コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

令和3年度第12回開催 川崎記念JpnI 他

 1月31日〜2月4日の開催でメインとして行われた川崎記念JpnIは、一昨年の覇者、JRAのチュウワウィザードが直線抜け出して4馬身差の完勝。鞍上は、そのとき以来の騎乗となった川田将雅騎手でした。  2月1日に行われた本企画のタイトルレース、王者の眼差し賞は、池谷匠翔騎手のシダデカサドールが8番人気ながら見事に逃げ切りました。  恒例の川崎ジョッキーズカップ第2戦は、中団を追走した山林堂信彦騎手のヤマニンシリュシオルが直線で抜け出しました。  この3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)

2022年2月2日(水)川崎記念JpnI

優勝馬 チュウワウィザード

 今回もサルサディオーネが好ダッシュから緩みのないペースで引っ張りました。  チュウワウィザードは5番手あたりで馬群の内に包まれる形になりましたが、サルサディオーネが逃げてペースが流れてくれたことで馬群が固まることもなく、チュウワウィザードにはレースがしやすかったと思います。川田騎手にも余裕があって、3コーナーから仕掛けていったときの行きっぷりが違いました。4コーナーで外に持ち出すと、直線半ばからあっという間に突き放しました。まったく危なげのないレースで、このメンバーでは格が違いました。浦和のJBCクラシックも勝っていますし、さまざまなコースをこなす器用さもこの馬の強さです。川田騎手は一昨年の川崎記念を勝ったとき以来の騎乗でしたが、相性もいいのでしょう。  カジノフォンテンは、逃げたサルサディオーネの2番手。道中はペースが緩むこともなく、3コーナーでサルサディオーネが後退して先頭に立ちましたが、すぐに3番手にいたエルデュクラージュに並びかけられて息が入るところがなく、直線では苦しくなってしまいました。5着でしたが、それでもよく走っていると思います。

2022年2月1日(火)王者の眼差し賞

優勝馬 シダデカサドール

 池谷騎手のシダデカサドールは好スタートでした。内枠の馬が抑えたので、難なくなハナをとれました。2番手に1番人気の笹川騎手(ウインアルバローズ)がつけてすぐに抑えたことで流れが落ち着きました。道中も競りかけられることもなく、マイペースで進められたぶん最後までしっかり伸びて、笹川騎手と、追い込んできた西啓太騎手(モンタナドライブ)を振り切りました。  勝ったシダデカサドールは、前回は5番手追走から抜け出しての勝利でしたが、スタートを決めて思い切って逃げたのがよかったと思います。  池谷騎手は追い出してからでも上体があまりブレることもなく、しっかりしています。今開催で池谷騎手は3勝。ほかの若手の活躍も目立っていて、若い騎手にはどんどん出てきてほしいです。

2022年2月2日(水)2022川崎ジョッキーズカップ第2戦

優勝馬 ヤマニンリュシオル

 1番人気の岡村騎手(シンキングポケット)が逃げて前半はゆったり流れましたが、向正面で増田騎手(ユウストレート)などがからんでいったところで前4頭が併走するかたちになってペースが上がりました。  その4頭からやや離れてラチ沿い5番手の藤江騎手(イグレック)は絶好位、山林堂騎手(ヤマニンリュシオル)はそのうしろを追走しました。  3コーナー過ぎで藤江騎手が仕掛けていったときに、先行勢でバテた馬は外から下がっていきましたから、ラチ沿いから進出することができました。その藤江騎手が行ったところを追っていたのが山林堂騎手です。藤江騎手が道をつくってくれたので、邪魔になるものは何もなく、内からスムーズに上がっていくことができました。直線を向いて難なく外に持ち出すと、道中で脚をためられたぶん、最後はよく伸びました。行くところ行くところ進路ができて、すべてがうまく運んだ感じの勝利でした。