コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成24年度第9回開催 JBCクラシック 他

2006年に続いて2度目のJBC開催となった11月。JBC3競走のほかにも、重賞はローレル賞、ロジータ記念が行われました。今回はその中から、ワンダーアキュートが初JpnI制覇となったJBCクラシック、川島正行厩舎の2強による一騎打ちとなったロジータ記念を取り上げます。 川崎所属ジョッキーが勝ったレースでは、8日のJRAとの条件交流戦シトリンスター賞に注目しました。7番人気のブラゾーハリーを勝利に導いたのは、町田直希騎手でした。また、4日の第1レースで通算100勝目を挙げた山林堂信彦騎手の印象についてもうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2012年11月5日(月)JBCクラシック

優勝馬 ワンダーアキュート

斎藤
ワンダーアキュートは、3番手からレースを進めました。
竹見
スタートが一番よかったのはワンダーアキュートです。マグニフィカは何としても逃げると決めていたでしょう。外のトランセンドも先に行かせて、和田騎手は3番手に控えました。それにしても落ち着いて乗っていました。
斎藤
ワンダーアキュートは、3~4コーナーで一旦位置取りを下げました。
竹見
向正面で浜中騎手のソリタリーキングが仕掛けて、他の有力馬も一気に仕掛けて行ったので、和田騎手はちょっと早いと思って一緒には行かなかったのかもしれません。ワンダーアキュートは大型馬で、瞬発力のあるタイプではないということもあったかもしれません。内に入る形になりましたが、4コーナーで外に持ち出して前をとらえにかかると、最後は他の中央馬を突き放しました。去年の東京大賞典ではスマートファルコンに迫った馬ですから、今回はそれだけの走りを見せました。
斎藤
テスタマッタがかなり行きたがっていたようですが。
竹見
スタート直後からかかってしまいました。馬が完全に行く気になってしまったのでしょう。今回はずっと掛かりっぱなしで、これほど折り合いがつかなくなってしまっては厳しいですね。

2012年11月7日(水)ロジータ記念

優勝馬 エミーズパラダイス

斎藤
戸崎騎手のエミーズパラダイスは2番手、今野騎手のアスカリーブルは定位置の中団からでした。
竹見
川島(正行)厩舎の2頭ですね。コテキタイは前に行く馬ですから、それを行かせてエミーズパラダイスはすんなり2番手を追走しました。競りかけてくる馬もいませんでしたから、エミーズパラダイスにとっては楽にレースを進められました。
斎藤
うしろにいるアスカリーブルは気にならなかったでしょうか。
竹見
仕掛けてきたら追い出せばいいというつもりで戸崎騎手は乗っていたと思います。ただペースが遅かったというわけではありません。
斎藤
アスカリーブルの今野騎手は、向正面から仕掛けて一気に行きました。
竹見
中団から行く馬は、川崎コースでは3コーナー手前から前をとらえる勢いで行かないとダメなので、いいタイミングだったと思います。
斎藤
4コーナー手前から2頭の一騎打ちでした。
竹見
戸崎騎手のほうは、4コーナー手前で先頭に立って、アスカリーブルが直後に迫ってきた時も手ごたえが楽でした。今野騎手のほうは、そこで交わしきれなければ、直線で交わすというのはなかなか難しいです。アスカリーブルのほうも伸びてはいるんですが、エミーズパラダイスは最後までバテませんでした。エミーズパラダイスは2番手からでしたが、そのほかの上位は中団よりうしろを追走していた馬たちですから、前は厳しいペースだったと思います。

2012年11月8日(木)シトリンスター賞

優勝馬 ブラゾーハリー

斎藤
町田騎手のブラゾーハリーは、好スタートから控えました。
竹見
ダッシュよく飛び出すと、競り合った8枠の2頭を行かせて、無理にはついて行きませんでした。前の2頭はさすがに飛ばしすぎです。これはどちらかが譲らないといけませんね。その2頭から離れた3番手の戸崎騎手(リアルボイス)と、その直後の町田騎手あたりがちょうどいいペースです。
斎藤
最後はその2頭、町田騎手と戸崎騎手の叩き合いになりました。
竹見
やはりこの2頭のペースがよかったのでしょう。町田騎手のブラゾーハリーは7番人気でしたが、前走も交流レースで2着でしたから、うまく馬の力を引き出しました。

2012年11月4日(日)C3級九十十一組

優勝馬 アスペラータ

斎藤
山林堂騎手のアスペラータは好スタートでした。
竹見
バラバラとしたスタートでしたが、山林堂騎手はダッシュよくハナに立ちました。向正面では上田健人騎手の馬に競りかけられましたが、マイペースで最後は振り切りました。馬にもスピードがあったと思います。
斎藤
山林堂騎手はこれが通算100勝目になりました。
竹見
山林堂騎手は、普段からまじめにやっています。もう少し乗り鞍が増えてくれば、もっと勝てるようになると思います。