重賞レース

第2回若武者賞(SIII)

2024年9月5日

9月4日 第53回戸塚記念(SI)

レースガイド RACE GUIDE

2018年に準重賞に格上げ、2023年より南関東SIII競走に格上げされた。
準重賞に格上げされた2018年以降で馬券に絡んだのは全て5番人気以内、かつ、新馬戦で連対していた馬。この時期に好走するにはそれなりの仕上がりが求められる。
川崎で唯一1,500mで行われる重賞で、スタートの良さも鍵となる。
【1・2着馬に鎌倉記念への優先出走権を付与】

コースガイド

4コーナー出口からのスタート。最初の1コーナーまでの距離が400mと長く、1400mと比べてテンが早くなりやすい。基本的には逃げ・先行馬が有利な傾向だが、先行争いが1~2コーナーまで続いた場合は差し馬の台頭も。

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1・2番人気のいずれかを軸に、上位人気馬のBOXがおすすめ

※データは重賞格上げ前を含む、過去10年分(2014~2023年)を対象にした。

軸は1・2番人気のいずれか、6番人気以下にも妙味

 1番人気は4勝2着3回3着1回、2番人気は4勝2着1回3着2回。2頭揃って連対を外したのは2017年のみで、馬券の軸はいずれかとするのが良さそう。

 2017年以前は6番人気以下が穴を開ける事もあったが、準重賞に格上げされた2018年以降馬券に絡んだのは全て5番人気以内。

 上位人気馬をどう組み合せて買うかが鍵となる。
【単勝人気別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1番人気 4 3 1 2 70.0 % 80.0 %
2番人気 4 1 2 3 50.0 % 70.0 %
3番人気 1 1 1 7 20.0 % 30.0 %
4番人気 0 3 4 3 30.0 % 70.0 %
5番人気 1 1 1 7 20.0 % 30.0 %
6番人気以下 0 1 1 47 2.0 % 4.1 %

地元川崎が奮闘

 連対率、複勝率で見ると浦和所属馬が頭ひとつ抜け出しているが、馬券に絡んだ6頭中5頭は1・2番人気(10番人気2着は準重賞となる前)。

 準重賞格上げ以降は地元川崎所属馬が出走頭数が多いながらも毎年馬券に1~2頭絡んでいる。

 尚、大井所属馬はわずか4頭の参戦に留まるが、2着1回3着2回と出走してきたら要注意だ。
【所属別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
大井 0 1 2 1 25.0 % 75.0 %
船橋 3 2 2 13 25.0 % 35.0 %
浦和 3 3 0 11 35.3 % 35.3 %
川崎 4 4 6 44 13.8 % 24.1 %

牡馬が断然

 牡馬が9勝2着9回3着8回と断然。

 牝馬が優勝したのは準重賞格上げ前で、後に重賞を勝つゴールドパテックだった。

 この年は出走馬の半数以上が牝馬で、2・3着にも牝馬が割って入っていた。
【性別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
牡馬 9 9 8 39 27.7 % 40.0 %
牝馬 1 1 2 30 5.9 % 11.8 %

外枠有利、4枠は割引

 5~8枠が8勝2着5回3着6回で、1~4枠の2勝2着5回3着4回より優勢。

 経験の少ない2歳戦では揉まれにくい外枠が有利という事だろうか。

 4枠は2着1回のみと狙いにくい。
【枠順別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1枠 1 1 1 7 20.0 % 30.0 %
2枠 1 2 1 6 30.0 % 40.0 %
3枠 0 1 2 7 10.0 % 30.0 %
4枠 0 1 0 10 9.1 % 9.1 %
5枠 2 2 0 7 36.4 % 36.4 %
6枠 1 0 1 11 7.7 % 15.4 %
7枠 3 1 4 8 25.0 % 50.0 %
8枠 2 2 1 13 22.2 % 27.8 %

前走連対馬が中心。460キロ以上の馬格が欲しい

 準重賞格上げ以降、前走で連対を外していた馬は3着が2回あるのみで、連対を外していた馬は狙いにくい。

 レース経験が新馬戦の1戦しかない馬は、昨年グラッシーズマンが優勝したが、それまでは8頭で2着1回、3着2回のみ。

 2017年以降、馬券に絡んだ21頭はすべて新馬戦で連対実績があり、この時期に好走するにはそれなりの仕上がりが求められる。

 3勝馬は2勝2着1回4着以下3回、2勝馬も3勝2着3回3着3回4着以下5回で、暑い時期に走り過ぎていないか十分に確認する必要がある。

 馬券に絡んだ30頭中24頭は前走での馬体重が460キロ以上あった。逆に460キロ未満の馬は1勝2着5回で2頭以上馬券に絡んだ年は無い。

 尚、未勝利馬の馬券絡みは2018年で優勝したカネトシテッキン(2着3回5着1回)のみ。
ライター:友好春

ヤギリケハヤ
ファイアトーチ

ルーキーズサマーカップ(2024/08/21)

ベアバッキューン

初陣賞(2024/08/08)

レッドサラマンダー

オオクワガタ特別(2024/08/07)

ミヤギエンペラー

シャイニングヒーロー賞(2024/07/25)

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

第2回若武者賞(SIII)

注目馬情報

ベアバッキューン (牡2歳 川崎・鈴木義久厩舎)

写真:真鍋元

 能力試験から別格、絶好のスタートから勢いよく飛ばすと最後は36秒6の上がりタイムで駆け抜け、48秒9の破格な好タイムを弾き出した。デビューすると8馬身、7馬身と突き離す圧勝で2連勝している。立派な馬格も魅力で、抑えるレースにも対応できるよう併せ馬の調教を積んできたが、スタートの速さはケタ違い。

「ハナにこだわるわけではないし、パワーついてくれば大物感ありますね。前走ではぴったりマークされたわりに最後は突き離した。道悪でも気にしないし、血統からも距離は大丈夫だと思う」と町田直希騎手。

ミヤギエンペラー (牡2歳 川崎・高月賢一厩舎)

写真:真鍋元

 デビュー戦は快勝したが馬がまだ遊びながら走っているような幼さを見せていた。2戦目は抑える競馬から早めに動いて3着だったが、タイムは上々。デビュー戦から1400mを選択したのは先々距離を延ばす予定があったからで、さっそく3戦目で重賞戦線に乗った。ポジションにこだわらない競馬ができるのは強みになっていくだろう。1500mも前走で経験している。

「デビューから乗っていますが、新馬戦でフワフワしていたので前走は後ろから競馬をさせてみましたがいい内容でした。今回もそういうかたちで競馬したいですね。砂をかぶっても平気でした」と笹川翼騎手。

ヤギリケハヤ (牡2歳 船橋・張田京厩舎)

写真:真鍋元

 能力試験から手綱を取っていた所蛍騎手(今回のレースは張田昂騎手)が言っていた“負けず嫌いで勝負強い”面がこの馬の魅力。新馬戦では6馬身差をつけて完勝。減量特典があったにせよスピード感にあふれていた。特筆すべきは2戦目で最後は差し返して決着をつけ、このあたりが持ち味の“勝負強さ”なのだろう。前走のルーキーズサマーカップはスタートで狭くなった不利が響いて6着だったが、先行にこだわらず、そのぶん距離延長にも対応できる。

「スタートがスムーズでなかったのが一番大きいですね。間隔はないんですがダメージはないようです。距離は長くても大丈夫だと思うので自分の競馬ができればもっとやれていいと思うよ」と張田京調教師。

ファイアトーチ (牝2歳 浦和・小久保智厩舎)

写真:真鍋元

 デビュー戦は800mを47秒8と鮮やかに初陣を飾った。2戦目でも競り合って勝負強い面を見せハナ差の決着で2連勝をあげた。前走は地元のルーキーズサマーカップに挑んだが、スタートの不利で自分の競馬ができず7着に終わった。中一週と間隔なく臨んできたのは陣営も内容に納得がいかなかったのだろう。本来の先行力を生かした競馬ができればまた違うはず。初の輸送競馬をクリアしてほしい。

「前走はスタートで前をカットされる形になってテンションが上がり、先手も取れなかった。レースのリズムが崩れてしまいました。今度は積極的なレースをしたいですね」と森泰斗騎手。

レッドサラマンダー (牡2歳 川崎・久保秀男厩舎)

写真:真鍋元

 2戦目からは今春デビューしたルーキー佐野遥久騎手が手綱を取っているが減量特典を生かして末脚発揮。後方から一気に猛追した。結果は2着だったが、切れる脚を長く使えるのが身上だ。4戦目の前走では待望の初勝利。川崎1500mを経験しているのはアドバンテージだ。地方競馬で11勝をあげ年度代表馬にも輝いたハッピースプリントが近親にいる血統だ。

「普段は素直なんだが、レースで砂をかぶると怯んで前に進まなくなるところがあるのでパシュファイヤーを着用している。展開に左右されやすいからペースが流れてほしいね。まだ本気で走っていない面もあるが終いの脚はしっかりしている」と久保秀男調教師。

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

写真:真鍋元

 若武者賞。1、2着馬には10月9日に実施される鎌倉記念への優先出走権が与えられるトライアル重賞。2歳の若馬8頭が初タイトルを賭けての戦い。

 先行争いを制したベアバッキューン。ファイアトーチ、ルナフォルトゥーナも先団につけ、よどみのない流れ。軽快に飛ばすベアバッキューン。頭数は少ないが態勢は縦長状態。勝負所からは後続もペースアップしてくるがベアバッキューンとの差は広がるばかり。

 直線に入ると独走状態になったベアバッキューン。最後は9馬身差をつける大楽勝でタイトルを手にした。2着には中団からよく伸びたゴールドモーニン。3着も後方からいい追い上げを見せたプレミアムハンドが入り確定。

 勝ちタイムは1分36秒4(晴・稍重)。

写真:小川慎介

1着 ベアバッキューン

 ややスタートの遅れはあったが、二の脚の速さであっという間に先手を取った。道中はひとり旅状態。直線に入っても脚いろは衰えず、横綱相撲で重賞初制覇。鈴木義久調教師にとっても初めてのタイトル制覇となった。

<鈴木義久調教師>
 まずは無事ゴールしていいパフォーマンスしてくれて良かった。台風の影響もあってオーバーワーク気味ではありました。普段騎手に細かい指示はしないんですけど町田騎手には思いっきり乗ってくれといいました。これからの馬だと思っているので2歳のうちに無理させたくない。3歳の路線が充実しているので来年を見据えながらローテーションを組んでいきたい。今年は全日本2歳優駿が目標です。テン良し、中良し、終い良しというのは強味。生え抜きで川崎競馬を盛り上げるように頑張っていきます。

<町田直希騎手>
 人気だったので緊張して乗っていたんですけど、最後は後ろを見る余裕もあって馬に感謝しています。行ければと思っていましたが、ちょっと出負けしてしまって、二の脚が速くてこの馬の競馬ができました。リラックスして走っていましたね。追い出してからも反応しれました。少しずつ距離延ばして、僕自身も腕を上げてもっと折り合いをつけられるように成長したい。お世話になっている鈴木先生の管理馬での重賞制覇はうれしいし、僕自身も2年ぶりの重賞。これからも馬と一緒に成長していきたい。

2着 ゴールドモーニン

 単勝133.2倍の最低人気だったが、あがり3ハロンの追い上げは見事なもの。揉まれながらも差す競馬ができたのは収穫だ。

<山崎誠士騎手>
 成長を感じます。今までの中で一番良い競馬ができました。ずっと促していないと動かないところがあるので、その辺が解消してくればいいですね。そうすれば器用な競馬ができると思います。距離は延ばしてもいいですね。

3着 プレミアムハンド

 後方からの競馬。最後は伸びてきたが、自分からハミを取ろうとせず、図太い面を見せた。

<矢野貴之騎手>
 出たなりで位置にこだわらず行こうと考えていました。まだ馬に前向きさがないので急かしてもいけないかと。ゴール前の伸びは素晴らしいものがありますが、まだオンになるポイントを摑みきれていない段階。遊び遊び走っているのでブリンカーするかもしれません。

4着 ヤギリケハヤ

 スタートも良く、余裕をもっての先行。内々をロスなく進むも直線の伸びは今ひとつだった。

<張田昂騎手>
 終始フワフワしていた。スタートは良かったけど、無理について行かなくてよかった。大事に乗って、若さある現時点でのこの馬の競馬はできた。距離は短い方がよさそう。

5着 ミヤギエンペラー

 リズム良く追走し、いい感じで4コーナーを2番手まで上がってきたが、最後の詰めが甘くなった。

<笹川翼騎手>
 もっとパワーをつけたいですね。センスもあるしこれからの馬だと思います。

6着 レッドサラマンダー

 1頭離れた最後方からの競馬。6着ではあったが、最後はいい追い上げを見せた。

<佐野遥久騎手>
 馬なりで行き過ぎたので、もう少しついて行けばよかったですね。砂をかぶったときにもう少し我慢してくれれば脚をためて直線伸びてくれると思うんですけど。

7着 ルナフォルトゥーナ

 無理なく先行し、道中の感じも悪くなかったが、直線に入ると完全に脚が上がっていた。

<本橋孝太騎手>
 背中がすごくいい馬なので、これからトモに力がついて成長してくればいいですね。川崎の砂も合うと思います。

8着 ファイアトーチ

 2番手追走も、3コーナー過ぎから手応えがあやしくなった。直線に入ると気持ちも抜け、しんがり負けと意外な結果に終わった。

<森泰斗騎手>
 前走気にしたテンションは大丈夫でしたが、初コースで物見をしていました。まだ子供っぽい面があるので馬体も精神面も成長待ちですね。

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
1 令和5年 グラッシーズマン 牡2 和田 譲治