コラム
佐々木竹見・王者の眼差し
佐々木竹見(ささき たけみ)
元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。
平成21年度第10回開催 全日本2歳優駿 他
12月14日~18日の開催では、全日本2歳優駿JpnIが行われ、笠松のラブミーチャンが無敗でJpnIを制しました。 今回は、その全日本2歳優駿のほか、15日に行われた2歳馬によるポインセチア特別、今年の川崎開催最終日となった18日のメイン、グッドラック特別を振り返っていただきました。(聞き手・構成/斎藤修)2009年12月16日(水)全日本2歳優駿
優勝馬 ラブミーチャン
- 斎藤
- 前走の園田もそうでしたが、ラブミーチャンはスタートが速いので、他の馬がついてこられませんね。
- 竹見
- とにかくダッシュ力があって速いです。こういう馬だと、騎手は楽です。折り合いを欠くこともなく、あとはマイペースでした。
- 斎藤
- 勝ちタイムの1分40秒0は、レースレコードでした。
- 竹見
- 最後までスピードが衰えることなく粘りました。それにしても速いですね。馬体のつくりも、トモ脚がしっかりしていて、いい馬です。
- 斎藤
- 1番人気のビッグバンは7着と残念な結果でした。敗因は、どうご覧になりましたか。
- 竹見
- ビッグバンは、スタートで隣のナンテカに寄られて、下げる格好になりました。これで控える形になったのは残念でした。左回りに慣れていなかったというのもあるでしょうが、3コーナーで仕掛けたときに行ききれませんでした。あそこで一気に前2頭の直後までつけられるようでないと、勝つのは難しいでしょう。それでもこの馬の能力を考えれば、もう少し走ってもよかったように思います。
2009年12月15日(火)ポインセチア特別
優勝馬 ビクトリースガ
- 斎藤
- 1番人気のビクトリースガは、控えて5番手からでした。
- 竹見
- 町田騎手はゲートを出てからもあまり仕掛けていかず、テンから楽をしています。内の馬を先に行かせて、ラチ沿いに開いたスペースのいい位置に入りました。
- 斎藤
- 勝負どころの3コーナーで、少し置かれたようでしたが。
- 竹見
- 3コーナー過ぎでは、前からやや離された中団。あそこからよく差し切りました。3コーナー手前でほかの馬が仕掛けていったときに置かれてしまいましたが、前で競り合った馬のペースが速かったようで、先行した馬や、早めに仕掛けた馬がバテたぶん、ビクトリースガが最後に伸びたのでしょう。
- 斎藤
- 町田騎手は、終いに脚を使えることがわかっていて、こういうレースをしたのでしょうか。
- 竹見
- そうですね。これで3連勝。2歳のうちからこういうレースができれば、将来が楽しみです。
2009年12月18日(金)グッドラック特別
優勝馬 タンゴノセック
- 斎藤
- 1コーナーを回るあたりで、かなり縦長の展開になりました。
- 竹見
- テンがかなり速くなりましたね。内枠で川島正太郎騎手のワイルドキャットがすんなりと先頭に立ったのですが、外から佐藤博紀騎手のモエレマジックマンが気合を入れてハナを奪いに来ました。おそらく逃げろという指示があったのでしょう。
- 斎藤
- 後方3番手に控えた今野騎手のタンゴノセックは、最後はすごい脚で伸びてきました。
- 竹見
- 前のペースが速かったので、3コーナーで馬群が一気に詰まって、直線では先行したグループがバタバタになってしまいました。それだけに、今野騎手のタンゴノセックは、抜群の伸びでした。このクラスでは力が抜けていることもわかっていたでしょうし、かなり自信を持って乗っていたと思います。ほかに伸びてきたのは、的場文男騎手のマダムルコントと、坂井英光騎手のツルノゴゼンで、いずれも中団に控えた馬でした。
- 斎藤
- 前の馬には厳しいペースだったでしょうか。
- 竹見
- 川島正太郎騎手のワイルドキャットにとっては、スタート後の直線でモエレマジックマンに一気にこられて、ペースが上がって厳しいレースになりました。それでも最後は2着争いの接戦で粘っていますから(5着)、マイペースで先行できれば、もう少しいいところがあったかもしれません。