コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成22年度第2回開催 川崎マイラーズ 他

5月10~14日の開催のメインは、12日に行われた川崎マイラーズ。注目のユキチャンは9着と残念な結果に終わりましたが、勝った大井のイーグルショウは重賞初制覇となりました。 そのほか、期待の3歳馬ラムセスジュベリーが通算5勝目を挙げた10日のハナミズキ特別、町田騎手がコッツウォルズで豪快に追込みを決めた13日の薫風特別を振り返っていただきました。(聞き手・構成/斎藤修)

2010年5月12日(水)川崎マイラーズ

優勝馬 イーグルショウ

斎藤
坂井英光騎手のイーグルショウは、ラチ沿い3~4番手の内を追走しました。
竹見
坂井騎手はスタート後は中団でしたが、1番枠の水野騎手(ヴァイタルシーズ)が前に行ってくれて、2番枠の今野騎手(ユキチャン)も外に出していきましたから、その空いた内に入って、少しずつ位置取りを上げて絶好位につけました。川崎コースでは理想の位置取りです。
斎藤
4コーナーでは、逃げていた川島騎手のサプライズゲストを射程圏にとらえました。
竹見
すぐ外にいたユキチャンが早めに後退して、3コーナー過ぎで後続が少し離れました。それでうまく外に持ち出して、楽に2番手に上がりました。直線ではサプライズゲストに逃げ切られたかなとも思ったんですが、イーグルショウは最後によく伸びました。
斎藤
着実にクラスを上げてきて、重賞初制覇となりました。
竹見
間隔を開けて、じっくり大事に使ってきたのがよかったと思います。
斎藤
サプライズゲストもよく粘っていましたね。
竹見
サプライズゲストが勝ってもおかしくないようなレースでしたが、イーグルショウの坂井騎手はそれ以上にうまく乗りました。
斎藤
ユキチャンは好位につけましたが、後退して9着でした。
竹見
ちょっと残念な結果でした。3コーナーあたりで後退してしまいました。マイルの忙しい競馬は合わないのかもしれません。

2010年5月10日(月)ハナミズキ特別

優勝馬 ラムセスジュベリー

斎藤
今野騎手のラムセスジュベリーは好スタートでした。
竹見
テンから抑えたまま、ほとんど何もせずに2番手につけました。やっぱりダートでは、ある程度先行できる馬が強いです。向正面あたりでも楽な手ごたえで、いつでも抜け出せる位置につけていました。
斎藤
4コーナーまで楽な手ごたえに見えましたが、最後は意外に差を詰められました。
竹見
戸崎騎手のサイレントドン、的場(文男)騎手のゴールデンライフに差を詰められましたが、それでも強いレースをしています。直線では追ってから少しフラフラしているところがあったので、そのあたりが影響したのでしょうか。それでもこういう馬は相手なりに走ります。

2010年5月13日(木)薫風特別

優勝馬 コッツウォルズ

斎藤
町田騎手のコッツウォルズは、スタート後にかなり離れた後方からになりました。最後方は水野騎手のオオシマセレーネでしたが、これはゲートを出たときに落馬したヒットトップガンの影響を受けていますから、実際にはコッツウォルズが最後方からでした。
竹見
町田騎手はスタート後からほとんど仕掛けていません。秋山調教師からの指示だったのかもしれませんが、それにしてもずいぶんうしろでした。よくこの位置から行って勝ったと思います。
斎藤
かなり縦長の展開になりましたね。
竹見
1コーナーまで前の5頭ほどが横一線で競り合って、ハナを争う競馬になったので、前はかなりハイペースになりました。
斎藤
コッツウォルズは、直線ではあの位置からよく追い込んできました。
竹見
前に行った馬たちが直線でバタバタになってしまったこともありましたが、それにしても4コーナーでは先頭とはかなり離れていましたから、終いがいい馬とはいえ、よく勝ったと思います。町田騎手にとっては展開に恵まれた面もありましたが、こうした極端なレースはめずらしいかもしれません。