コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成26年度第2回開催 川崎マイラーズ 他

5月19日~23日の開催のメインとして行われたのは川崎マイラーズ。サトノタイガーでこのレースを制した町田直希騎手は、2010年9月の盛岡(OROカップ・コスモヴァシュラン)以来、久々の重賞制覇となりました。 そのほか、2日目の青嵐特別を制したのはリコーシルエットの増田充宏騎手、4日目の夏木立特別を制したのはマルモリロイヤルの瀧川寿希也騎手でした。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2014年5月21日(水)川崎マイラーズ

優勝馬 サトノタイガー

斎藤
町田騎手のサトノタイガーは、大外11番枠からのスタートでも、スタンド前の直線で2番手につけ、そのまま落ち着くかに思えましたが、1~2コーナーではハナに立ちました。
竹見
外枠でも思い切って行ったのがよかったと思います。スタート後は2番手でも、外から3頭が競りかけてきました。それで譲らずに行く気を見せたら、内で先頭だったオキナワレッドの見澤騎手が譲る形になって、先頭に立ったのでしょう。
斎藤
向正面に入って流れが落ち着いたようです。
竹見
スマートジョーカーあたりも追ってくるかと思いましたが、ほかに来る馬もいなかったので、マイペースの逃げになりました。
斎藤
最後は1番人気のソルテを突き放しました。
竹見
4コーナーまではソルテが直後につけていたのでどうかと思いましたが、直線で突き放しました。湿った馬場もサトノタイガーに味方したと思います。1分38秒4というのも優秀なタイムでした。町田騎手はこのあとの浦和開催でも3勝を挙げて、ここのところ乗れています。

2014年5月20日(火)青嵐特別

優勝馬 リコーシルエット

斎藤
増田騎手のリコーシルエットは好スタートでした。
竹見
外枠でもダッシュよく飛び出しました。900メートル戦ですから、よほどうしろから脚を使う馬でもない限り、行けるだけ行ったほうが有利です。思い切って行ってしまえば、よほどダッシュ力がある馬でもない限り競りかけてきません。
斎藤
最後まで余裕の手ごたえで逃げ切りました。
竹見
ダッシュ力はもちろんですが、このくらい短い距離になると、距離適性も大きいと思います。
斎藤
杉村一樹騎手のギガワットがゴール前で迫って2着でした。
竹見
勝ち馬に競りかけて行く馬がいれば、ギガワットの出番もあったかもしれませんが、今回は単独でハナに行ったリコーシルエットの流れになりました。

2014年5月22日(木)夏木立特別

優勝馬 マルモリロイヤル

斎藤
瀧川騎手のマルモリロイヤルは大外枠で、スタート後は中団につけました。
竹見
大雨で水が浮いた馬場で、前の何頭かが競り合って先行争いが激しくなりましたから、外枠から前を見ながら行けたのはよかったのではないでしょうか。川崎の1500、1600メートルは、1コーナーまで距離がありますから、外枠でも無理せずにいい位置をとることができます。1~2コーナーで少しずつ内に入れていけば距離のロスもあまりありません。そのまま流れに乗って、向正面では早めに先団の4番手まで押し上げています。
斎藤
4コーナーで前をとらえて、直線で突き放しました。
竹見
道中は楽をしたままの追走で、このクラスでは力も違いました。瀧川騎手は落ち着いて乗っていますし、騎乗姿勢もかなりしっかりしてきました。