重賞レース

第1回若武者賞(SIII)

2023年9月13日

レースガイド RACE GUIDE

2022年までは準重賞として施行されていたが2023年より南関東SⅢ競走に格上げとなり第一回を迎える。2歳ダート戦線の頂点を目指し、ここから鎌倉記念やハイセイコー記念を経て全日本2歳優駿を目指す馬が増えることになるだろう。準重賞で施行の2022年勝ち馬ヒーローコールは鎌倉記念も制し全日本2歳優駿では地方馬最先着となる4着とこのローテーションで好成績を挙げている点は、今後の展望という意味でも心強い材料だ。【1・2着馬に鎌倉記念への優先出走権を付与】

コースガイド

4コーナー出口からのスタート。最初の1コーナーまでの距離が400mと長く、1400mと比べてテンが早くなりやすい。基本的には逃げ・先行馬が有利な傾向だが、先行争いが1~2コーナーまで続いた場合は差し馬の台頭も。

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1・2番人気のいずれかを軸に、上位人気馬のBOXがおすすめ

※データは重賞格上げ前の過去10年分(2013~2022年)を対象にした。

軸は1・2番人気のいずれか、6番人気以下にも妙味

1番人気は4勝2着3回、2番人気は4勝2着1回3着2回。2頭揃って連対を外したのは2017年のみで、馬券の軸はいずれかとするのが良さそう。
2017年以前は6番人気以下が2着1回3着2回と穴を開ける事もあったが、準重賞に格上げされた2018年以降で馬券に絡んだのは全て5番人気以内。
上位人気馬をどう組合せて買うかが鍵となる。

【単勝人気別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1番人気 4 3 0 3 70.0% 70.0%
2番人気 4 1 2 3 50.0% 70.0%
3番人気 1 0 1 8 10.0% 20.0%
4番人気 0 3 4 3 30.0% 70.0%
5番人気 1 2 1 6 30.0% 40.0%
6番人気以下 0 1 2 52 1.8% 5.5%

地元川崎が奮闘

連対率、複勝率で見ると浦和所属馬が頭1つ抜け出しているが、馬券に絡んだ7頭中5頭は1・2番人気(10番人気2着、8番人気3着の2頭は準重賞となる前)
準重賞となってからは地元川崎所属馬が出走頭数も多いながらも毎年馬券に絡んでいる。
尚、大井所属馬はわずか4頭の参戦に留まるが、2着1回3着2回と出走してきたら要注意だ。

【所属別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
大井 0 1 2 1 25.0% 75.0%
船橋 2 3 2 14 23.8% 33.3%
浦和 3 3 1 13 30.0% 35.0%
川崎 5 3 5 47 13.3% 21.7%

牡馬が断然

牡馬が8勝2着8回3着8回と断然。
牝馬の優勝は2013年、2017年と準重賞格上げ以前のみだが、優勝した2頭はその後重賞を勝つ器だった。
但しこの2年は出走馬の半数以上が牝馬で、2着にも牝馬が割って入っていた。

【馬齢別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
牡馬 8 8 8 41 24.6% 36.9%
牝馬 2 2 2 34 10.0% 15.0%

外枠有利、内枠なら2枠

5~8枠が8勝2着5回3着6回で、1~4枠の2勝2着5回3着4回より優勢。
経験の少ない2歳戦では揉まれにくい外枠が有利という事だろうか。
但し、2枠が1勝2着3回3着1回(1・4・4・5・5番人気)と好成績。押さえておきたい。

【枠順別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1枠 1 0 1 8 10.0% 20.0%
2枠 1 3 1 5 40.0% 50.0%
3枠 0 1 2 7 10.5% 30.0%
4枠 0 1 0 11 8.3% 8.3%
5枠 2 2 0 8 33.3% 33.3%
6枠 1 0 1 12 7.1% 14.3%
7枠 3 1 4 9 23.5% 47.1%
8枠 2 2 1 15 20.0% 25.0%

近2走連対馬が中心。新馬勝ちからの参戦は割引

準重賞格上げ以降の5年では近2走で連対を外していたのは北海道から転入緒戦だったブロンディーヴァ(2019年3着)とディーエスフランク(2022年3着)のみで、連を外していた馬は狙いにくい。
レース経験が新馬の1戦しかない馬の優勝は無く(2着1回、3着2回のみ)やはり経験が物を言う。
新馬戦で連対を外していた馬も2017年以降は皆無でこの時期に好走するにはそれなりの仕上がりが求められる。
しかし3勝馬は2勝2着1回4着以下3回、2勝馬も3勝2着3回3着2回4着以下4回で、暑い時期に走り過ぎていないか十分に確認する必要がある。
尚、未勝利馬の馬券絡みは2018年で優勝したカネトシテッキン(2着3回5着1回)のみ。

ライター:友好春

アジアミッション
パンセ

初陣賞(2023年8月24日)


 

コルベット

リバーサイドアイドル特別(2023年8月9日)


 

グラッシーズマン

ハイビスカスデビュー(2023年8月8日)


 

ホークマン

シャイニングスター賞(2023年7月4日)


 

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

第1回若武者賞(SIII)

注目馬情報

■アジアミッション (牡2歳 川崎・山崎裕也厩舎)

写真:真鍋元

 若武者賞トライアルの初陣賞勝ち。キャリアの浅い馬が多く脚質も定まっていないなかで、もっとも参考になるのは持ち時計の比較だが、川崎1400mでのタイムがひときわ光っている。調教でも跳びが大きいせいかスピード感がないのにすごいタイムが出ていて併せ馬の相手がついて来れなくなってしまうという。デビューから逃げの戦法で、2走前は9馬身差の圧勝。前走は3番手からうまく折り合い勝ち切った。控える競馬ができたのは収穫で、距離延長にも対応できそう。尾花栗毛の美しい馬体の顔には派手な流星があるのもインパクト大。

「馬体も雄大で味のある競馬ができ、競走馬らしくなってきたね。スピードがある素質馬だが、逃げなくても競馬ができたのは強みになっていきそう。リングビッドに替えたのも良かった。最終追い切りでは馬場が台風の影響もあったので馬がささりながらになったが、トライアルで難しい競馬ができたことはプラス材料」と山崎裕也調教師。

■グラッシーズマン (牡2歳 船橋・林幻厩舎)

写真:小金井邦祥

 キャリア1戦で重賞に臨んできたが、デビュー戦では1500mをすでに経験。絶好スタートから逃げて最後は3馬身差をつける余裕があった。母ブルーセレブは鎌倉記念トライアルだった頃の若武者賞の勝ち馬であり、東京2歳優駿牝馬を勝ち、ユングフラウ賞3着、桜花賞2着、東京プリンセス賞5着とノットオーソリティやシャークファング等と牝馬クラシックをにぎわした。どっしり構えた気性は母譲りなのか先行策にこだわらないレースができるはず。
「デビュー戦は期待以上の競馬をしてくれた。展開次第ではもっと動けるんではないかと若武者賞を視野に入れた。終い重点の調教で、2歳にしては十分な内容を消化した。まだ身体が幼い面はあるから強い相手にモマれるのは良い経験」と林幻調教師。

■パンセ (牡2歳 川崎・高月賢一厩舎)

写真:真鍋元

 デビュー戦から大人びた競馬で、4角先頭立つと6馬身ちぎって快勝。2戦目からは抑えるレースも経験。ゴーサインからの反応は速かった。3戦目では船橋コースに遠征したが、いかにも距離延びて良さそうな血統らしく上がりの競馬にも対応していた。森騎手が陣営と共に大事に競馬を教えてきただけに今春の悔しさを晴らす成長を期待したい。

「クセも何もなく競馬が上手な馬です。先々のことを見据えて砂を被したり抑えたりいろんな経験をさせて競馬の内容にこだわって一貫してレースを教えてきました。ただ思ったより成長はゆっくりだし、血統からも奥手のタイプだとは思いますね。血統的にも気性的にも距離長くなってから面白いと思います」と森泰斗騎手。

■ホークマン (牡2歳 川崎・山崎裕也厩舎)

写真:真鍋元

 3戦2勝、2着1回。デビューから1400mを使っていたが、前走の7月シャイニングスター賞を勝ったあとにはひと息入れてゆるめ、このレースに向けて万全の調整を喫した。持ち時計がないのは課題だが、操作性が良く一戦ごとに終いの脚がしっかりしてきているので展開にこだわらずレースができる。

「レース使うごとに渋い面が出てきているね。詰められても競られても精神面のタフさを出して結果を出している。間隔をあけたぶんフレッシュさがあってレースに出せるのはプラスだよね。距離延びて良さそうだから1500mになるのは歓迎」と山崎裕也調教師。

■コルベット (牡2歳 川崎・加藤誠一厩舎)

写真:真鍋元

 エスポワールシチー産駒らしいうるさい面もあるが、レースでは良い方に出ている感じで溌剌としている。5馬身圧勝したデビュー戦では3コーナーで先頭に立つ強い内容のレースで素質を見せた。船橋への遠征で12キロ減っていた2戦目では厳しいシーンもあって2着だったが、地元に戻った3戦目では重賞メンバーでも互角な競馬ができそうだ。

「まだ体質の弱さもあるが、デビュー戦を勝ったときからスピードとレースセンスを感じた。2戦目は動きは8割だったが、体質が強化しているのがわかった。少しずつ距離を延ばして経験を積んで行ければ力をつけてくると思う」と加藤誠一調教師。

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

写真:真鍋元

第1回若武者賞。
これまでの準重賞から今年より重賞に昇格。1、2着馬には鎌倉記念への優先出走権が与えられるトライアル競走。
1頭が出走除外になり7頭立てと頭数は少ないが攻防は白熱した。

好スタートを決めたデーレーラプターが素早く主導権を取るとグラッシーズマン、ホークマンが好位をキープ。直後にミスティライラック、アジアミッション、パンセ。少し離れてウインアザレアというかたちでペースは平均。ほぼ態勢に変化なく流れ、あとは直線勝負。2番手から早めに抜け出したグラッシーズマンがそのまま押し切り重賞初制覇。
外からパンセとアジアミッションが競りながら追い上げ、ゴール前ひと伸びしたパンセが2着。アジアミッションが3着で確定。人気馬3頭で決着した。

勝ちタイムは1分37秒5(晴・良)。

写真:小川慎介

1着 グラッシーズマン

 キャリア2戦目。初コースもまったく動じないタフな精神力の持ち主。2番手追走から直線早めに先頭も、最後まで集中力を切らさずそのまま押し切った。正攻法の競馬で重賞初制覇。

<林幻調教師>
 重賞タイトルは騎手時代も含めて初めて。本当にうれしいです。今までの中でここまで興奮するレースがなかったのでここまでグラッシーズマンに関わってきた皆さんに感謝するしかないですね。今回が2戦目のキャリアの浅い馬ですがポテンシャルの高さを感じていましたので強気に競馬ができれば結果がついてくると思っていました。ゴール前はよく凌いでくれました。次走についてはこれからオーナーと相談しながら決めたいと思います。


 
<和田譲治騎手>
 スタートは外の馬が速かったんですが、レースが上手で、気性も素直で操縦性も良い馬です。道中も折り合いがついていました。後ろから来ている脚音は聞こえていたんですが、相手がきてもこの脚ならしのげると思って乗ってました。あとは砂をかぶってどうなるかですね。
第1回を勝てたのはうれしいですし、林幻調教師とは同期で良い馬も乗せてもらってたくさん勝たせてもらっています。これからも重賞勝てるように一生懸命乗りたいと思います。

2着 パンセ

 スタート後、進路が狭くなり後方2番手でじっと我慢の競馬。最後は上がり最速の末脚で2着を確保。終いの脚には安定性がある。

<森泰斗騎手>
 スタートしてすぐの不利が痛かったですね。挟まれてポジションが悪くなってしまいました。一貫して競馬を教えてきたことが生きてますね。内容のある競馬だっただけに不利が残念。納得いかないですね。

3着 アジアミッション

 ゲート内で落ち着きがなく、スタートも鈍かった。道中は中団から。最後はいい追い上げを見せたが、持ち味である先行策で戦えなかったのは痛かった。

<山崎誠士騎手>
 枠も良いから逃げるつもりでいたんだけど、前回からゲートがピリピリし出して、狭くなる場面もあったり後手後手に回ってしまいました。ローテーションもきつかったのかな。ここは勝っておきたかったですね。馬群でも折り合いがついたのは収穫です。

4着 ホークマン

 外3番手の位置取り。リズム良く流れにも乗っていたが、残り100m付近から伸びを欠いた。久々の競馬も次につながるレース内容。次走は鎌倉記念の予定。

<笹川翼騎手>
 もっと頭数が多くて前がやり合っているのを狙っていく競馬がしたかったですね。馬体もまだ余裕があったし、精神的にも久々の影響はありそうです。もっと上積みはあるはずです。乗りやすいしこれから研ぎ澄まされていくと思います。

5着 デーレーラプター

 好スタート、好ダッシュで主導権を取りきった。道中はマークもきつく、直線は脚が上がったがどうにか入着は果たした。

<新原周馬騎手>
 前で競馬をしてほしいと先生から指示があったんですが、思った以上に出っぱがよくて逃げるかたちになりました。次は大井の1200mに使うようなんですが、距離短縮してまたハナに行ってどれくらい保つか楽しみです。

6着 ウインアザレア

 未勝利馬で唯一の牝馬。最後方から直線勝負に懸けたが、オープンのペースはきつかった。

<町田直希騎手>
 もう少しペースが流れてくれればもう少し上を目指せたと思うんですが・・・。

7着 ミスティライラック

 逃げ馬の後ろをロスなく進むも、ペースが上がると追走に苦しみ、直線は伸びきれず。

<藤江渉騎手>
 完敗です。ペースが遅くそう流れてくれなかった。今日は妙に折り合いがついてましたね。いつも引っ掛かってそれでも頑張っているからそういう競馬の方がいいのかもしれません。

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
1 令和5年 グラッシーズマン 牡2 和田 譲治