コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成23年度第12回開催 川崎記念 他

1月23~27日の開催のメインとして行われた川崎記念は、スマートファルコンがレコードで圧勝、ダートグレード9連勝を達成しました。 この開催では恒例となった佐々木竹見カップ・ジョッキーズグランプリも行われ、今回は南関東所属騎手が表彰台を独占する結果となりました。そして、その最終レースには、本企画をレース名に冠した『王者の眼差し賞』が行われました。 今回はこの4レースについて佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2012年1月25日(水)川崎記念JpnI

優勝馬 スマートファルコン

斎藤
スマートファルコンは絶好のスタートでした。
竹見
ダッシュがよかったですね。フリオーソの戸崎騎手も前に行こうとしていたと思いますが、スマートファルコンにあの勢いで行かれたら控えるしかありません。
斎藤
コースレコードを2秒も更新する決着となりました。
竹見
スマートファルコンにこのペースで先行されたら、かなう馬はいないでしょう。東京大賞典のときは後続がついてきたので、早めに手綱を離しましたが、今回は3コーナー過ぎまで抑えていました。乾ききっていたダートに雨が降って、いい具合に馬場が締まっていました。スマートファルコンにはスピードの出やすいこういう馬場が一番合うのではないでしょうか。ダートを走る馬は、スマートファルコンもそうですが、爪がいい形をしています。そういう意味では、フリオーソもいい爪をしています。
斎藤
フリオーソは、スマートファルコンを追走しましたが、残念ながら3着でした。
竹見
今回は休み明けもあったと思います。それでも3着ですから、8歳でもこれだけ走るのは、やはりすごい馬です。

2012年1月24日(火)マイスターチャレンジ

優勝馬 トウカイバロン

斎藤
勝った森泰斗騎手のトウカイバロンは、5~6番手からでした。
竹見
1コーナーを回るあたりでは、先行した4~5頭の塊のうしろにつけて、うまく内に入れています。3~4コーナーで外に出して上がっていったときの手ごたえが、他の馬とはぜんぜん違いました。1番人気で、馬の力も違っていたと思います。
斎藤
3着の赤岡騎手は、4コーナーで大外を回って追い込んできました。
竹見
後方からの追走だったので、このくらい団子状態になると内に入れるわけにもいかず、外を回してくるしかないので、これはしかたないです。川崎の3~4コーナーで馬群がこれほど固まるのはめずらしいですね。

2012年1月24日(火)ビクトリーチャレンジ

優勝馬 ダルタニヤン

斎藤
内枠から戸崎騎手のダルタニヤンがすんなりとハナに立ちました。
竹見
普段はうしろから行っている馬で、直線追い込んで届かずというレースをしているので、今回も6番人気と人気はありませんでしたが、戸崎騎手は遅くもなく早くもなく、平均ペースでした。
斎藤
向正面で後続が仕掛けてきてもハナは譲りませんでした。
竹見
馬も気持ちよく余裕を持って走っていましたから、もともと終いのいい馬がこういう展開になれば、強いレースをして当然でしょう。直線でこの馬が追い出したら、後続の馬はついてこられませんでした。

2012年1月24日(火)王者の眼差し賞

優勝馬 ハートゴールド

斎藤
的場騎手のハートゴールドの逃げ切り勝ちでした。
竹見
的場騎手は1番枠なので、最初から行く気を見せてハナに行きました。直線でもほとんど追うところがなく、このクラスでは力が抜けていました。
斎藤
3着に追い込んだ杉村騎手のリコーレッドは、スタート後はうしろから2番手でした。
竹見
内からうまく位置取りを上げて行って、4コーナーでは4番手。馬群がバラけてうまく抜けました。直線でもよく伸びています。このクラスなら、次あたりはチャンスがあるのではないでしょうか。
斎藤
吉原騎手のクラッチシューターは、道中折り合いがつかず5着でした。
竹見
折り合いというより、口向きが悪くて、ずっとフワフワしています。手綱を引っ張れば折り合いはつかないし、だからと言って手綱を放しても伸びないという、これはしかたないですね。