へ格上げとなった18、19年では3着以内馬6頭中4頭が同レース組と、関連性が強くなっている。なお戸塚記念よりあとの実施のため、両レースとも出走する馬もおり、18年は戸塚記念3着、サルビアカップ2着のクレイジーアクセル(大井)が2着、同4、1着のゴールドパテック(川崎)が3着に入っている。
また17年はステップオブダンス(大井)が、6月の関東オークスJpnII(川崎2100m)3着からのぶっつけで勝利。3着以内には同レースを使われていた馬も多く、川崎の距離経験が問われる。

今野騎手が複勝率70%超

騎手では、今野忠成(川崎)が7回騎乗し1勝、2着3回、3着1回の好成績。森泰斗(船橋)も9回騎乗し、16、17年を連勝するなど2勝、2着1回、3着2回と相性がいい。なお真島大輔(大井)は7回騎乗し1、2着各1回だが、その2回はともに荒山勝徳厩舎(大井)の馬だった。

ライター: 栗田勇人

 

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

プロフィール_2

第31回ロジータ記念(SI)

注目馬情報

■アクアリーブル (牝3歳 船橋・米谷康秀厩舎)

写真:真鍋元

桜花賞、東京プリンセス賞を制した南関東牝馬二冠馬。関東オークスJpnIIは2着で三冠達成とはならなかったが実績は断然上位。その後休養に入り、復帰初戦のサルビアカップでは3着に甘んじたが、ひと夏の成長分を含めた大幅体重増や負担重量差が思った以上に響いた結果。同重量となれば巻き返しは必至だ。

「休み明けでもあったが、他馬より背負った斤量の影響が大きかったように思う。前走時のような余裕を残した仕上げではなく、佐藤(賢二)厩舎時代にやっていたようにビッチリと3本、納得いくまで乗り込んだ。今日計っても体重は変わらなかったので増えていたのは成長分でしょう。目標にしているレースですからやれることはすべてやって臨みます」と米谷康秀調教師。

急逝した師匠から引き継いだ忘れ形見とあって、敗因を分析し、調教メニューを見直すなど万全の策を講じて負けられない一戦に臨む。

■ルイドフィーネ (牝3歳 川崎・内田勝義厩舎)

写真:真鍋元

勝ち星こそデビュー戦での1つのみだが、ここまで8戦すべて4着以内と安定したレベルの高い走りをしている。しかも3戦目からはすべて重賞。ひと夏を越して休み明けの前走は男馬相手の戸塚記念にぶつけ、勝ち馬ティーズダンクにコンマ4秒差の4着と堂々たるレースぶり。成長の証でもあるだろう。

「戸塚記念を使ってここに臨むのは予定通りのローテーション。プラス13キロと余裕のあった前走から併せ馬を重ねて状態面はアップしている。春の時点ではもうひと押し足りないレースもあったが、今回は逆転を狙っている」と内田勝義調教師。

新馬戦からゆとりあるローテーションで大事に使われてきた印象で、距離の経験値も高い。今回は森泰斗騎手を起用して、持ち味である長く使える脚を生かせるか。

■ヒキュウ (牝3歳 川崎・林隆之厩舎)

写真:真鍋元

トライアルのサルビアカップでは2番手でピタリと折り合い、気合いをつけながら差を詰めると4コーナーでは先頭に並ぶ。直線では迫るアクアリーブルを寄せつけず、むしろ差を広げてロジータ記念への出走権を獲得した。

「馬がムキになることもなく余裕を持って走っていたね。この馬の兄姉たちはそれぞれに結果を出してくれるが、走り方は長兄のガヤルドに似ているかな。若い頃は走りに集中できずにいたが、特にひと夏を越してから前向きさが出てきた。前走を見ても距離は問題ないし、いろんな競馬ができるタイプ」と林隆之調教師。

長距離を得意とするガヤルド、遠征にもタフに対応し六甲盃、ビューチフルドリーマーカップを勝ったアッキー、地方競馬で12勝を挙げているチークスなど活躍馬が並ぶこの馬の兄姉は精神面のタフさもあり、長丁場にも対応する。奥手が多い兄姉の中で3歳から結果を出し重賞でも楽しみな存在。

■カミノアカネ (牝3歳 浦和・岡田一男厩舎)

写真:佐々木光

大井でデビューし新馬戦を勝って父マジェスティックウォリアーに新種牡馬の産駒として初勝利をプレゼント。その後は体質強化に時間がかかっていたが、3歳6月に浦和に移籍すると治療を重ねるごとに良くなり、その後は3勝を挙げて、前走の浦和戦では2000mを逃げ切っている。

「浦和に来て初めてまたがった時はまだ歩様が硬かったんですが、背中も良かったし力があると感じました。ただ、気性面の課題を感じてここ2戦は砂をかぶらない位置でレースをしています。2走前のマイル戦で折り合って向正面でしっかり噛む競馬をしてくれたのでこれなら距離が延びても大丈夫だと思いました。今回はアクアリーブルよりひとつ前で競馬したいですね」と福原杏騎手。

初めての重賞挑戦になるが、すでに2000mも克服済みで、緩急あるペースにも対応できている。伸びしろという点からしてもこのメンバーでも軽視はできない。

■コーラルツッキー (牝3歳 川崎・山崎裕也厩舎)

写真:真鍋元

道営でダートグレードのエーデルワイス賞JpnIIIやフルールカップを勝っている実績馬。年明けに南関東牝馬クラシックを目指して川崎に移籍したが、初戦のユングフラウ賞は6着。さらにマイナス体重の馬体がギリギリだったことから無理をさせず春を休養に充てた。6月の優駿スプリントから復帰したが、その走りはスプリンターではないと判断し距離を延ばしていった。

「馬体が立ち直って復帰させる時点では短距離のイメージを持っていたが、そうではなかったね。初めて長い距離を使った戸塚記念では前走で試したブリンカーを外したがハミを取って行かなかった。それならと再び着用したサルビアカップでは効果抜群。メドが立ってきた」と山崎裕也調教師。

試行錯誤の末に使った2000mのサルビアカップではブリンカー効果もあって好位外を回りながら折り合いのつく好内容。最後のひと伸びも良く2着に。体調面の充実とともに完全復活の日も近そうだ。

■レッドカード (牝3歳 北海道・林和弘厩舎)

写真:山下広貴

道営の三冠レースでは北斗盃1着、北海優駿5着、王冠賞3着と牝馬ながらに善戦した実力馬。8月に札幌の芝を使った前走後にはひと息入って、仕上がり具合が気になるところだ。

「昨年からローテーションが詰まっていたので、前走後は休養させていた。馬体も精神面もリフレッシュできたようだね。最終追い切りの併せ馬も動きは納得いくものだった。川崎コースは経験があるし、具合は良さそうだが、キンシャサノキセキの仔だから、あるのは距離の不安。それだけが気掛かり」と林和弘調教師。

昨年末の川崎ジュニアオープンに遠征した経験があり、グリーンロードの5着と川崎コースをうまく立ち回っていた。2000mは北海優駿(5着)で経験しているが、あらためて距離の不安は拭えない。

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

プロフィール_2

写真:真鍋元

ロジータ記念は地方3歳牝馬の頂上決戦。
地方全国交流重賞であり、北海道と兵庫から1頭ずつが参戦してフルゲート。

アクアリーブル、ルイドフィーネの人気馬2頭の争いが焦点となった。
内枠からノラ、ルイドフィーネが絶好のスタート。競ることはなくノラが逃げるかたちになり、ルイドフィーネは抑えてその後ろ。1番人気の南関東牝馬二冠馬アクアリーブルもダッシュよく2番手につけて態勢は落ち着いた。
平均ペースで進み、2周目4コーナー手前では内にいたルイドフィーネが外に持ち出し、直線はアクアリーブルと一騎打ち。
最後はアクアリーブルを1馬身半振り切って、ルイドフィーネがロジータ記念を優勝。春の鬱憤を晴らし惜敗続きに終止符を打った。

勝ち馬ルイドフィーネには、クイーン賞JpnIIIおよび東京シンデレラマイルへの優先出走権が与えられた。

写真:小川慎介

1着 ルイドフィーネ

逃げ馬の後ろで脚をため、常にアクアリーブルを見るかたちでレースを進めることができた。絶好のタイミングで仕掛けると、直線ではアクアリーブルを競り落とす完勝。
ひと夏を越して心身ともに大きく成長しているのがわかる。
今春の牝馬クラシックでは桜花賞3着、東京プリンセス賞3着、関東オークスJpnII・4着とあと一歩及ばない惜敗続き。デビュー戦以来の価値ある2勝目となった。

<内田勝義調教師>
ずっと歯がゆい競馬が続いていたのでここでひとつ勝たせていただいてうれしい。一度も勝てなかった相手に一矢報いたいと乗り方は森騎手に任せました。
今後のことは馬の状態を見てオーナーサイドと決めることになりますが、いろんな競馬ができる馬なので、古馬に入ってもいい競馬ができると思います。距離も幅広く対応できそうですね。


 

<森泰斗騎手>
春は悔しい思いをしたので、なんとか獲らせたいと託された手綱でしたので勝ってホッとしています。相手はアクアリーブル一頭とマークしていきました。直線に入っても手応えはありましたし、追えば伸びるだろうと。今日こうして二冠馬を負かして強い競馬を見せてくれましたし、すごく乗りやすくてセンスのいい馬なのでこれからも牝馬路線を賑わしてくれると思います。
二冠馬を応援していた方も多いと思うんで申し訳ない気持ちと、勝ってうれしい気持ちで複雑な感情です。


2着 アクアリーブル

叩き2戦目で今回は定量。スタートダッシュもよく2番手で折り合う完璧なレースをしていたが、勝ちにはつながらなかった。
サルビアカップでゴール前差されたコーラルツッキーを6馬身離していることからも前走以上の走りと言えるが。

<矢野貴之騎手>
悔しいですね。
折り合いもついていたし、大事に乗りすぎたのかもしれません。
前回より動けてはいましたが、決め手で負けた感じですね。
瞬発力勝負に持ち込みすぎた。勝ち馬の方が川崎コース向きだったのかもしれません。

3着 コーラルツッキー

ブリンカーの効果か、道中の手応えもよく、勝負どころからもうまく馬群を捌いてきた。鞍上もすっかり手の内に入れた騎乗ぶり。かつてはダートグレード勝ちもしている馬だが、一時の不振を脱し、距離が延びてから復活の兆しを見せている。

<伊藤裕人騎手>
揉まれてはいましたが、外を回すよりいいかとあの位置になりました。理想はもう一列前だったんですけど、脚をためて、3コーナー狭いところを怯まず伸びてきた。2走前から長距離を使っていますが柔軟性がありますね。ブリンカー効果もあって、こういう競馬ができるならチャンスもあると思います。

4着 アートムーブメント

人気はなかったが(11番人気)、積極的に先行させたことが功を奏した。
揉まれず、ストレスのない走りが最後まで粘り強い脚につながったのだろう。

<本田正重騎手>
ゲートうまく出たので、これは行った方がいいかもと、いい位置でついて行けました。距離はもっと短い方が良さそうですね。

5着 アンジュエトワール

馬体重はマイナス16キロでの出走。
道中は内枠を生かした無駄のない立ち回りで、直線もよく伸びて自在性を発揮した

<笹川翼騎手>
身体は減っていてもそう影響を感じませんでしたが、経験の差はありますね。そのわりには上手に走っていました。
この距離は適性ではありませんが乗り方によってはこなせるのかもしれません。マイルくらいが一番いいのかな。

6着 ヒキュウ

スタートで躓いて、位置取りが悪くなった。
外々を上がってきて差を詰めたが6着まで。
サルビアカップ(トライアル)を勝った時のような2番手での競馬ができていればと悔やまれる。

<柴田大知騎手>
スタートがすべてです。すみませんでした……。

7着 ノラ

B級からの出走だったがスピード値は高く、気分良く走って見せ場は十分つくったが、最後はさすがに苦しくなった。

<和田譲治騎手>
スタートも良くてスローで我慢して、抑えが利いていたぶん道中はラクをしていた。
4コーナーくらいまで我慢して、最後はバテてたが一生懸命走っていた。

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
30 令和元年 グランモナハート 牝3 本田 正重
29 平成30年 クロスウィンド 牝3 矢野 貴之
28 平成29年 ステップオブダンス 牝3 森 泰斗
27 平成28年 ミスミランダー 牝3 森 泰斗
26 平成27年 ララベル 牝3 真島 大輔
25 平成26年 ノットオーソリティ 牝3 御神本 訓史
24 平成25年 カイカヨソウ 牝3 今野 忠成
23 平成24年 エミーズパラダイス 牝3 戸崎 圭太
22 平成23年 クラーベセクレタ 牝3 戸崎 圭太
21 平成22年 ショウリダバンザイ 牝3 御神本 訓史
20 平成21年 タカヒロチャーム 牝3 町田 直希
19 平成20年 シスターエレキング 牝3 桑島 孝春
18 平成19年 トキノミスオース 牝3 坂井 英光
17 平成18年 マキノチーフ 牝3 繁田 健一
16 平成17年 グローバルリーダー 牝3 張田 京
15 平成16年 アイチャンルック 牝3 的場 文男
14 平成15年 マルダイメグ 牝3 的場 文男
13 平成14年 ラヴァリーフリッグ 牝3 石崎 隆之
12 平成13年 カーディアンゴット 牝3 佐藤 隆
11 平成12年 セクシーディナー 牝4 内田 博幸
10 平成11年 ヤマノリアル 牝4 張田 京
9 平成10年 ホクトオーロラ 牝4 石崎 隆之
8 平成9年 イシゲヒカリ 牝4 秋田 実
7 平成8年 スギヤマワッスル 牝4 田部 和廣
6 平成7年 マキバサイレント 牝4 石崎 隆之
5 平成6年 ケーエフネプチュン 牝4 矢内 博
4 平成5年 パワーシャレード 牝4 石崎 隆之
3 平成4年 アズマリーフ 牝4 柿本 政男
2 平成3年 ドラールオウカン 牝4 内田 博幸
1 平成2年 ヒカリカツオーヒ 牝4 石崎 隆之