重賞レース
レースガイド
全国的なダート競走の体系整備に伴い、2023年度に限りJRAとの交流重賞として実施される記念競走。大正12年における神奈川県内8つの畜産組合による春秋2回の競馬会の開催から、令和5年が100年目にあたることから、「神奈川記念」として実施することになった。左回り1600mという条件の地方競馬ダートグレード競走が少ないことからも、フェブラリーステークスG1への出走を目指す馬の参戦も想定される。
コースガイド
4コーナーのポケットから発走し最初のコーナーまで500mあり、さほどハイペースにはなりません。差し馬にとってはカーブがきつい3コーナーでうまく立ち回ることが求められます。
賞金別定の交流重賞 予測不能を楽しみたい
2023年度限定のダートグレードではない中央交流重賞で、負担重量は賞金別定。
基準重量(3歳55キロ、4歳以上56キロ、牝馬2キロ減)となり、あとは収得賞金により最大4キロまで加増される。
中央所属馬は概ね3勝クラスが基準重量となる(収得賞金1600万円超過馬について、超過額1200万円ごとに1kg増)
対する地方所属馬は総獲得賞金額が3歳1500万円、4歳2000万円、5歳以上3000万円ごとに1kg増。格付基準と照らし合わせると5歳以上馬に恩恵があるように感じられる。
参考となるレースが無いため、ここ3年間同時期に行われていた麻生オープン(南関所属馬限定、1,500m)と、ここ2年間9月に行われているスパーキングナイトチャレンジ(中央3歳以上2勝クラス、南関A2級・B1級選定馬、1,600m)を元に考えてみる。
上位人気馬に人気薄を絡めたい
麻生オープンでは2021年に1番人気馬(4着)が圏外となっているが牝馬だった。同馬は2周間後に東京シンデレラマイルへ出走しており、ここ目標だったか疑問が残る。また同年の3番人気馬は羽田盃以来7ヶ月半ぶりの出走(11着)だった。
スパーキングナイトチャレンジは、3→1→7番人気、8→1→10番人気で決まっており、概ね上位人気馬に人気薄を絡めるのが良さそう。
【単勝人気別成績】(麻生オープン・過去3回)
1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 連対率 | 複勝率 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1番人気 | 2 | 0 | 0 | 1 | 66.7 % | 66.7 % |
2番人気 | 0 | 1 | 1 | 1 | 33.3 % | 66.7 % |
3番人気 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0.0 % | 0.0 % |
4番人気 | 0 | 1 | 1 | 1 | 33.3 % | 66.7 % |
5番人気 | 1 | 0 | 0 | 2 | 33.3 % | 33.3 % |
6番人気以下 | 0 | 1 | 1 | 17 | 5.3 % | 10.5 % |
中央所属馬が中心、出走してくれば大井所属馬に注意
麻生オープンでは大井所属馬が1勝2着2回3着1回と抜けている。勝島王冠と東京大賞典が行われる隙間に、ここを狙って出走してくるのであれば押さえておきたい。
スパーキングナイトチャレンジは、中央所属馬2勝2着1回、南関東所属馬は2着1回3着2回と中央勢が1枚上の様相。しかし前述の通り神奈川記念では中央馬は3勝クラス以上。対して地方所属馬は総獲得賞金額によって細かく負担重量が加増されるので中央所属馬が有利になりそうだ。
【所属別成績】(麻生オープン・過去3回)
1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 連対率 | 複勝率 | |
---|---|---|---|---|---|---|
大井 | 1 | 2 | 1 | 3 | 42.9 % | 57.1 % |
船橋 | 0 | 1 | 1 | 5 | 14.3 % | 28.6 % |
浦和 | 1 | 0 | 0 | 3 | 25.0 % | 25.0 % |
川崎 | 1 | 0 | 1 | 14 | 6.3 % | 12.5 % |
6歳を軸に考えたい
麻生オープンでは6歳馬(2勝3着1回)が頭1つ抜け出し、4歳馬(1勝3着2回)が続く形。
スパーキングナイトチャレンジは、3歳→6歳→8歳、6歳→4歳→4歳で決まっており、6歳馬を軸にするのが良さそうだ。
【馬齢別成績】(麻生オープン・過去3回)
1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 連対率 | 複勝率 | |
---|---|---|---|---|---|---|
3歳 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0.0 % | 0.0 % |
4歳 | 1 | 0 | 2 | 5 | 12.5 % | 37.5 % |
5歳 | 0 | 1 | 0 | 4 | 20.0 % | 20.0 % |
6歳 | 2 | 0 | 1 | 3 | 33.3 % | 50.0 % |
7歳 | 0 | 1 | 0 | 4 | 20.0 % | 20.0 % |
8歳以上 | 0 | 1 | 0 | 8 | 11.1 % | 11.1 % |
枠順による有利不利は無い
麻生オープンでは1枠が1勝2着1回(2022年の1枠は出走取消)、対して7・8枠は3着まで。
スパーキングナイトチャレンジは、7→6→1枠、5→4→6枠で決まっており、8枠を除けば有利不利は無い。
【枠順別成績】(麻生オープン・過去3回)
1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 連対率 | 複勝率 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1枠 | 1 | 1 | 0 | 0 | 100.0 % | 100.0 % |
2枠 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0.0 % | 0.0 % |
3枠 | 1 | 0 | 1 | 2 | 25.0 % | 50.0 % |
4枠 | 1 | 0 | 0 | 4 | 20.0 % | 20.0 % |
5枠 | 0 | 1 | 0 | 4 | 20.0 % | 20.0 % |
6枠 | 0 | 1 | 0 | 4 | 20.0 % | 20.0 % |
7枠 | 0 | 0 | 1 | 4 | 0.0 % | 20.0 % |
8枠 | 0 | 0 | 1 | 4 | 0.0 % | 20.0 % |
地方所属馬は近4走内に好走歴のある馬。穴なら近走冴えない中央所属馬か
麻生オープンでは中央からの転入1~5戦目の馬が2着2回3着1回。それ以外の6頭は近2走の中で3着以内があった。
スパーキングナイトチャレンジは、中央所属馬の近走成績は問わないが南関東所属馬は近4走内にA2級戦での勝ち星があった。
地方所属馬は近4走内に好走実績のある馬に絞りたい。穴を狙うなら近走成績の冴えない中央所属馬か?
ライター:友好春
ポリゴンウェイヴ
トパーズ賞競走(2023年11月16日)
金子正彦
1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。
中川明美
競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。
神奈川記念
注目馬情報
協力:競馬ブック
■ユティタム (牡3歳 JRA・須貝尚介厩舎)
ハンデ差があるなかで、55キロで出走できるのが3歳馬。父は無敗で米クラシック3冠を達成したジャスティファイ、母ジペッサも米GⅠ馬という良血馬で、セレクトセールでは2億円(税抜き)の高額で取引された。それだけにデビュー戦では単勝1.7倍の圧倒的人気に推されたが、出遅れた上にかぶされる競馬で2着だった。青竜ステークスはノーステッキで勝利するなど3連勝でジャパンダートダービーへと向かい2番人気に推されたが、直線失速して4着。暑さの影響が大きかった。その後は休養に出され、秋緒戦の前走は初めての古馬相手。福島民友カップは小回り1700mでレコードタイムが出るほど速い馬場で厳しい流れになったが、外々を回って迫り6着。ロスを考えれば上々の走りだった。
「前走で減っていた馬体が回復。それに、この中間の動きがいい。マイルは合うと思うから、改めて期待したい」と須貝尚介調教師。
■ニューモニュメント (牡7歳 JRA・小崎憲厩舎)
7歳の今日まで6勝を挙げているが、いずれも直線一気の剛脚を発揮してのもの。今年2月の川崎記念でも後方から猛追するかたちで3着まで追い上げているのでコーナーのきつい小回りの川崎コースへの対応力はありそう。前走のオープン特別ではレコード決着のなか59キロを背負っていたがレース最速タイの上がりで追い上げた。4着ではあったが、1着からコンマ4秒差と見所十分なレース内容だった。今回は斤量58キロを背負い、4歳時以来のマイル戦になるが、これまで1400mで3勝、マイルでも1勝を上げており、距離短縮は望むところだ。
「前回は小回りと59キロを踏まえ、早めに動いて力を見せてくれました。水曜の併せ馬でモタモタしたように、年齢的に調教では動かなくなっていますが、在厩調整で順調にきましたよ。川崎記念でも好走しましたし、最近の感じだと1600mはむしろいいかもしれません」と高田助手。
■バーデンヴァイラー (牡5歳 JRA・斉藤崇史厩舎)
交流重賞で60キロを背負って出走したケースは希有だが、昨年はマーキュリーカップ、佐賀記念を制している実績馬。芝でデビューし、2戦目からはダートに転向した。膝骨折で休養を挟みながら、6馬身差、9馬身差圧勝と開花していった。姉マルシュロレーヌは米遠征でBCディスタフを勝利しただけでなく牝馬ダートグレード戦線を次々に勝って席巻していった。レースでは被されると嫌がったり、気難しさはつきまとうが、特に中距離以上で苦しい場面があったことを考えれば大幅な距離短縮はプラスに働く可能性もありそう。
「体調がよかった前走は、マクられても盛り返そうとしていて良い内容で走れたと思いますよ。今回は60キロでマイルになりますが、気分を損ねないようスムーズな競馬ができれば」と斉藤崇史調教師。
■フォーヴィスム (牡5歳 川崎・内田勝義厩舎)
若馬の頃に膝を骨折したことから、5歳になる現在まで14戦4勝と間隔を取りながら大事に使われてきた。重賞実績こそないが4勝しているのはすべて1600m以下。皮膚が薄く、雄大な馬格をしており、まだ底を見せていない印象がある。外厩のミッドウェイファームで坂路を駆け上がって調整され、今回が地方への転入緒戦になるが、デビューからすべて左回りを走っている点も川崎コースへの懸念はなく、ナイター競馬をクリアできればこれからひと花咲かせそうなポテンシャルの持ち主だ。
「転入戦になるのでやってみないとわからないというのが正直なところです。馬体は素晴らしい馬だし、実績だってそうヒケは取らない。ここを目標に調整してきたのでどれだけやれるか楽しみです」と内田勝義調教師。
■ポリゴンウェイヴ (牡3歳 浦和・小久保智厩舎)
大井の代替開催を取り消して神奈川記念に照準を切り替えた。春には連闘策で臨んだクラウンカップで強気に先手を取ると逃げ切って優勝するなどタフな面をもっている。ニューイヤーカップでは逃げられずともいったんはマクられながら差し返す競馬で勝ち、前の馬を標的にしたらそこからはエンジン全開。バネのあるフットワークが素晴らしかった。近走は短距離でリズムを崩しがちだが、久しぶりのマイルで粘りあるスピードを発揮する。
「門別時代のデビュー時から手綱を取っていました。その後、高知優駿で2着した以来の騎乗になりますが、ちょっととぼけた面があるのでその辺しっかり御したいですね。できれば被されないように乗りたい。距離マイルは合うと思います」と落合玄太騎手。
金子正彦
1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。
中川明美
競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。
神奈川記念は神奈川県内での競馬開催100周年を記念し、今年1度限りで行われたJRA・地方の交流重賞。
中央選定馬6頭、地方選定馬5頭が参戦。1600mで実施された。
好枠を引いたポリゴンウェイヴの逃げに、ヴィブラフォンが2番手を位置取り、外3番手にユティタムがつけて、ペースはややスロー。
一団で3コーナーへ向かうが、ここで先頭に立ったのがヴィブラフォン。ユティタムも食らいついていき、あとは直線勝負。
ここでもうひと伸びしたヴィブラフォンがゴール前で、キャリックアリードの追撃を抑え、重賞初制覇。
2着には中団から追い上げたキャリックアリード、3着にユティタムが入り確定。
勝ちタイムは1分42秒9(晴・稍重)。
1着 ヴィブラフォン
すんなり外2番手につけると、道中はストレスを感じない走り。3コーナーから早めに先頭に立つも最後まで集中力を切らさず押し切った。持ち前の先行力を十分生かした勝利。ドイル騎手は日本で初めてのタイトル制覇となった。
<高木登調教師>
貴重なレースを勝てて良かったですね。スタートだけ気をつけて、なるべく砂を被さないようにと思っていたのでちょうどいいポジションにつけました。今後のことはこれからオーナーと相談してからになります。マイルあたりの距離を使うことになると思います。ダートグレード競走も考えます。これからもダートで活躍できそうですね。
<ホリー・ドイル騎手>
ありがとうございます。初めて地方で乗せてもらって勝てたことに感謝です。前走福島で乗せてもらってとても素直な馬だったのでスピードもあるし、うまくいけばチャンスだと思っていました。スタートもしっかり出てスピードに乗ってそのまま運べました。いつも沢山の声援うれしく思っています。あと二週間ですがもっと勝ちたいと思っています。
2着 キャリックアリード
ペースの遅いなか、中団でうまく折り合えた。最後はレース最速の上がりで2着。デビューからすべて馬券圏内とまだ底を見せていない。
<御神本訓史騎手>
今回メンコを取ったんですけど、進みも良かったですし、砂被っても大丈夫でしたね。キックバックも気にせずに走れました。まだ4歳ですしね。ペースが遅くて動けなかったし、4コーナー回って外に出すかたちになったけど、それでこれだけ攻めてくるんだからすごいよね。お利口な馬で、もう少し直線が長い方が良いかも。ポテンシャルは高いです。
3着 ユティタム
無理なく好位につけ、リズム良く息も入っていたが、追い出してからは少しパンチ不足。もうひと伸びほしかった。
<川田将雅騎手>
ジャパンダートダービーで夏負けしていたのをまだ引きずっているようです。それが一番の課題ですね。
4着 フォーヴィスム
転入緒戦も、減っていた馬体が戻り、逃げ馬の後ろでロスのない立ち回り。前から離されはしたが、闘志あふれる走りで、直線も粘り強さを見せた。
<笹川翼騎手>
転入緒戦としては良い内容を見せてくれました。無理して二番手に行くこともできたと思いますが、いいかたちで終わりたかったので一列下げた。ペースがガクンと落ちたので結果的にそれでハミを噛んで引っ掛かってしまい裏目に出ました。まだA2ですが重賞でもやれそうですね。
5着 オマツリオトコ
ペースが合わなかったのか、道中の手応えのわりに追い出してからの反応が鈍かった。
<横山武史騎手>
返し馬から雰囲気は良かったです。トモもだいぶしっかりしてきて身体のバランスがつながってきたという話も聞いたので、その辺は良かったと思います。元々口向きに難しい面があって、それが強くなっていて道中、左に倒れっぱなしだったので、競馬としては能力を出し切れなかったですね。距離も1600mはギリギリのところなのでプリンカーはいらないかもしれません。
6着 バーデンヴァイラー
60キロを背負っているせいか、動きが重く、マイルの流れも合わなかった。
<西村淳也騎手>
初めてのマイルで忙しかったですね。本質はもうひとハロンあってもいいのかもしれません。
8着 マッドルーレット
スタートから気合いを入れて積極策も、ここは相手が強かった。
<森泰斗騎手>
相手が強かったですし、外を回るかたちになって、今日は集中しきれなかった。いいチャレンジだったとは思います。
10着 ポリゴンウェイヴ
テンから自分のポジションでペース良く逃げたが、早めに一杯になって下がってしまった。
<落合玄太騎手>
みんな主張していかなかったのでハナに行けました。メンバーと斤量の影響はありましたが、自分の競馬はできたと思います。
回数 | 施行年 | 馬名 | 性・年齢 | 騎手 |
---|---|---|---|---|
1 | 令和5年 | ヴィブラフォン | 牝4 | ホリー・ドイル |