コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成24年度第11回開催 報知オールスターカップ 他

正月開催のメイン、報知オールスターカップは、戸崎圭太騎手のシーズザゴールドが久々の勝ち星を挙げ、2着に山崎誠士騎手のアドマイヤシャトルが入りました。 そのほか、トウカイバロンで差し切りを決めた元日の迎春盃、ビービーコモンで差し切った松竹梅特別と、この開催好調だった酒井忍騎手が勝ったレースについてうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2013年1月3日(木)報知オールスターカップ

優勝馬 シーズザゴールド

斎藤
勝ったシーズザゴールドの戸崎騎手は、スタート後はうしろから3番手でしたが、早めに前にとりつきました。
竹見
戸崎騎手は1周目のスタンド前で外から一気に先頭まで並びかけて行きました。流れが遅かったですから、これはいい判断です。
斎藤
4コーナーでも手ごたえが楽で、そのまま抜け出しました。
竹見
ゴール前では、山崎騎手のアドマイヤシャトル、石崎駿騎手のカキツバタロイヤルが迫ってきましたが、シーズザゴールドが最後まで粘れたのは、1周目で一気に前に行ったぶんです。こういう折り合いの難しい馬は、スタートで仕掛けていっても引っかかってしまいますから、ペースを見て、遅くなったときに一気に行かせたのでしょう。今回は戸崎騎手の好判断が勝因です。アドマイヤシャトルの山崎騎手も、外々をうまく回ってきました。対して3着のカキツバタロイヤルは、1周目のスタンド前で内で包まれて掛かってしまい、さらに行き場をなくして位置どりを下げてしまいました。1番人気に推されていたように力があるのは当然ですが、今回は道中でそうしたロスがあったぶん、最後に届きませんでした。

2013年1月1日(火)迎春盃

優勝馬 トウカイバロン

斎藤
逃げたのは、山崎騎手のキョウエイロブストでした。
竹見
淡々としたペースで流れて、キョウエイロブストは直線まで先頭でした。
斎藤
中団を追走した酒井騎手のトウカイバロンがゴール前で差し切りました。
竹見
酒井騎手は、4コーナー手前では前をとらえられるような手ごたえで乗っていたと思います。キョウエイロブストはハナに立って楽に逃げていましたが、終いが甘くなるということもあったと思います。トウカイバロンはゴール前、1頭だけ違う脚色で伸びました。酒井騎手は姿勢が崩れずに、綺麗なフォームで追ってきます。1番人気でしたし、力も違いました。
斎藤
山崎騎手がそのまま2着でした。
竹見
山崎騎手も最近はかなり乗れるようになってきました、一昨年初めて川崎リーディング2位になって、去年は勝ち鞍を伸ばして、初めて100勝を超えました(109勝)。

2013年1月3日(木)松竹梅特別

優勝馬 ビービーコモン

斎藤
勝った酒井騎手のビービーコモンは、スタート後は後方3番手からでした。
竹見
逃げたのは森騎手のフルミストパークで、3~4コーナーでは内から繁田騎手のフェイスフルハート、外から山崎騎手のトモノタイガが一気に伸びてきて、直線では3頭が競り合っていましたが、遅れて仕掛けた酒井騎手のビービーコモンがゴール前外から一気でした。この馬も、常に終いの脚は使ってくる馬です。
斎藤
勝ったビービーコモンは、3歳のこの時期にこういうレースができれば、将来性がありそうですね。
竹見
若いうちに逃げて連勝していたような馬は、先々案外伸びてこないこともあるのですが、この馬のように終いのいい馬は、ある程度相手が強くなってもしっかり終いの脚を使ってきますから、これからも期待できると思います。酒井騎手はここのところ絶好調ですね。