コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

令和元年度第10回開催 ローレル賞 他

11月17~22日の6日間開催では、重賞が2レース行われました。19日に行われた2歳牝馬によるローレル賞は、御神本訓史騎手のブロンディーヴァが直線で抜け出しました。2着にルイドフィーネ、3着にミナミンが入り、川崎・内田勝義厩舎の3頭が上位独占という快挙となりました。 20日、3歳牝馬によるロジータ記念は、メンバー中唯一の未勝利馬、大井のグランモナハートがゴール前の接戦から抜け出しました。鞍上は船橋の本田正重騎手でした。 今回は、この重賞2レースと、櫻井光輔騎手が見事勝利を収めたヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンド川崎第2戦について、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2019年11月19日(火)ローレル賞

優勝馬 ブロンディーヴァ

斎藤
逃げたのは吉原騎手のスティローザで、勝ったブロンディーヴァは3番手の外につけました。
竹見
スタート後の直線はペースが落ち着いて行きたがる馬が多く、先団がひとかたまりになって、ちょっとごちゃつく場面がありました。
斎藤
ブロンディーヴァの御神本騎手は4コーナー手前で仕掛けて行きました。
竹見
内のルイドフィーネと、3番手につけていた2頭での決着になるわけですが、御神本騎手はルイドフィーネより一瞬早く仕掛けた判断がよかった。そして4コーナーを回ったところで内を締めました。ルイドフィーネの進路がなくならないギリギリのところです。ルイドフィーネの笹川騎手は早めに外に出してもよかったと思いますが、狭いところをよく抜けてきたと思います。最後は1馬身差でしたから、ほんの少しのタイミングです。ブロンディーヴァは外枠だったのもよかったと思いますが、御神本騎手のほんの一瞬の判断がよかったです。

2019年11月20日(水)ロジータ記念

優勝馬 グランモナハート

斎藤
勝ったグランモナハートは5、6番手。最初のスタンド前では馬群の中でした。
竹見
スタンド前ではスローになって行きたがる馬が多いなか、グランモナハートの本田騎手はずっと楽をさせています。ペースが遅いと見て外から進出したキタサンベッキーは、結果的には勝負にはなりませんでしたが(8着)、川崎の長距離戦でペースが遅くなったときは行って正解です。それでレースが流れました。
斎藤
逃げた山崎騎手のシャイニングアカリが直線でも先頭で、グランモナハートは最後の直線でも差し切るような勢はありませんでしたが、ゴール前の一瞬で抜け出しました。
竹見
グランモナハートはこれまで1着こそありませんでしたが、2、3着には来ていましたから、本田騎手はある程度自信があったのでしょう。人気薄だったので追い出しを我慢できたこともあったかもしれませんが、それでゴール前の一瞬だけ使える脚を残していました。本田騎手の好騎乗でした。初勝利が重賞というのもすばらしい。

2019年11月19日(火)ヤングジョッキーズTR川崎第2戦

優勝馬 シントーミリアン

斎藤
勝った櫻井光輔騎手は3番手の外につけました。
竹見
9番枠からのスタートでしたが、内の馬を気にしながら内に寄っていて、先行2頭のうしろ、好位置につけました。
斎藤
櫻井騎手は4コーナー手前、満を持してという感じで先頭に立ちました。
竹見
いいタイミングだったと思います。1番人気で馬も強かったですが、3番手のいい位置につけられたところが一番の勝因でしょう。櫻井騎手は今年3年目、すごくよくなりました。ただ直線で手前を替えるときに頭を振るクセがあるのですが、馬はわりと自然に手前を替えるので、多少の扶助はいいですが、無理に替えようとするのはあまりよくありません。
斎藤
ゴール前では中央の横山武史騎手、木幡育也騎手が迫りました。
竹見
横山武史騎手は追ってくるときのフォームがきれいだし、うまいです。