コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成23年度第13回開催 うぐいす特別 他

2月27日~3月2日の開催では、メインとして行われる予定だったエンプレス杯(JpnII)が、残念ながら雪のため中止となってしまいました。 初日に行われた3歳1組・うぐいす特別は、山崎誠士騎手のキョウエイロブストが逃げ切って6馬身差の圧勝。続くB2B3の銀嶺特別も逃げ切りで、勝ったのは酒井忍騎手のサイレントカイザーでした。また3月1日のJRA交流・マーチフラワー賞では、山崎誠士騎手のトキノドラゴンが豪快に差し切りました。 今回はこの3レースについて佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2012年2月27日(月)うぐいす特別

優勝馬 キョウエイロブスト

斎藤
1番人気、山崎誠士騎手のキョウエイロブストが無理せずハナに行く展開でした。
竹見
好スタートを切った4頭が行くような構えでしたが、無理に行くという馬もなく、こうなると内枠に入ったキョウエイロブストが有利です。
斎藤
キョウエイロブストは、3コーナー過ぎから徐々に後続を離しにかかって、最後は楽勝でした。
竹見
力のある馬が楽にハナに行く展開になれば、やはりほかの馬はかないません。
斎藤
2着争いは混戦でしたが、佐藤博紀騎手のキョウエイペトラが、なんとかしのぎました。
竹見
佐藤博紀騎手は3番手でうまくラチ沿いに入れました。4コーナー手前で単独2番手に上がって、ゴール前はやや一杯になりましたが、追ってくる馬もいなかったので、うまく2着を確保しました。

2012年2月27日(月)銀嶺特別

優勝馬 サイレントカイザー

斎藤
酒井忍騎手のサイレントカイザーがハナを主張しました。
竹見
内から山林堂騎手のキングオブザベストも好スタートでしたが、サンレントカイザーの酒井騎手は無理やりにでもという感じでハナに行きました。おそらく最初から行くと決めていたのでしょう。
斎藤
サイレントカイザーは最後まで粘って逃げ切りました。
竹見
酒井忍騎手は、道中、手綱を持った手を馬の首にピタっとつけておくところがいいですね。最後に追ってきても、姿勢が崩れないところもいいところです。他の騎手にも見習ってほしいところです。

2012年3月1日(木)マーチフラワー賞

優勝馬 トキノドラゴン

斎藤
勝ったトキノドラゴンは8番人気。山崎誠士騎手は、控えて6番手からでした。
竹見
道悪で多頭数だと先を争うような展開になることが多く、どうしてもテンが早くなります。そういう流れで山崎騎手は、好スタートにもかかわらず控えました。前の集団が飛ばしていって、やや離れての追走だったので、あまり泥をかぶることもありませんでした。
斎藤
直線では外から伸びて差し切りました。
竹見
山崎騎手は、3~4コーナーでうまく外に出して、3、4番手まで位置取りを上げてきました。この悪い馬場で、直線はよく伸びたと思います。
斎藤
9番人気のベルモントマリアが粘って2着でした。
竹見
先行勢の多くが最後はバテてしまった中で、ハナを奪ったベルモントマリアだけはよく粘りました。それでも最後に差されたのは、スタート後に無理して行ったぶんでしょう。