コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成22年度第9回開催 菊花特別 他

11月15~19日の開催でメインとして行われたのは、3歳牝馬によるロジータ記念でした。ここでは2番人気のショウリダバンザイが、1番人気のハーミアを並ぶ間もなく交わし去り、重賞3勝目を挙げました。 そのほか今回は、山崎誠士騎手がクニフォフィアで制した菊花特別(15日第10レース)と、金子正彦騎手が制した川崎ジョッキーズカップ(19日第7レース)についてうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2010年11月15日(月)菊花特別

優勝馬 クニフォフィア

斎藤
勝ったクニフォフィアの山崎誠士騎手は、2番手からでした。
竹見
山崎騎手は、スタートして楽な手ごたえで先行しました。内から御神本騎手のプレストクィーンがハナに立って、ペースは少し速かったかもしれません。最初のゴール板あたりで流れが落ち着きましたが、御神本騎手は少し掛かっていたようです。山崎騎手にとっては、ひとつ内枠の御神本騎手が行ってくれたので、それについて行く形で、楽に好位の2番手をキープできました。
斎藤
3~4コーナーで先頭の御神本騎手が後退して、山崎騎手が先頭に立つ形になりました。
竹見
山崎騎手にとっては、仕掛けて行くにはちょうどいいタイミングで先頭に立てたのではないでしょうか。直線では一瞬にして先頭に立ちました。どの馬にも不利のない、きれいなレースで、クニフォフィアの強さが目立ったレースでした。
斎藤
ゴール前、2着争いが激しくなりました。
竹見
繁田騎手のカジノメンバーは、中団ラチ沿いのいい位置につけて、最後は外からよく伸びてきました。佐藤博紀騎手のシルクエロージュはずっと内を通って、直線でも伸びて来ましたが、最後は少し伸びきれず3着でした。コースロスの少ない競馬をして届かなかったわけですから、上位2頭とは少し力の差があったのかもしれません。

2010年11月17日(水)ロジータ記念

優勝馬 ショウリダバンザイ

斎藤
ハーミアは4~5番手、ショウリダバンザイはそのうしろ、中団からの追走でした。
竹見
ショウリダバンザイは、うしろから行って末脚を生かす競馬がいいみいたいですね。今回、御神本騎手は初騎乗でしたが、前に人気のハーミアを見る形で、中団に控えてかなり我慢してレースを進めていました。1周目のスタンド前でペースが落ち着いたあたりでは、普通なら外に出して行きたくなるところですが、そのあたりでも前に馬の壁をつくる形で、よく我慢していたと思います。
斎藤
御神本騎手は3コーナーから外をまくるように仕掛て行きました。
竹見
4コーナーでは一番外を回しましたが、勢いもついていたし、スムーズにレースができたということでは、かえって外を回ったのがよかったかもしれません。直線での一瞬の脚は、かなりのものです。ハーミアを一気に交わしました。ただ直線では内にササるようなところがあり、口むきがあまりよくないのかもしれません。そのあたりは今後の課題になるでしょう。
斎藤
ハーミアも直線を向くあたりでは勢いがあったように見えたのですが。
竹見
戸崎騎手もうまく乗っていましたが、直線で一気に交わされてしまいました。今回は、相手が強かったということでしょう。

2010年11月19日(金)2010秋 川崎ジョッキーズカップ

優勝馬 バンドネオン

斎藤
勝ったバンドネオンの金子正彦騎手は、先頭からはかなり離れて、後方から3番手の追走でした。
竹見
テンには仕掛けずに、馬なりでの追走でした。金子騎手は過去にこの馬に何度か乗ったことがあったので、馬のこともわかっているし、余裕があったのではないでしょうか。 それにしても4コーナーでもまだ中団よりうしろにいて、あの位置からよく追い込みましたね。最後は1馬身半差をつけて、余裕がありました。こういう勝ち方は騎手にしてみれば気持ちいいでしょうね。
斎藤
逃げた今野騎手のヤマイチシハイが2着に粘りました。
竹見
ヤマイチシハイは少し行きたがっていたようで、向正面あたりでは口を割って掛かっていました。もう少し折り合いがつけば最後まで粘れたかもしれません。