コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成22年度第11回開催 報知オールスターカップ杯 他

2011年正月開催のメインとして行われた報知オールスターカップ(1月3日)は、川崎所属馬が上位4着までを独占。ここのところ南関東の重賞戦線では苦戦が続いた川崎勢ですが、そのうっ憤を晴らすような結果となりました。勝ったのは、山崎誠士騎手のボランタス。昨年は浦和・ゴールドカップを制し、浦和記念(JpnII)でもスマートファルコンの2着があっただけに、川崎記念(JpnI)に向けて期待が高まります。 そのほか、酒井忍騎手がビービーゼオで制した3歳馬による初夢特別(1月2日、第10レース)、藤江渉騎手がヒロキキュウで制したB3級馬による紅梅特別(1月3日、第12レース)について解説をいただきました。(聞き手・構成/斎藤修)

2011年1月3日(月)報知オールスターカップ

優勝馬 ボランタス

斎藤
ボランタスの山崎誠士騎手は、控えて中団よりうしろからの追走となりました。
竹見
普段からうしろのほうから行く馬で、終いの脚がいいということを知っているし、浦和のゴールドカップを勝っていることもあって、山崎騎手は馬を信じて乗っていましたね。
斎藤
ペースが落ち着く1周目のスタンド前でも、ボランタスはまだ中団でじっとしていました。
竹見
2100メートルだと普通はあのあたりでスローになるんですが、今回は平均ペースか、ちょっと速めのペースだったので、前のほうで何頭かが固まった集団のうしろのいいところにつけました。あの位置どりはよかったですね。
斎藤
向正面からロングスパートで一気に行きました。
竹見
3~4コーナーでは一気に先頭に立ちました。さすがに中央で5勝しているだけのことはあります。ここに来て馬もだいぶよくなっていたようです。
斎藤
直線ではブルーラッドを競り落としました。
竹見
ブルーラッドは速めのペースで3番手の好位を追走して、よく2着に粘ったと思います。ボランタスはそのブルーラッドを4馬身離しましたから、今回は強かったですね。山崎騎手も慌てることもなく、うまく乗りました。次の川崎記念が楽しみです。

2011年1月2日(日)初夢特別

優勝馬 ビービーゼオ

斎藤
ビービーゼオの酒井忍騎手は、スタート後の直線では控えるような感じで内の3番手からでした。
竹見
ビービーゼオは躓くような感じのスタートでした。酒井騎手は最初の直線で外に出したかったのかもしれませんが、外から一気にマダムやヴェガサンボーイに来られたので、先に行かせたんだと思います。
斎藤
それでもコーナーワークで2番手につけて、マダムをすぐ前に見る位置でラチ沿いを進みました。
竹見
(マダムは)逃げ馬なら、抜け切ってラチ沿いに入るのが普通だと思うのですが、乗っているのが若い国分祐仁騎手でしたからね。行くでもなく、引くでもなくという逃げで、ビービーゼオの酒井騎手は少し乗りずらかったかもしれません。3コーナーでは一旦前に出ましたが、4コーナー手前でもう一度外からマダムが出てきました。ただ酒井騎手はずっと余裕がありました。内にいても泥をかぶることがなかったので、直線では抜け出せると思って乗っていたのではないでしょうか。直線ではあっという間に突き放して、強い競馬でした。
斎藤
逃げたマダムも直線入口までは見せ場をつくりました。
竹見
手ごたえがよかったので、勝てそうな感じもありましたが、最後は後退してしまいました。地元の浦和に戻って、条件が合えば勝てる力はあるかもしれません。

2011年1月3日(月)紅梅特別

優勝馬 ヒロキキュウ

斎藤
藤江渉騎手のヒロキキュウは、4番手あたりからの追走になりました。
竹見
スタートで7番のサミンガードナーが内に切れ込んで、ヒロキキュウは進路を遮られる形になりました。それで前には行けませんでしたが、そのあと外からほかの馬が来なかったので、うまく外に持ち出して、2コーナーでは3番手のいい位置をキープしました。
斎藤
ヒロキキュウは、4コーナーで1番人気のサミンガードナーに外から並びかけて、直線ではじりじりと差を広げました。
竹見
藤江騎手は、スタートでサミンガードナーに前に入られても引かなかったのがよかったと思います。それで好位をとることができました。ヒロキキュウは5番人気でしたが、強いレースをしましたね。