コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成22年度第10回開催 シクラメン特別 他

12月13~17日の開催では、全日本2歳優駿(JpnI)が行われました。勝ったのは、JRAのビッグロマンス。エーデルワイス賞(JpnIII)、兵庫ジュニアグランプリ(JpnII)を連勝してきたリアライズノユメが2着で、地方馬最先着は、3着の浦和・キスミープリンスでした。 そのほか今回は、山崎誠士騎手がビーライトで制した3歳馬によるシクラメン特別(13日、第8レース)、今野忠成騎手がハバナマティーニで制した2歳のポインセチア特別(14日、第8レース)について解説をいただきました。(聞き手・構成/斎藤修)

2010年12月13日(月)シクラメン特別

優勝馬 ビーライト

斎藤
ビーライトの山崎騎手は、スタートで気合を入れましたが、控えて内の5番手からになりました。
竹見
雨もあってテンが速くなりましたが、山崎騎手は折り合いをつけてうまく乗りました。3~4コーナーでは前を交わせる感じの手ごたえで、直線では佐藤博紀騎手のエフケーシャークに一旦は前に出られましたが、最後は差し返しました。このあたりは力の違いでしょう。
斎藤
2年目の伊藤裕人騎手が2番手から粘って3着でした。
竹見
伊藤騎手のヒダカマウンテンは、すんなりハナに行けていれば、もう少しいい勝負をしたかもしれません。ひとつ内枠のマイゾウキンに先に行かれて、少し掛かってしまったのが残念でした。

2010年12月14日ポインセチア特別

優勝馬 ハバナマティーニ

斎藤
勝った今野騎手のハバナマティーニは、好位の内を追走しました。
竹見
スタート後、前は4頭が横一線で競り合っていましたが、枠順的に一番外だった今野騎手は、1コーナーの手前で一旦下げて空いている内に入れました。川崎コースの絶好位につけました。ここで勝負が決まった感じでした。2歳のこの時期に、前に馬を置いてレースをさせるというのもいい経験になったと思います。
斎藤
今野騎手は、直線で内の狭いところを突きました。
竹見
直線では外から追い込んできたオンブラマイフと接戦になりましたが、最内のコースロスが少ないところを通ったぶん、今野騎手のハバナマティーニが先着しました。オンブラマイフの森泰斗騎手も道中折り合いをつけてうまく乗りました。強いレースをしたのはオンブラマイフのほうだったと思いますが、最後は4コーナーから直線のコース取りの差だったのではないでしょうか。

2010年12月15日(水)全日本2歳優駿

優勝馬 ビッグロマンス

斎藤
エルウェーオージャとリョウウンが飛ばして、リアライズノユメは直後の3番手、ビッグロマンスはその外につけました。
竹見
やはり有力馬は前のいい位置につけましたね。リアライズノユメはテンのダッシュもよくて、福永騎手が抑えて追走していました。ガムランも向正面ではリアライズノユメとビッグロマンスを前に見る位置からの追走でした。3~4コーナーでは前が一気に入れ替わりました。直線でリアライズノユメを一気に交わしていったビッグロマンスは強かったですね。
斎藤
浦和のキスミープリンスが内から伸びて3着でした。
竹見
外のガムランが3着かと思いましたが、最後にキスミープリンスがひと伸びしました。戸崎騎手は1コーナー手前で空いていた内にスッと入れて、ラチ沿いの絶好位を追走しました。一番いいレースをしたのはこの馬です。戸崎騎手の好騎乗でした。
斎藤
北海道2歳優駿を勝ったカネマサコンコルドは8着でした。
竹見
カネマサコンコルドもいい勝負をするだろうと思って見ていたのですが、左回りが初めてで、外に逃げるような感じでコーナーを回るのに苦労していました。