コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成26年度第9回開催 ロジータ記念 他

11月の川崎競馬は3~7日の5日間開催。『ヴィーナスデー』の5日は、ロジータ記念、ローレル賞と、牝馬の重賞が2レース組まれました。 3歳牝馬によるロジータ記念は、ノットオーソリティが早め先頭から強い勝ち方を見せました。鞍上は大井の御神本訓史騎手でした。2歳牝馬によるローレル賞は、ショコラヴェリーヌの全妹ララベルが接戦を制しました。鞍上は大井の真島大輔騎手でした。 6日のメイン霜月特別(A2以下)は、瀧川寿希也騎手のイーサンヘイローが逃げ切り勝ち。デビュー2年目の瀧川騎手は、今年27勝(11月18日現在)と順調に勝ち星を伸ばしています。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2014年11月5日(水)ロジータ記念

優勝馬 ノットオーソリティ

斎藤
ノットオーソリティは、スタートはあまりよくありませんでしたが、早めに先頭に立ちました。
竹見
御神本騎手は大外枠でしたが、最初の3~4コーナーのペースが落ち着いたところで思い切って一気に行きました。この距離は1周目のスタンド前で必ずペースが遅くなるので、その前にハナを取ると決めていたのでしょう。こうなるとあとは自分のペースです。向正面に入って後続が仕掛けてきても、それを見て御神本騎手もペースアップしていますから、他馬は最後まで差を詰めることはできませんでした。
斎藤
最後は突き放しての圧勝でした。
竹見
ノットオーソリティは、最後までまったく無理をするところがありませんでした。馬も気持ちよく走っていました。御神本騎手のペース判断がよかったと思います。
斎藤
連勝中で1番人気に支持された今野忠成騎手のモフモフは3馬身離されての2着でした。
竹見
今野騎手は3番手の外を追走して、向正面から早めに仕掛けていって、うまく乗っています。ただ今回は勝ち馬が止まりませんでした。

2014年11月5日(水)ローレル賞

優勝馬 ララベル

斎藤
真島騎手のララベルは、先行集団のうしろ、8番手あたりからの追走でした。
竹見
中団からの追走で、徐々に位置取りを上げていって、真島騎手はうまく乗っていたと思います。
斎藤
直線を向いたところでは、外の馬と接触していたようです。
竹見
真島騎手は4コーナー手前まで内でじっとしていて、酒井騎手のリボンスティックが同じような位置取りの外を追走していました。真島騎手が4コーナーで前が空いたところをうまく外に持ち出したのは好判断だったと思います。リボンスティックも外から来ていて接触したようですが、ララベルは勝負根性のある馬ですね。
斎藤
ゴール前では、内から瀧川騎手のゼッタイリョウイキが伸びてきての接戦でした。
竹見
瀧川騎手は、逃げた御神本騎手のネガティヴを見ながら内の3番手、いちばんいい位置からの追走で、うまく乗っていたと思います。それにしてもララベルは、あの位置から砂をかぶりながらの追走で、左回りも初めてで、これがまだ3戦目で、この勝ち方ですから、将来性がありますね。

2014年11月6日(木)霜月特別

優勝馬 イーサンヘイロー

斎藤
瀧川騎手のイーサンヘイローは、前回は好位からでしたが、今回は逃げる形になりました。
竹見
今回は内枠だからということもあったと思いますが、瀧川騎手は、ゲートを出てから積極的に前の位置を取りにいくところがいいですね。それで競りかけてくる馬もいなかったので、平均ペースで楽に逃げることができました。
斎藤
直線は、1番人気の御神本騎手のメジャーアスリートとの追い比べになりました。
竹見
御神本騎手のほうが出たかと思う場面もありましたが、瀧川騎手がゴール前で差し返しました。御神本騎手が4コーナー手前から一杯に追い出したのに対し、瀧川騎手が追い出したのは直線を向いてからです。無理をすることなく逃げられたことで、最後まで余力があったのでしょう。
斎藤
最後、町田騎手のビクトリースガが大外から伸びてきて惜しい3着でした。
竹見
たしかにいい脚で伸びてきましたが、今回も離れた最後方からの追走でした。もう少し前の位置取りでレースができれば、勝ち負けになったのではないでしょか。