コラム
佐々木竹見・王者の眼差し
佐々木竹見(ささき たけみ)
元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。
平成24年度第4回開催 スパーキングレディーカップ 他
7月2日~6日の開催で、メインとして行われたホクトベガメモリアル・スパーキングレディーカップ(JpnIII)は、地方初参戦となったJRAのスティールパスが重賞初制覇。船橋のクラーベセクレタが2着でした。 5日の月見草特別は、9番人気アドバンスピールが人気のクイーンサバンナをゴール前でとらえ、川崎転入後11戦目での初勝利。鞍上は町田直希騎手でした。また、同日最終レースの百合特別は、4番人気のコウエイクレストが前走から2連勝。鞍上は藤江渉騎手でした。 今回はこの3レースについて佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)2012年7月4日(水)スパーキングレディーカップ
優勝馬 スティールパス
- 斎藤
- 勝ったスティールパスは中団からの追走でした。
- 竹見
- スタート後、他のほとんどの馬が少し気合を入れて行っているところ、スティールパスの蛯名正義騎手だけはまったく仕掛けていません。それで互角に行けるのですから、ダッシュ力があるのでしょう。少し下げて外に出したかったのかもしれません。3番手のクラーベセクレタをマークする位置につけました。
- 斎藤
- 4コーナー手前でクラーベセクレタが仕掛けたときに、スティールパスも外から一気に迫り、直線では2頭の競り合いになりました。
- 竹見
- スティールパスの蛯名騎手はかなり自信を持って乗っていたと思います。クラーベセクレタを競り負かすのですから強いです。クラーベセクレタの戸崎騎手も、3番手の好位から正攻法のレースでうまく乗っていましたが、それ以上にスティールパスが強かったということでしょう。
- 斎藤
- 1番人気のミラクルレジェンドは、直線案外伸びませんでした。
- 竹見
- 岩田騎手は4コーナーで内を突いて一瞬行き場をなくしました。あそこは外に出したほうがよかったかもしれません。それと、やはり帝王賞から連闘の影響もあったかもしれません。
2012年7月5日(木)月見草特別
優勝馬 アドバンスピール
- 斎藤
- 町田直希騎手のアドバンスピールは9番人気でした。
- 竹見
- 1番人気、杉村騎手のクイーンサバンナがハナを切って、町田騎手のアドバンスピールは、それを前に見る位置の好位をとりました。
- 斎藤
- 3~4コーナーあたりまでは、クイーンサバンナが逃げきるかという手ごたえでした。
- 竹見
- アドバンスピールは4コーナーから直線でもラチ沿いを突いて、前にはクイーンサバンナ、外にはぴたりとジンライムシュガーがいて、抜け出すところがありませんでした。ジンライムシュガーに余力があれば、アドバンスピールは最後まで出られなかった可能性もありますが、直線半ばでジンライムシュガーの張田騎手の手ごたえが一杯になって、下がったところを町田騎手はうまく抜け出しました。このレースぶりなら、次もいい勝負になるのではないでしょうか。
2012年7月5日(木)百合特別
優勝馬 コウエイクレスト
- 斎藤
- 3歳のコウエイクレストは、中団よりうしろからの追走でした。
- 竹見
- 藤江騎手は仕掛けて行きませんでした。ダッシュ力もあまりないのかもしれません。向正面ではずっと追いどおしで、3コーナー過ぎでようやく先団にとりつきました。
- 斎藤
- それでもゴール前はすごい脚を使いました。
- 竹見
- 4コーナーでは、手ごたえのよくない1番人気のファーストベットの内を突いて、直線では真ん中を割ってきました。道中はちょっともたもたしているような感じの馬ですが、最後の一瞬の脚はすごいですね。藤江騎手の好騎乗もあったと思います。