コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

令和3年度第11回開催 報知オールスターカップ 他

 元日から7日までの開催のメインは、3日に行われた川崎記念トライアル・報知オールスターカップ。ハナを主張した川崎のノーヴァレンダが森泰斗騎手を背に2100mを逃げ切りました。2着に船橋のエルデュクラージュ、3着に川崎のロードゴラッソで、元中央オープン馬が3着までを占める結果となりました。  同日の準メイン、七福神特別は、3コーナーからまくってきたニヨドスマイルが直線で抜け出し前開催から連勝。鞍上は山林堂信彦騎手でした。  そして2022川崎ジョッキーズカップの初戦は、今野忠成騎手のギャップオブリアルがゴール前で差し切りました。  今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(インタビュー・構成/斎藤修)

2022年1月3日(月)報知オールスターカップ

優勝馬 ノーヴァレンダ

 先行争いが激しくなって、森騎手のノーヴァレンダがハナをとりましたが、道中でもペースはあまり緩むことがありませんでした。この距離の地方馬同士のレースとしてはめずらしく縦長の展開になりました。  3コーナーあたりの勝負どころでは、ノーヴァレンダの直後でエルデュクラージュが食い下がっていましたが、そのうしろはついてこられる馬もいませんでした。最後は2馬身半差をつけてのゴールで、さらに2馬身半差がついての3着がロードゴラッソ。さすがに元中央のオープン馬となると能力が違いました。良馬場で勝ちタイムの2分14秒4は優秀です。川崎記念でも期待できるのではないでしょうか。

2022年1月3日(月)七福神特別

優勝馬 ニヨドスマイル

 ニヨドスマイルは大外枠からスタートして馬なりのまま中団、道中はかなり行きたがるようなところもありましたが、山林堂騎手はうまく折り合いをつけました。  向正面でもペースがあまり上がらなかったので、外から町田騎手のジョガールボニートが一気に行きましたが、山林堂騎手はまだ動きませんでした。動いたのは3コーナーを回ってからです。直線で使える脚があることはおそらくわかっていたのでしょう。直線勝負ということでは、内枠で揉まれるより大外枠もよかったと思います。  それほどペースは速くなかったと思いますが、ニヨドスマイルは直線でも手ごたえ十分で抜け出しました。馬も強かったですが、落ち着いて、馬が行きたがるところをよく我慢させたと思います。1番人気のバクハツも大外から伸びてきましたが、まずは完勝という内容でした。

2022年1月3日(月)2022川崎ジョッキーズカップ第1戦

優勝馬 ギャップオブリアル

 本田紀忠騎手(ミッシーコルザ)が後続を離して単騎で逃げて、1番人気の町田騎手(サムシングクール)は好スタートでもすぐに控えて2番手。勝った今野騎手のギャップオブリアルは中団の外目につけました。2番手以下はみんな抑えていましたから、縦長になってもそれほどペースは速くありませんでした。後続の馬たちは、逃げ馬をつかまえられると見ていたのでしょう。  町田騎手は手ごたえが楽なまま4コーナーで前をとらえにかかりましたから、直線を向いたあたりでは勝ったと思ったのではないでしょうか。  これを追ってきたのが、3コーナーあたりから位置取りを上げてきた今野騎手です。直線半ばからよく伸びて、並ぶ間もなくという感じで町田騎手のサムシングクールをとらえました。1番人気の町田騎手は、これで負けたのではしかたない。勝った馬と今野騎手を褒めるべきでしょう。  本田騎手のミッシーコルザは、楽に逃げられたぶん5着に粘りました。