コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成25年度第10回開催 全日本2歳優駿 他

12月16日~20日の開催でメインとして行われた全日本2歳優駿JpnIは、北海道から遠征のハッピースプリントが断然人気にこたえて強い勝ち方を見せました。このあとは大井に移籍するとのことで、今後、南関東での活躍が期待されます。 17日第9レースにはC1級としてはめずらしい2000mのシンフォニー特別が組まれ、最後方を追走したキタサンキャロルがロングスパートから豪快に差し切りました。鞍上は酒井忍騎手でした。そして開催最終日に行われた恒例の川崎ジョッキーズカップは、ベテラン金子正彦騎手のテッペントッタルが逃げ切り勝ちを決めました。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2013年12月18日(水)全日本2歳優駿

優勝馬 ハッピースプリント

斎藤
スタート後、武豊騎手のスザクと、福永祐一騎手のニシケンモノノフが競り合う形になりました。
竹見
武豊騎手のスザクはスタート後にちょっとよれましたが、その後に先手を取りに行って、福永騎手も行く気を見せて、2コーナーまで競り合いが続きましたが、さすがに外の福永騎手が譲って内のスザクが単独で先頭に立ちました。
斎藤
勝ったハッピースプリントはそのうしろ、3番手につけました。
竹見
川崎の小回りコースですから、宮崎騎手はそれを意識して、スタートからかなり気合を入れて行ったようです。ハッピースプリントは初めての左回りでもうまく回っていました。
斎藤
ハッピースプリントは絶好の手ごたえで先頭に迫りました。
竹見
スザクは直線でも粘っていましたが、ハッピースプリントは余裕をもったまま交わしました。着差は1馬身半ですが、完勝でした。

2013年12月17日(火)シンフォニー特別

優勝馬 キタサンキャロル

斎藤
勝った酒井忍騎手のキタサンキャロルは最後方から、逃げた山崎誠士騎手のプリンセザが2着という結果でした。
竹見
酒井騎手はこの馬に何度か騎乗していて、終いにいい脚が使えることはわかっていたでしょうから、この距離もあって最後方から行ったのでしょう。自信を持って乗っている感じでした。
斎藤
2000mでも、このクラスにしてはペースがあまり緩みませんでした。
竹見
逃げた山崎騎手がずっと平均ペースを保っていました。これなら勝ってもおかしくない展開でしたが、今回は勝った酒井騎手がうまく乗って馬の力を引き出しました。
斎藤
酒井騎手は向正面に入ったあたりからロングスパートでした。
竹見
1周目のスタンド前では、砂を被らないように前とは少し間隔をとって最後方を進んでいました。縦長のバラけた展開でしたから、上がっていくときも外を回ってもほとんど距離のロスがありませんでした。こういう展開でまくっていって差し切れると、騎手としては気分がいいですよ。下級条件でもたまにはこういう長い距離のレースはやったほうがいいと思います。このキタサンキャロルのように、こういう距離で力を発揮する馬も出てくると思います。

2013年12月20日(金)川崎ジョッキーズカップ

優勝馬 テッペントッタル

斎藤
金子正彦騎手のテッペントッタルがハナをとりました。
竹見
金子騎手はマイペースの逃げから、直線を向いてからタイミングを計って追い出しています。このメンバーではちょっと力が違ったということもあるでしょうし、この馬場(水の浮く不良馬場)ですから、逃げたのはなおさらよかったと思います。
斎藤
2着はミッドナイトブルーの拜原靖之騎手でした。
竹見
拜原騎手は1番枠からのスタートで、控えて内の好位から、理想的な位置を追走できました。直線でも伸びてはいますが、今回は逃げた馬が強かったです。
斎藤
2番手を追走した新人の瀧川寿希也騎手が3着でした。
竹見
瀧川騎手は姿勢がだいぶよくなってきました。レースにたくさん乗せてもらえば、まだまだ伸びると思います。