コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成23年度第2回開催 川崎マイラーズ 他

5月16~20日の開催のメインは、東日本大震災復興支援として行われた川崎マイラーズ。1番人気にこたえて勝ったのはザッハーマインで、これで南関東に転入してから重賞4勝目。今回、牡馬が相手でも強いレースを見せました。 同日の最終レースに行われたペガサス特別は、山崎誠士騎手のドリームアスパイアが好位から抜け出して勝ちました。また、最終日の小田原城花菖蒲特別では、酒井忍騎手のジュウクリュウオウが直線鮮やかに抜け出しました。 今回はこの3レースについてうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2011年5月18日(水)川崎マイラーズ

優勝馬 ザッハーマイン

斎藤
ザッハーマインは今回も的場騎手で、1番枠からのスタートでした。
竹見
的場騎手は3、4番手のいい位置につけました。重賞勝ち馬が何頭かしかいないという相手関係で、すぐ前にいたディアーウィッシュをマークして、この馬さえ交わせばというつもりで乗っていたのではないでしょうか。
斎藤
ゴール前でディアーウィッシュをとらえ、1馬身半差をつけて勝ちました。
竹見
4コーナーでは、前には逃げたマグニフィカとディアーウィッシュしかいませんでしたから、直線を向いて外に持ち出し、余裕を持って差し切りました。牝馬ですが、牡馬とやってもいいレースをしますね。
斎藤
逃げたマグニフィカは、直線後退して5着でした。
竹見
マグニフィカはゲートを出てからの行きっぷりがよくなかったですね。このあたりのメンバーなら逃げ切ってもいいと思うのですが、どうしたのでしょう、ここのところまったくいいところがありません。

2011年5月18日(水)ペガサス特別 B1二

優勝馬 ドリームアスパイア

斎藤
山崎誠士騎手が通算400勝を達成したレースです。スタート後の直線は先行争いが激しくなりました。
竹見
外から水野騎手のキープザチェンジが出ムチを入れて思い切って行って、内の的場騎手のブライティアグラスも行く気を見せましたが、結局キープザチェンジにハナを譲る形になりました。そのうしろにつけた石崎隆之騎手のクロスデジタル、そして山崎騎手のドリームアスパイアは外枠でしたが絶好の位置取りになりました。
斎藤
そのドリームアスパイアがゴール前で差し切りました。
竹見
山崎騎手は、4コーナーで先行2頭の外にうまく持ち出しました。最後までよく伸びましたが、勝負どころでスムーズにレースができたぶんで勝てたと思います。
斎藤
ゴールでは外から森泰斗騎手のトーセンベルファムがクビ差まで迫りました。
竹見
森騎手は落ち着いていい騎乗をしますね。今回もスタート後にスッと控えて中団のラチ沿いを追走しました。この馬は、次は勝てるのではないでしょうか。
斎藤
石崎騎手のクロスデジタルは惜しい3着でした。
竹見
石崎騎手は4コーナーから直線を向いたところで前がずっと壁になって、出すところがなかったのが残念でした。ゴール前でようやく前が空きましたが、ちょっと遅かったですね。

2011年5月20日(金)小田原城花菖蒲特別 C1一

優勝馬 ジュウクリュウオウ

斎藤
このレースも先行争いが激しくなりました。
竹見
酒井忍騎手のジュウクリュウオウは、前で4、5頭が競り合ったうしろの内に入れて、いちばんいい位置につけられました。向正面の流れが落ち着いたところでもよく折り合っていました。
斎藤
酒井騎手は道中脚を溜めて、直線一気というレースが得意ですね。
竹見
酒井騎手は4コーナー手前からムチが入って、苦しいレースをしているように見えましたが、直線で外に出したら一気に伸びて、他馬とは脚色が違っていました。落ち着いて乗っていて、好騎乗でした。これだけ終いの脚が使えれば、B級に上がっても十分勝負になるのではないでしょうか。
斎藤
勝ち馬のうしろにいた的場騎手のクリスザドールが2着に来ました。
竹見
的場騎手は向正面からずっと追い通しでした。これで2着に持ってくるのは、さすが的場騎手です。
斎藤
山崎誠士騎手のスパンキラービットが3コーナー過ぎで先頭に立って、そのまま粘るかと思いましたが、ゴール前失速して6着でした。
竹見
この馬は新馬戦と2戦目を楽勝で連勝して、出世するかと思って見ていたんですが、最近はなかなか勝てませんね。