コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成23年度第4回開催 スパーキングレディーカップ 他

7月4~7日の開催のメインは、6日に行われた牝馬によるスパーキングレディーカップJpnIII。果敢にハナを奪ったラヴェリータが直線で後続を突き放し、このレース3連覇を達成しました。 その日の最終レースとして行われた彦星特別では、増田充宏騎手が騎乗した7番人気のイケノナインが逃げ切り勝ち。また、7日に行われた中央との条件交流、ジュライスター賞では、今野忠成騎手が騎乗した地元川崎のドリームストライドが逃げ切り勝ちをおさめました。 今回は、すべて逃げ切りで決まった3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2011年7月6日(水)スパーキングレディーカップ

優勝馬 ラヴェリータ

斎藤
ラヴェリータが1コーナー手前で一気にハナを奪いに行きました。
竹見
スタート後は、ダッシュ力があるトーホウドルチェが先に行きましたが、ラヴェリータは斤量を背負っていたこともあって、少し間をおいてじわじわと先頭に立ちました。控えてしまうと、斤量が重いので最後に差す脚がなくなってしまうと考えたのかもしれません。それから、この馬はやっぱり外枠のほうがいいですね。
斎藤
ラヴェリータは3~4コーナーあたりでも手ごたえが楽でした。
竹見
3コーナーあたりでは後続が追走一杯なのに対して、ラヴェリータは気持ちよく走っています。58キロを背負って厳しいかと思いましたが、それ以上に力が違いました。
斎藤
直線ではトーホウドルチェに6馬身差をつけての圧勝でした。
竹見
上り3ハロンが37秒4で、1分39秒0という勝ちタイムも速いです。
斎藤
1番人気となった3歳のアイアムアクトレスは3着でした。
竹見
ユニコーンステークスでは、その後にジャパンダートダービーを勝つグレープブランデーを負かしていますが、やはりまだ古馬とは力の差があったようです。

2011年7月6日(水)彦星特別

優勝馬 イケノナイン

斎藤
イケノナインの増田充宏騎手が気合を入れてハナに行きました。
竹見
スタート後すぐに仕掛けて、少し無理やりという感じもありました。外の的場騎手(ツクバフージン)も行く気を見せましたが、さすがに内のイケノナインに譲って、3番手に控えました。テンのペースはかなり速かったと思います。
斎藤
向正面では、前3頭と4頭目以降では、かなり差が開きました。
竹見
ペースが速かったこともあり、逃げていたイケノナインの人気があまりなかったこともあって、4番手以下の騎手たちは、前がバテると思っていたかもしれません。
斎藤
直線を向いても、後続との差がなかなか詰まりませんでした。
竹見
逃げ切ったイケノナインは、最後は脚が上がっていますが、ギリギリ粘りました。3コーナーあたりで後続に差をつけたのが勝因だと思います。2、3番手のブルーカフェ、ツクバフージンはその3コーナーあたりからかなり追っていましたが、イケノナインの増田騎手の手ごたえはまだ楽でした。ハナに行くと強い馬ですね。ただ今回は少し走り過ぎた感じもあります。
斎藤
ゴール前では山崎誠士騎手のアルテマイスターが差を詰めてきて3着、さらに外から伸びた真島大輔騎手のコリオレイナスが2着でした。
竹見
山崎騎手は、前3頭からは離れた4番手の一番いい位置を追走していました。最後によく追い込んできましたが、届きませんでした。1番人気の真島騎手は、スタート後はほとんど最後方からの追走で、2コーナーあたりから追いどおしでした。ゴール前は差し切るような勢いでしたが、道中の差が大きかったです。

2011年7月7日(木)ジュライスター賞

優勝馬 ドリームストライド

斎藤
ドリームストライドの今野忠成騎手は気合を入れてハナを取りに行きました。
竹見
今野騎手は最初から行く気でした。こういう馬は抑えて行ってもじりじりは伸びるかもしれませんが、思い切って行って正解だったと思います。
斎藤
道中は、外から中央のディフィーターがぴたりと並びかけてきて、ゴールまで競り合いが続きました。
竹見
競りかけられてはいましたが、道中、ドリームストライドはちゃんと息を入れて走っています。ディフィーターは結局最後まで交わすことができず、こういう展開になったらやはり内枠が有利です。枠順が内外逆だったが、おそらくディフィーターのほうがハナに行っていたでしょうから、勝たれていたかもしれません。
斎藤
戸崎圭太騎手のアルファアップルが4頭接戦の3着争いを制しました。
竹見
戸崎騎手は4番手の好位を追走して、3コーナー手前で位置取りを下げてしまいました。ちょっと気性が悪いところもあるようですが、ゴール前では伸びてきているので、3コーナーあたりで下げずにもう少し積極的に行ったほうがよかったと思います。