重賞レース

大井所属の重賞実績馬が軸、２枠４枠に要注意

※データは過去10年分（2014～2023年、５月実施時）を対象にした。

伏兵の台頭に注意

三連単万馬券決着が６回、１～４番人気で３着内を独占したのは３回。
単勝１番人気は４勝２着１回３着１回でまずまず信頼出来るが、２～４番人気は一長一短。
６番人気以下の馬が１勝２着４回３着３回、さらに５番人気馬も含めると半数近い14頭が馬券に絡んでおり伏兵の台頭には十分注意したい。

【単勝人気別成績】（過去10回）

大井所属馬を中心視

大井所属馬が2019年の１～３着独占を始め、2016年以外は毎年３着内に１頭以上絡んでおり、４勝２着６回３着５回、連対率29％、複勝率44％なら馬券の中心として考えたい。尚、2018年２着オメガヴェンデッタと2023年３着デュードヴァン以外は重賞勝ちの実績があった。
船橋所属馬と浦和所属馬は共に複勝率19％だが、浦和所属馬で４勝２着１回３着はゼロ。浦和所属馬を買うなら連軸とするのが良さそう。
地元川崎所属馬は2022年こそワンツーを決めたが、それ以外では３着３頭と振るわない。馬券に絡んだ５頭は全て４・５歳馬で、活きの良い馬が出走してくれば注意したい。

【所属別成績】（過去10回）

５歳馬ＶＳ４・６歳馬が好成績

５歳馬が４勝２着２回３着２回と頭１つ抜け出しているが、４歳馬・６歳馬もこれに劣らない。
７歳馬は３勝２着１回と一発の魅力を秘める。
牝馬は10頭が参戦しているものの、女傑クラーベセクレタ（2013年３着）を最後にここ10年では馬券に絡めていない。

【馬齢別成績】（過去10回）

２枠が断然。４枠も押さえておきたい

川崎1,600mは１コーナーまでの距離が長く、ペースが鍵となるが
逃げ馬が３勝２着１回３着１回、２番手の馬が２勝２着４回と健闘している。
加えて鍵となってくるのが枠順で、２枠が２勝２着４回３着２回と複勝率80％と特筆すべきものになっている。
一方４枠も３勝２着２回３着２回（１・１・５・５・８・８・８番人気）と人気に関わらず押さえておきたい。

【枠順別成績】（過去10回）

ローテーションは多彩、重賞勝ち実績馬に注目

５月開催時はフジノウェーブ記念（２～３月・大井1400m）、ブリリアントカップ（４月・大井1800m）出走馬や、近２走内に1500～1600mのオープン特別を優勝していた馬が数多く馬券に絡んでいた。
また近３年は１つ前の開催で行われたスパーキングマイラーズチャレンジの勝ち馬が１・１・３着。
それに加えて、前走ダートグレード競走を使っていた馬が巻き返すケースが見られた。
川崎初参戦だった馬が３勝２着２着１回３着１回、川崎２回目の馬も２勝２着３回３着２回と順応しており、コース経験は不問。
2016年を除き毎年重賞勝ち実績馬（計18頭）が馬券に絡んでおり、近走不振で人気を落としていてもその実力を見直す必要があった。
今回から正月開催時での実施となるが、12月開催の神奈川記念（1600m）、勝島王冠（大井・1800m）、ゴールドカップ（浦和・1400m）からの転戦馬、特に重賞勝ち実績馬に注目してみたい。

ライター：友好春

フォーヴィスム

神奈川記念（2023年12月14日）

ギャルダル
アイウォール

ビオラ賞（2023年12月9日）

デュードヴァン

勝島王冠（2023年12月7日）

第16回川崎マイラーズ(SIII)

注目馬情報

■ギャルダル（牡６歳　船橋・川島正一厩舎）

前走は９ヶ月ぶりの休み明けでオープン特別を快勝。東京ダービー２着後は足踏みが続いたが、昨年は川崎のオープン特別を連勝しフジノウェーブ記念でついにタイトルを手にして４戦全勝。元々のレースセンスに加え、精神面が強化したことで顔つきにも精悍さが出てきて、レースぶりも変わってきている。本格化したと言って良いだろう。距離の幅も広く、特に1600mは１番多く勝ち星を挙げている。川崎マイルも２戦２勝と相性が良い。叩いて状態面はさらに上昇。どのポジションからでも立ち回れるのも強みだ。

「前回は返し馬からいかにも休み明けという感じで、レースでも向正面で噛んでムキになって走っていた。それでも最後は力でねじ伏せたんだから力をつけているよね。川崎マイルは折り合いさえつけば問題ない。左回りは少し外に張るところがあって乗りづらい面もあるが、その辺をうまく捌ければ」と矢野貴之騎手。

■デュードヴァン（牡７歳　大井・坂井英光厩舎）

中央から移籍した緒戦は昨年の正月。大師オープン、２月の多摩川オープンと川崎マイルのオープンに特別に出走し、いずれもギャルダルに惜敗２着だったが実のある内容だった。適性距離を探りつつ使われてきたが、マイルグランプリ３着、勝島記念４着と、重賞ではあと一歩勝ち切れていないが、転入以来の８戦は１度も掲示板を外していない堅実な走り。特に川崎コースでの好走が目立つ。

「惜しいレースが続いているね。前向き過ぎる気性と、砂を被ると嫌がる面があるのが課題。オープン特別だと多少ハミ取っていっても押し切れるし強気の競馬しても良いんだろうけど、重賞になるとポジション取るにも仕掛けないといけないからね。気分よく行きすぎると最後が甘くなる。真面目さ出して走るからガス欠してしまうんだろう。川崎コースも経験あるから問題ない。距離もマイルが一番いい」と坂井英光調教師。

■フォーヴィスム（牡６歳　川崎・内田勝義厩舎）

若馬の頃に膝を骨折したことから、６歳になる現在まで１５戦４勝と間隔を取りながら大事に使われてきた。重賞実績こそないが４勝しているのはすべて1600m以下だ。皮膚が薄く、雄大な馬格をし、外厩のミッドウェイファームで坂路を駆け上がって調整されている。Ａ２クラスへの転入。緒戦だった交流重賞の神奈川記念では前から離された４着だったが、ハミを噛んで掛かってしまいながらも粘り強い走りを見せた。デビューからすべて左回りを走っており、地方馬同士ならまだ底を見せていない印象だ。Ａ２なぶん斤量も有利。

「前走は馬体が増えていたが、あれくらいでちょうどいい。転入戦を使って上積み十分。今回は地方馬同士のレースですから好勝負をしてくれるでしょう」と内田勝義調教師。

■ルーチェドーロ（牡６歳　川崎・池田孝厩舎）

４歳で中央から移籍すると短距離中心に使われてきた。転入２戦目のフジノウェーブ記念を前々での競馬から後続を振り切り初重賞制覇。５歳になった昨年は他地区遠征にも積極的に向かい、名古屋の東海菊花賞を制すると、前走の笠松グランプリでは向正面から動いて３コーナーで先頭に立つとそこからロングスパートを決める圧巻の勝利で前年に続く連覇となった。地元川崎の重賞を走るのは中央所属時代に参戦した全日本２歳優駿以来。今回と同じ川崎マイルで３着していたが、年齢と共に気性面にも落ち着きが出てきたことから川崎コースへの対応力を増している。

「前走は休み明けで臨んだ笠松グランプリであれだけの脚を使ったせいか反動が大きく、なかなか疲れが取れなかったがようやく状態面も上がってきた。これまではマイルは長いと思っていたが、このところのレースを見ると年齢的なものかズブくなっているので、のんびり行って長い脚をつかうのも良さそうだ」と池田孝調教師。

■アイウォール （牡５歳　浦和・水野貴史厩舎）

昨年の覇者。同型が多い中で主導権を取ると道中は後続を寄せ付けない軽快な逃げで、最後まで集中力を切らさなかった。Ａ２クラスだった昨年より斤量は重くなり、揉まれると進みが良くない課題もあるが、このところスピードを生かす自分の競馬ができており本格化している。マイルはベストと言える距離。浦和所属馬ながら川崎コースを得意としているのも特徴的だ。

「昨年はＡ２で斤量の恩恵もあったと思う。スタートもうまいし、競馬しやすい馬なので今回もある程度前目で運びたい。馬のリズムを大事に乗って、スムーズに立ち回ることができれば良い結果も望めそう。川崎はけっこう使っているのでコースは慣れているからね」と和田譲治騎手。

今年から正月開催に移動した川崎マイラーズ。１、２着馬に対し３月７日に船橋で実施される京成盃グランドマイラーズの優先出走権が与えられる。今回は14頭が参戦し、フルゲートで行われた。

快速馬アランバローズの逃げを各馬が追う展開。ペースは緩まることなく縦長状態のなか、人気のギャルダルは５番手の位置取り。後続を３馬身ほど離して直線へ向かうアランバローズをゴール前でギャルダルが捕らえたが、さらに外から強襲したデュードヴァンがまとめて差し切り重賞初勝利。
２着にアタマ差でギャルダル、３着には中団からよく伸びたフォーヴィスムが入り、人気上位馬での決着となった。

勝ちタイムは１分42秒２（晴・良）。

１着　デュードヴァン

　中団やや後ろの位置も、直線に向かうときには頭から10馬身以上離されていた。そこから猛追。ゴール前は図ったように差し切った。

＜坂井英光調教師＞
　ＪＲＡからこっちに来たときからタイトルを獲らせたいと思っていたんですけど歯がゆい競馬が続いていたので、今日はすっきり勝ってくれて良かった。秋に戻って来てから狙っていたレースなので、目一杯調整してきた。砂を嫌がるので１枠はどうかと思っていましたが、今日は先行馬が多かったので流れが速くなって、直線は前が止まっていたので１枠引いたのが良い方に向いた。このあとはオーナーと相談して決めたいと思います。今年も数字的な目標を立てるより一頭一頭全力を出せるように頑張ります。

＜御神本訓史騎手＞
　新年から大きなレースを勝つことができました。デュードヴァンとはこれまでコンビを組ませてもらっても結果が出せずモヤモヤしていたので本当によかった。１枠なのは不利かと思っていたが、腹をくくってこの馬のペースで走ったのが最後の切れ味につながったのではないかと思う。ペースが流れていたので砂を被らない位置につけ、直線は前が止まって見えたので、なんとか交わしてほしいと一生懸命追いました。昨年は充実した年を送らせてもらったので、今年は新しいレース形態が変わったことを意識しながら、また古馬にも楽しみな馬がいますのでひとつひとつ大事に乗っていきたいと思います。

２着　ギャルダル

　速い流れのなかでも自分のリズムは崩さず追走。直線もしっかり伸びてきた。ゴール前アランバローズを捕らえ、勝利を確信したとこころにデュードヴァンの強襲に遭った。

＜矢野貴之騎手＞
　アランバローズにうまく乗られてしまった感じ。捕まえにいったけど、人気があったぶん不利のない競馬したかった。最後は脚元をすくわれた感じ。ただ本来はもっと動きのいい馬。良くなる余地はある。

３着　フォーヴィスム

　ギャルダルのすぐ後ろを追走。３～４コーナーで少し遅れを獲ったが、直線渋太く伸びて３着入線。

＜今野忠成騎手＞
　広い馬場の方が良いかもしれません。３コーナー、４コーナーあたりでコーナーがきつくなると手応えなくなって、最後直線になると反応してくれました。返し馬から良いものを感じましたね。ペースが流れていたなかで思ったより伸びが渋かったのでもう少し距離があった方が良さそうですね。

４着　アランバローズ

　スタートから積極的に主導権を取りに行く。道中はこの馬らしいスピード感ある走り。ゴール前少し脚いろが鈍るも頭からコンマ３秒差。

＜笹川翼騎手＞
　ペースが流れていたんで、そう甘くはなかったんですけど、リズムと馬の気持ちを考えると、やりたい競馬はできたと思います。前の当たりを変えてみたらそれが良かったのか気分がのって競馬をやめなかった。これでまた馬に自信がついて違ってくるかもしれません。

５着　ディアセオリー

　中団から流れに乗り、４コーナーでは３番手まで追い上げてきたが、直線半ばで脚いろが鈍った。

＜山崎誠士騎手＞
　乗りやすい馬ですね。こっちのダートも合いそうだし、重賞でもやれるという感じ。今日は前が速いレースでした。

６着　アマネラクーン

　７歳にして初の遠征競馬も、馬場を気にすることなく、中団からよく伸びてきた。６着とはいえ、勝ち馬からそれほど離されていない。

＜本田正重騎手＞
　雰囲気は良かったですけどね。初めての遠征で４コーナー外に出したら抜ける感じもあって、伸びそうで伸びない。ペースが流れていて道中は１番良いポジションにいると思ったんですけど。距離はマイルでも大丈夫です。

７着　ヨハン

　後方からではあったが、距離的ロスを避けながらいい追い上げをみせた。

＜張田昂騎手＞
　悪くなかったですよ。自分の競馬はできたけど、もっと良くなりそうな感じがする。

８着　ルーチェドーロ

　大外枠もあり序盤は無理をしなかったわりに、後半追い出してからの反応はひと息だった。

＜町田直希騎手＞
　マイルも悪くないですね。じりじり脚を使っていたし、思っていたより反応は鈍かったですけど。道中からモタついてしまって。前が流れているから着くらいあると思ったけどモタモタしていた。

10着　アイウォール

　昨年の覇者だが、逃げきった昨年より行きたい馬が揃い好位のポジション。自分の競馬をさせてもらえなかった。

＜和田譲治騎手＞
　前も速かったからね。ハナの後ろで我慢しようと思っていたけど、砂を被っても問題なく立ち回れてたんですけど、狭くなってしまったのが残念。スムーズに行かせたかったね。

11着アトミックホース

　スタートして狭くなる不利があった影響で最後方からの競馬になった。直線ではじわりと差を詰めたが前とは差があった。

＜落合玄太騎手＞
　流れてもいたし、1600mが短いのもあってついていけなくなってしまった。それでも最後は伸びようとしてくれた。

14着　エアアルマス

　スピードを生かして２番手をついていったが、３コーナーでは失速してしまった。

＜桑村真明騎手＞
　前が速かったぶん砂を被って嫌気さしてしまって、ハミも抜けてそのままズルズル下がってしまいました。