コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成24年度第3回開催 関東オークス 他

6月11日~15日の開催でメインとして行われたのは、13日の関東オークス(JpnII)。勝ったのは船橋のアスカリーブルで、鞍上は今野忠成騎手でした。今野騎手は今季、このアスカリーブルで東京プリンセス賞と併せて南関東牝馬二冠を達成。またアートサハラでは羽田盃を制するなど、3歳線戦で大活躍を見せています。 そのほか、11日のさくらんぼ特別は増田充宏騎手が5番人気のサンデーゴールドを勝利に導きました。12日のJRA交流・ジューンスター賞は、杉村一樹騎手のハバナマティーニがコースレコードで勝利しました。 今回はこの3レースについて佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2012年6月13日(水)関東オークス

優勝馬 アスカリーブル

斎藤
今野騎手のアスカリーブルは、好スタートでしたが控えました。
竹見
スタート後はリカチャンスとエイシンキンチェムが競り合ってペースが早くなりました。そのペースを読んだ今野騎手は、中団まで下げて1周目のスタンド前でも動かずじっとしていました。
斎藤
仕掛けのタイミングはいかがでしょう。
竹見
今野騎手は3コーナーあたりで無理せず好位まで上がって行きました。ウィリアムズ騎手のサトノジョリーが3コーナー過ぎで先頭に立ちましたが、これは少し早かったように思います。
斎藤
直線では、そのサトノジョリーが先頭でしたが、今野騎手のアスカリーブルが差し切りました。
竹見
ウィリアムズ騎手は直線が短いと思って早めに仕掛けたのかもしれませんが、最後は一杯になってしまいました。その流れを読んだ今野騎手は落ち着いて乗っていました。よほど自信があったのでしょう。アスカリーブルには、距離が長くなったのもよかったと思います。

2012年6月11日(月)さくらんぼ特別

優勝馬 サンデーゴールド

斎藤
サンデーゴールドは5番人気。増田騎手はスタート後、後方から4番手の追走でした。
竹見
真島騎手のメディオセントロが行く気を見せてハナに立って、それで流れが落ち着くかと思いましたが、1周目のゴール板あたりで外から佐藤博紀騎手(マンボノリズム)と坂井英光騎手(タマモアイガー)が競りかけてペースが速くなりました。
斎藤
増田騎手は3コーナー手前から徐々に位置取りを上げて行きました。
竹見
3~4コーナーで外からまくって行きましたが、一気にまくりきってしまったのがよかったと思います。こういうときに先行勢のうしろあたりで我慢してしまうとダメです。一旦勢いを止めて、直線でもう一度伸びるというのは難しいです。一気に行ってしまって正解です。
斎藤
直線は、坂井騎手のタマモアイガーと接戦でした。
竹見
前で競り合った中ではタマモアイガーが最後までよく粘りました(2着)。サンデーゴールドの増田騎手が3~4コーナーで行き切っていなければ、この馬に勝たれたでしょう。仕掛けのタイミングがよかったと思います。増田騎手は騎乗姿勢も綺麗だし、かなり上手になりました。

2012年6月12日(火)ジューンスター賞

優勝馬 ハバナマティーニ

斎藤
ハバナマティーニの杉村騎手は、少し気合を入れながら、中団からでした。
竹見
泥をかぶっても気にしない馬なのかもしれません。内でじっとしていて、3~4コーナーで外に持ち出すという、ロスのない理想どおりの乗り方でした。
斎藤
レコード決着になりました。
竹見
レコードは、雨が降って馬場が軽かったこともありますが、ハバナマティーニは終いにいい脚を使う馬ですね。こういう馬場になるとテンにみんな行きたがるので、終いのいい馬は、うまく乗れば来ますね。それと、鞍上も落ち着いていました。1番人気だったように馬も強かったですね。上のクラスに行ってもやれるのではないでしょうか。