コラム
佐々木竹見・王者の眼差し
佐々木竹見(ささき たけみ)
元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。
平成24年度第6回開催 スパーキングサマーカップ 他
8月20~24日の開催のメインには、スパーキングサマーカップが行われました。ここはダートグレード実績のある船橋のクラーベセクレタが他馬を寄せ付けず、さすがのレースぶりを見せました。 川崎所属騎手の活躍では、21日のJRA交流オーガストフラワー賞で杉村一樹騎手がJRA所属馬に騎乗して快勝。22日の最終レースに行われた夏祭り特別では、町田直希騎手がゴールドスガを久々の勝利に導きました。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)2012年8月22日(水)スパーキングサマーカップ
優勝馬 クラーベセクレタ
- 斎藤
- 今回はクラーベセクレタの戸崎騎手が逃げる展開になりました。
- 竹見
- クラーベセクレタは、最近は2~3番手からのレースをしていたのが、今回はハナに行きました。もともとこの馬は行く気になれば行ける馬です。ダッシュ力もあるので、今回はスタートしてほとんど仕掛けていません。戸崎騎手は最初から長手綱で、馬はずっと息が入る状態で、気持よく走っています。
- 斎藤
- 他馬も無理には仕掛けてきませんでした。
- 竹見
- クラーベセクレタのペースになれば、さすがに他の馬も無理はできません。戸崎騎手は他馬の脚色を確認しながらのレースになりました。
- 斎藤
- 直線を向いて追い出されたら、あとは突き放す一方でした。
- 竹見
- さすがに交流重賞で中央の一線級と好勝負しているだけの力はあります。追い込んで来る馬はスターシップくらいしかいません。2番手を追走したルクレルクがそのまま2着に粘って、スターシップは中団追走からしっかり伸びて3着に入りましたが、すでに前とは差がついていました。1分40秒3は好タイムでした。
2012年8月21日(火)オーガストフラワー賞
優勝馬 ナンゴクユニバース
- 斎藤
- 杉村騎手は3番人気、JRAのナンゴクユニバースに騎乗しての勝利でした。
- 竹見
- 杉村騎手は外枠からのスタートで、後方3番手からでした。交流レースはどうしてもテンのペースが速くなるときがあるので、あまり仕掛けては行きませんでした。終いにいい脚を使えるので、それを生かす競馬でと、調教師から聞いていたのではないでしょうか。
- 斎藤
- 杉村騎手は後方追走からロングスパートでした。
- 竹見
- 先行集団が固まっているところ、揉まれずに追走しました。向正面から仕掛けていって、4コーナー手前で一気にハナに立つ勢いでした。レースの流れもこの馬に向いたと思います。後方に下げても内に入れず、外からまくっていったのも正解だったと思います。
- 斎藤
- 杉村騎手は、勝負どころで一気に仕掛けていく思い切ったレースぶりが目立ちます。
- 竹見
- 今回、逃げ馬はつぶれましたが、2番手、3番手に行った馬が2着、3着に残っていますから、馬に力もあったでしょうし、杉村騎手は好騎乗だったと思います。落ち着いた騎乗ぶりも目立ちます。
2012年8月22日(水)夏祭り特別
優勝馬 ゴールドスガ
- 斎藤
- 町田騎手のゴールドスガは、外枠からのスタートで、押して中団につけました。
- 竹見
- この馬は今まではほとんど最後方からの追走で、追い込んでも届かずというレースばかりでしたから、このくらい積極的に行って正解です。
- 斎藤
- 4コーナーを回って3番手から前をとらえました。
- 竹見
- 末脚が切れるというわけでもなく、ゴール前じりじりと伸びてくる馬なので、勝とうと思えば、やはり勝負どころである程度いい位置につける必要があります。
- 斎藤
- ゴールドスガは、2歳時の10月以来、1年10カ月ぶりの勝利となりました。
- 竹見
- 今回のように積極的に好位につけるレースをすれば、上のクラスに行っても勝てると思います。町田騎手の好騎乗でした。
- 斎藤
- 同厩舎、同馬主で、藤江渉騎手が乗ったビクトリースガが、後方追走から直線追い込んで3着でした。
- 竹見
- この馬も次回、もう少し好位からレースが進められれば勝つチャンスはあると思います。