コラム
佐々木竹見・王者の眼差し
佐々木竹見(ささき たけみ)
元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。
平成24年度第13回開催 エンプレス杯 他
2月25日~3月1日の開催のメインとして行われたエンプレス杯JpnIIは、ミラクルレジェンドが見事引退レースを勝利。エミーズパラダイスも見せ場たっぷりの2着でした。 そのほか、中央から転入初戦のナイトホークスが山崎誠士騎手で制した26日の朧月特別、今野騎手のテラザホープが1番人気にこたえて連勝を伸ばしたJRAとの条件交流アメジストスター賞の3レースについてうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)2013年2月27日(水)エンプレス杯JpnII
優勝馬 ミラクルレジェンド
- 斎藤
- 戸崎騎手のエミーズパラダイスが逃げました。
- 竹見
- 戸崎騎手は1周目のスタンド前の直線でも緩めることなく、やや速めのペースでレースを引っ張りました。
- 斎藤
- 岩田騎手のミラクルレジェンドは、中団よりうしろからでした。
- 竹見
- ダートムーアをマークする位置で、折り合いはついていました。向正面で一気に仕掛けていったときの脚色が際立っていました。かわされたダートムーアがついて行けないほどでした。ダートムーアは、あそこでついていけるようならまた結果も違ったのでしょうが、一気に3馬身ほども離されてしまいました
- 斎藤
- エミーズパラダイスは直線まで粘っていました。
- 竹見
- 直線を向いて一旦離した時に、そのまま逃げ切るかとも思いましたが、やはりミラクルレジェンドにあっさりつかまってしまいました。それにしてもミラクルレジェンドの終いの脚は、他馬とは全然違いますね。エミーズパラダイスは2着でしたが、3着のダートムーアには5馬身差をつけていますから、牝馬同士なら今後も期待できるのではないでしょうか。
2013年2月26日(火)朧月特別
優勝馬 ナイトホークス
- 斎藤
- 勝ったナイトホークスは、中央未勝利からの転入初戦でした。スタートはあまりよくありませんでした。
- 竹見
- 終いの脚が使える馬だということは、中央のレースを見るか、話を聞くかで、山崎誠士騎手はわかっていたのでしょう。中団よりうしろからでした。
- 斎藤
- 外目を追走していましたが、3~4コーナーで内に入れました。
- 竹見
- あれはいいタイミングでした。内にいた的場騎手のマイネルブラームスが下がっていったところにスペースができました。勢いのある馬は外を回って仕掛けていったので、ちょうど内に入るところができました。もし的場騎手の馬がバテなければ、ナイトホークスは外を回すしかありませんでしたから、そうなったら苦戦していたかもしれません。4コーナーでは前に張田騎手のゴガツノバラがいましたが、その外にうまくスペースができました。山崎騎手にとっては、何から何までうまくいった感じです。前に行った馬はテンに無理して、ペースが早かったかもしれません。6着まで、すべて中団よりうしろから追走の馬でした。いずれにしても山崎誠士騎手は好騎乗でした。山崎騎手は、去年あたりからだいぶ勝ち星が伸びて、好調です。
2013年2月28日(木)アメジストスター賞
優勝馬 テラザホープ
- 斎藤
- 勝ったテラザホープは、これでデビュー2戦目から8連勝です。逃げたのは、山崎誠士騎手のキョウエイロブストでした。
- 竹見
- キョウエイロブストはスタートダッシュがいいですね。ただ外目の枠だったので、気合を入れて行きました。逃げるのは決めていたのでしょう。
- 斎藤
- 今野騎手のテラザホープは、前からはやや離れた5番手からでした。
- 竹見
- 今までも好位からレースをしていました。キョウエイロブストが行くことはある程度わかっていたでしょうから、今野騎手はペースを見てということでしょう。3~4コーナーで一気にまくって行きましたが、あのあたりの脚色が他の馬とは違っていました。
- 斎藤
- 人気2頭での決着でしたが、着差は半馬身でした。
- 竹見
- テラザホープはもう少しあっさり勝つかと思いましたが、今野騎手は直線必死に追っていました。逃げたキョウエイロブストはよく粘ったと思います。それから坂井騎手のガナールも最後はよく差を詰めて来ましたが、4着でした。この馬は次のレースでよくなってくるのではないでしょうか。