コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成22年度第8回開催 菊花特別 他

10月25~29日の開催でメインに行われたのは、2歳牝馬による重賞のローレル賞。ここは、前開催の鎌倉記念で牡馬を相手に4着と好走していた大井のオリークックが貫禄勝ちを見せました。 そのほか今回は、ベテランの金子正彦騎手がゴールドスガで制した2歳馬による金木犀特別(26日第9レース)、藤江渉騎手がカツヨプリンセスで制した3歳特別の道志川特別(26日第11レース)を取り上げました。(聞き手・構成/斎藤修)

2010年10月26日(火)金木犀特別

優勝馬 ゴールドスガ

斎藤
ゴールドスガの金子騎手は、スタート後5番手あたりに控えました。
竹見
ゴールドスガは好スタートでしたが、他に外から行く馬がいたので控えました。それでも3コーナーでは先団3頭の直後の内にピタリとつけました。終いがいい馬なので、ここでこの位置につけられたら他の馬はかないません。
斎藤
向正面では金子騎手のうしろにつけていた山崎騎手のリックオンファイアですが、3コーナーでは一気に前に並びかけていきました。
竹見
それでも金子騎手は追い出しを我慢していました。金子騎手はじっくり乗るのがうまいので、終いにいい脚を使うこの馬には合っています。直線では町田騎手と山崎騎手の間から抜けてきました。すでにこれが4戦目と、レースを重ねてきた経験もあります。
斎藤
町田騎手のダルタニヤンが半馬身差で2着でした。
竹見
ダルタニヤンは、スタートでは後方でしたが、2コーナーあたりでは引っかかって一気に先頭まで並びかけました。先行したほかの2頭はバテてしまいましたから、この馬も力があります。新馬戦を勝って、これがデビュー2戦目ですから、これからまだ強くなるでしょう。

2010年10月26日(火)道志川特別

優勝馬 カツヨプリンセス

斎藤
勝った藤江騎手のカツヨプリンセスは4番手からでした。
竹見
藤江騎手は、先行3頭の直後、いちばんいい位置につけました。逃げた今野騎手のコルドンブルーはちょっと飛ばし過ぎた感じでした。
斎藤
カツヨプリンセスは、3~4コーナーで外からまくりぎみに前の3頭を交わして、直線では馬場の3分どころから伸びました。
竹見
直線では内によれるようなところがあったので、外の手綱を引いて外に行くように走らせましたが、左にステッキを入れたほうがよかったと思います。それでも最後は楽に突き放していますから、このメンバーでは力が上でした。
斎藤
藤江騎手は、昨年は1年間で30勝だったのが、今年はすでに36勝(11月9日現在)しています。
竹見
藤江騎手は足立厩舎の所属になってからいい馬に乗る機会が増えて、活躍が目立ちます。騎手は勝ち星が増えてくれば落ち着いて乗れるようになるので、さらによくなります。

2010年10月27日(水)ローレル賞

優勝馬 オリークック

斎藤
坂井英光騎手のオリークックは、スタートでは後方でしたが、直線余裕を持って抜け出して強いレースをしました。
竹見
坂井騎手はよほど自信があったのか、後方からでも落ち着いて乗っていました。3~4コーナーでは絶好の手ごたえで位置どりを上げてきました。このあたり他馬とは手ごたえが、はっきり違っていました。
斎藤
2着のマルヒロブライティは、今シーズン重賞を勝って大活躍の本多正賢騎手です。
竹見
マルヒロブライティも抑えていい位置を進みました。3コーナーからはいい手ごたえで上がってきました。勝ってもおかしくないレースぶりで、これで負けたのでは、勝った馬がそれ以上に強かったということでしょう。本田騎手は姿勢もいいし、うまくなりました。