コラム
佐々木竹見・王者の眼差し
佐々木竹見(ささき たけみ)
元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。
平成26年度第1回開催 クラウンカップ 他
4月14日~18日の開催のメインとして行われたクラウンカップは、川崎のワタリキングオーが接戦を制しての勝利。鞍上の的場文男騎手は、57歳7カ月で地方競馬における最高齢重賞勝利記録を更新しました。 この開催の初日には、怪我のため療養していた今野忠成騎手、酒井忍騎手が揃って復帰。両騎手ともに初日から勝利を挙げ、ここではメインの花まつり特別を制した今野騎手を取り上げます。また4日目には恒例の2014春・川崎ジョッキーズカップが行われ、郷間勇太騎手が勝ちました。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)2014年4月16日(水)クラウンカップ
優勝馬 ワタリキングオー
- 斎藤
- 的場騎手のワタリキングオーは、中団よりうしろからでした。
- 竹見
- 1番人気だった御神本騎手のサーモピレーは好位の4番手、的場騎手は向正面から差を詰めて行っています。
- 斎藤
- 4コーナーから直線ではサーモピレーが勝ったような展開ですよね。
- 竹見
- 御神本騎手は4コーナーで外へ、的場騎手は内を突きました。直線を向いて、先に抜け出した御神本騎手が、的場騎手の前をカットする場面がありましたが、あそこで御神本騎手は追い出しを少し待ってもよかったかもしれません。先に抜けだしたぶん、ゴール前で少し甘くなりました。的場騎手のワタリキングオーを先に先頭に立たせて、それを追う形にすればサーモピレーのほうが勝っていたかもしれません。ただあのタイミングで待つという判断も難しいです。なかなかそこまで我慢できないのが普通です。
- 斎藤
- 的場騎手は、御神本騎手のサーモピレーが切れ込んできたことで、控える場面がありました。
- 竹見
- 的場騎手にとっては、4コーナーで御神本騎手が外に出したことによって、ちょうどいいタイミングで前があいて進路ができました。ワタリキングオーにとっては、被されたことはむしろ良かったかもしれません。それで最後にもうひと伸びしました。
2014年4月14日(月)花まつり特別
優勝馬 リアハッピー
- 斎藤
- 今野騎手、酒井騎手はこの開催初日が復帰戦でした。怪我で長期休養のあとの復帰初戦というのは、不安とかは感じないものでしょうか。
- 竹見
- レースに乗る前に調教にはかなり乗りますから、不安はないと思います。ただやはりレースとなると、緊張はするかもしれません。このレースでは、今野騎手は1番人気で、このメンバーなら力があることはわかっていますから、そういう意味ではこのレースに限れば安心して乗れたのではないでしょうか。
- 斎藤
- 今野騎手のリアハッピーは2番手を追走しました。
- 竹見
- 他の騎手もリアハッピーが強いということはわかっていたでしょうから、この馬を目標にというレースになりました。3コーナーあたりでは、今野騎手の手ごたえはまだ楽でしたが、他の先行勢は皆、追いどおしでした。
- 斎藤
- 直線では、逃げた本橋騎手のグラッツェーラも粘っていました。
- 竹見
- ただ、ゴール前ではリアハッピーが突き放しました。この馬は、今野騎手が怪我で休養する前にも乗っていた馬です。B1あたりにクラスが上がっても2~3回使えばまた勝てる力はあるのではないでしょうか。
2014年4月17日(木)2014春 川崎ジョッキーズカップ
優勝馬 シャイニングアーチ
- 斎藤
- 勝った郷間騎手のシャイニングアーチは3番手からでした。
- 竹見
- 金子騎手のフライトパーサーが楽にハナに立って、2番手はデビュー2年目の瀧川騎手です。郷間騎手は枠順もあって、差のない外の3番手、いい位置につけました。
- 斎藤
- 4コーナーでは瀧川騎手が先頭に立ちました。
- 竹見
- 瀧川騎手はかなり乗せてもらっているし、馬運にも恵まれています。騎乗ぶりもだいぶよくなっています。
- 斎藤
- その瀧川騎手のデジタルデータが直線でも先頭でしたが、ゴール前でとらえたのが、郷間騎手のシャイニングアーチでした。
- 竹見
- 郷間騎手は一生懸命で、負けず嫌いというか、強引さがあるのがいいところです。騎乗姿勢もきれいです。