コラム
佐々木竹見・王者の眼差し
佐々木竹見(ささき たけみ)
元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。
平成22年度第5回開催 スパーキングサマーカップ 他
8月18~20、23・24日の開催では、20日にスパーキングサマーカップが行われ、今野忠成騎手のディアーウィッシュが直線鮮やかに抜け出しました。 その日の最終レース、夏祭り特別では、酒井忍騎手のイシノゼフィルスが見事な追込みを決めました。 また、この開催最終日の最終レース、綺羅星特別では、町田直希騎手のビクトリースガが5馬身差で快勝。 今回は、以上3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)2010年8月20日(金)スパーキングサマーカップ
優勝馬 ディアーウィッシュ
- 斎藤
- キングスゾーンの安部幸夫騎手がが叩いてハナに行きました。
- 竹見
- 1番枠ですから、この馬は行くしかないですね。
- 斎藤
- サプライズゲストの川島正太郎騎手が2番手でした。
- 竹見
- ほんとうならこの馬が行きたかったのかもしれませんが、内からキングスゾーンに気合を入れて行かれてしまいました。それでも馬が行きたがるところを川島騎手はよく抑えました。
- 斎藤
- 前2頭が競り合ったことで、今野忠成騎手のディアーウィッシュには絶好の展開になったのではないでしょうか。
- 竹見
- 今野騎手は3番手の外、前を見る形で、砂をかぶらない絶好位につけてレースができました。相手はサプライズゲストだけと思って乗っていたでしょうから、おそらく向正面あたりでは勝ったと思ったのではないでしょうか。3~4コーナーでサプライズゲストが先頭に立ったときも慌てずに、直線で余裕を持って交わしました。
- 斎藤
- サプライズゲストは、最後に交わされて3着でした。
- 竹見
- ハナに行って抑えられれば勝っていたかもしれませんが、キングスゾーンがいたのでこれは仕方ありません。競り合ったことで厳しいペースになり、ゴール前はバタッと止まってしまいました。
- 斎藤
- 石崎駿騎手のベルモントプロテアが、直線伸びて2着でした。
- 竹見
- 石崎騎手は2番枠からのスタートでしたから、前に行った2頭のうしろが空いたところにつけて、じっとしていればよかったと思うのですが、1周目のゴール板あたりでは一旦下げて、外に出しました。もしかして砂を被ったらよくないのかもしれません。それでも最後は前が速かったからなのか、よく伸びてきました。
2010年8月20日(金)夏祭り特別
優勝馬 イシノゼフィルス
- 斎藤
- 先行争いが激しくなりました。
- 竹見
- ナイキヴァザーリの川島正太郎騎手が行く気だったんでしょうけど、外からモエレマジックマンの山崎誠士騎手も来て、内の川島騎手は下げるわけにいかないので、互いに譲らずという展開になりました。向正面まで競っていますから、こうなったらこの2頭は厳しいですね。
- 斎藤
- 直線では的場文男騎手のダンスソーランが一旦は抜け出して勝ったかと思いましたが。
- 竹見
- ダンスソーランは、競り合った2頭から少し離れたラチ沿いの4番手で、いちばんいい位置につけていました。そのほか、澤田龍哉騎手のアーサルビー、町田直希騎手のシツジツゴウケンあたりも同じような位置でしたが、好位勢は直線で案外伸びませんでした。
- 斎藤
- 勝ったイシノゼフィルスは後方からでした。
- 竹見
- 向正面あたりでもかなり離れた後方で、ずっと追い通しだったので、酒井忍騎手もまさか勝てるとは思ってなかったのではないでしょうか。もともと終いがいい馬なんですが、テンが速かったこともあったかもしれません。最後にいい脚で伸びてきました。終いに脚を使う馬がほかにいなかったということもあったかもしれませんが、イシノゼフィルスにとっては、今回は流れがはまりました。
2010年8月24日(火)綺羅星特別
優勝馬 ビクトリースガ
- 斎藤
- 町田騎手のビクトリースガは1番枠でしたが、いつのように下げました。
- 竹見
- 町田騎手はスタートを切って、少し仕掛てから抑えれれば、もう少し好位がとれると思うんですが、スタートしてそのまますぐに抑えてしまうので、いつも後方からになってしまいます。それでもビクトリースガはデビューからずっと騎乗しているお手馬なので、3コーナーから早めに行って先頭をつかまえ、直線では楽に突き放しました。町田騎手は、この日3勝と大活躍でした。
- 斎藤
- 2戦連続のレコード勝ちで、1番人気に期待されたチョウサンペガサスは、残念ながら4着に負けてしまいました。
- 竹見
- 今回は休み明けのためか、ちょっと走らなかったですね。本来の調子にはなかったのかもしれません。
- 斎藤
- 山崎騎手のスパンキーラビットもデビューした頃は注目された馬だったと思うのですが、今回は3着でした。
- 竹見
- スパンキーラビットは新馬戦と2戦目を楽勝して期待された馬です。一時ちょっと体調を崩して休ませ、復帰してきたんですが、なかなか勝てません。今回も楽に先頭に行ってはいるんですが、直線は伸びませんでした。