コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成24年度第7回開催 戸塚記念 他

9月6、7、10、11日の開催のメインに行われた3歳馬による戸塚記念は、アスカリーブルが圧巻のレースぶりで重賞4連勝。見事勝利に導いたのは今野忠成騎手でした。 同日の最終レースに行われた汲沢特別では、中央から転入初戦のトウカイレジーナが酒井忍騎手で勝利を収めました。また、11日に行われた鎌倉記念トライアルの若武者賞は、山崎誠士騎手のナスノキセキが2歳馬らしからぬレースぶりでデビューから2連勝を飾り、将来への期待を感じさせました。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2012年9月7日(金)戸塚記念

優勝馬 アスカリーブル

斎藤
アスカリーブルはスタートでタイミングが合いませんでした。
竹見
出遅れましたが、それでもすぐに中団につけました。1周目の3~4コーナーではすぐに馬群の中に入れて、先行集団のうしろのいい位置につけて、落ち着いて走っています。
斎藤
今野騎手は勝負どころでも余裕の手ごたえでした。
竹見
4コーナーから直線ではもう抜け出せる手ごたえで、あとはうしろから伸びてくる馬がいなければという感じでした。この馬は終いの脚がいいですね。ぐんぐん伸びてきます。御神本騎手のシラヤマヒメもゴール前はよく伸びましたが、アスカリーブルはまだ余裕がありました。今野騎手はこの馬には何度も乗って大きなレースも勝っていますから、落ち着いて乗っていました。どの馬にも不利がなく、実力を出し切ったレースだったと思います。

2012年9月7日(金)汲沢特別

優勝馬 トウカイレジーナ

斎藤
勝ったのは、中央から転入初戦のトウカイレジーナでした。中央では好位からのレースが多かったですが、躓きぎみのスタートで、前には行けませんでした。
竹見
後方からになりましたが、酒井騎手はうまく乗りました。余裕を持って乗っています。
斎藤
直線はうまく前が開いて抜け出しました。
竹見
3~4コーナーで上がってくるあたりで、ほかの馬を確認しながら外に持ち出して、どの馬の手ごたえがいいか、どの馬が下がってくるのか見ていますから、それで他馬にじゃまされないコース取りができたと思います。

2012年9月11日(火)若武者賞

優勝馬 ナスノキセキ

斎藤
ナスノキセキの山崎騎手は、スタート後に下げて行きました。
竹見
行ければ前に行って、行けなければ控えてでもという乗り方だったのではないでしょうか。それにしても、うしろから4番手でした。スタート後の直線では、砂をかぶって嫌がるところがあったので、砂をかぶらないところまで下げたのかもしれません。
斎藤
直線は大外一気で、2歳馬とは思えないレースぶりでした。
竹見
4コーナーで外に持ち出してからぐんぐん伸びて、追ってからもしっかりしています。馬体重は420キロでそれほどないですが、素直そうな馬で、この牝馬は大事に使えば強くなるでしょう。控える競馬も砂をかぶる競馬も今回経験したので、次がさらに楽しみになります。将来性がありますね。