コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成25年度第4回開催 スパーキングレディーカップ 他

7月1日~5日の開催では、牝馬による交流重賞・スパーキングレディーカップJpnIIIが行われました。地方勢では、今野忠成騎手が手綱をとったクラーベセクレタに期待がかかりましたが、残念ながら最下位に敗れ、中央勢が3着まで独占する結果となりました。 この開催では、山崎誠士騎手が後半3日間で10勝の固め勝ちと大活躍。17日現在で川崎リーディングに立っています。その山崎騎手が勝ったレースでは、4日の月見草特別を取り上げました。また、3日の最終レース、七夕特別では、伊藤裕人騎手が直線豪快に突き抜けました。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2013年7月3日(水)スパーキングレディーカップJpnIII

優勝馬 メーデイア

斎藤
逃げ馬が何頭かいて先行争いが激しくなるかと思いましたが、サマリーズがハナをとって、メーデイアが2番手で、すんなり落ち着きました。
竹見
的場騎手のナターレがすぐに3番手で、さすがに外枠ですから、この相手で無理して行くわけにもいきません。最内のサクラサクラサクラも、サマリーズの内田博幸騎手が行く構えを見せて、森騎手はすぐに控えました。
斎藤
5番手の岩田騎手(レッドクラウディア)が向正面から早めに動いて行きました。
竹見
タイミング的にはあそこから行って、一気にまくりきってということだと思います。ただ、前の2頭も楽をしていましたから、とらえきれませんでした。
斎藤
それでも直線は中央3頭の争いになりました。
竹見
メーデイアは2番手を追走していって、最後、楽に突き放すわけですから、牝馬同士では強すぎます。レッドクラウディアは向正面から先に脚を使って、直線を向いたところでは一旦離されましたが、それでもゴール前ではサマリーズとの差は詰めていました。この馬はもう少し距離が長いほうがいいのかもしれません。
斎藤
クラーベセクレタは直線でも見せ場なく、最下位でした。
竹見
今野騎手はスタートからずっと追い通しでしたから、現状、全盛期の力ではないのでしょう。

2013年7月3日(水)七夕特別

優勝馬 アヤナミ

斎藤
スタート後は先行争いが激しくなりました。
竹見
郷間騎手のギンザグリングラスが気合を入れて行く構えを見せましたが、内で岩田騎手のギンザスクランブルが譲りませんでした。さらに1~2コーナーでは酒井忍騎手のフレッシュメイト、今野騎手のオーラヴァルドも競りかけて、前はハイペースになりました。結果的に、ギンザグリングラスとギンザスクランブルが、最下位とブービーに沈んでいます。
斎藤
勝った伊藤騎手のアヤナミは、中団よりうしろ、10番手あたりからでした。
竹見
大外14番枠から無理せずに控えて、向正面から位置取りを上げて行きました。3~4コーナーで一気に上がっていったところがよかったです。川崎コースは、勝負どころで仕掛けたら、一気に行き切ってしまったほうがいいです。直線では単独で先頭に立って、最後は2頭に迫られましたが、振り切りました。クビ、クビの差で2着の的場騎手(ラピッドアラシ)が向正面では6番手、3着の山崎騎手(ヤマニンプレッジ)は後方3番手からという位置取りでしたから、やはり前で競り合ったペースは速かったです。それを読んだ伊藤騎手は、仕掛けも絶好のタイミングで、好騎乗でした。

2013年7月4日(木)月見草特別

優勝馬 ディーエスアロー

斎藤
山崎騎手のディーエスアローは、スタート後は無理せず10番手からでした。
竹見
位置取り的には10番手ですが、一団になった前の馬たちを行かせて、その後ろでラチ沿いを追走できましたから、それほど悪い位置ではありません。
斎藤
向正面では、まずヤマノギフトの佐藤博紀騎手が仕掛けていきました。
竹見
タイミング的には悪くはないですが、逃げ馬の手ごたえの感じでは少し早かったかもしれません。
斎藤
山崎騎手はその後ろから、少し遅れて仕掛けました。
竹見
3コーナー手前から仕掛けていって、それで直線突き放すわけですから、強い馬です。長く脚が使えるところがいいですね。こういう終いに脚を使える馬は、上のクラスでも通用すると思います。
斎藤
山崎騎手が今シーズン好調の要因はどういったところにあるでしょう。
竹見
このレースのように、思い切ったレースをしていることもあるし、また、落ち着いて乗っているところもいいですね。今年は1月の竹見カップで優勝して、その勢いもあるのかもしれません。