重賞レース

第27回クラウンカップ(SIII)

2024年4月2日

4月3日 第73回川崎記念(JpnI)

レースガイド RACE GUIDE

南関東で2024年度に行なわれる最初の重賞レース。
1~5番人気馬が揃って2勝以下、2015年には三連単618万3360円の超高額配当となるなど波乱も多い3歳重賞。
2018年から同じ川崎1,600mを舞台としたつばき賞(2020年からは椿賞)がトライアルレースとなり、近5年はその勝ち馬が4勝3着1回。
2024年は同じ川崎で3月に行われるネクストスター東日本(1,400m)からの転戦馬にも注意を払いたい。
【1着馬に東京ダービーへの優先出走権を付与】

コースガイド

4コーナーのポケットから発走し最初のコーナーまで500mあり、さほどハイペースにはなりません。差し馬にとってはカーブがきつい3コーナーでうまく立ち回ることが求められます。

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東京ダービーへの切符を求める3歳重賞は波乱の期待大

※データは過去10年分(2014~2023年)を対象にした。

7回で三連単3万円以上、人気薄を如何に拾えるかが鍵

 1番人気こそ2勝2着2回3着1回とまずまず信頼できる数字だが、2~5番人気馬が揃って、2勝以下・連対率30%以下と信頼に足りない。

 2023年が1・3番人気が1・3着、2021年が1~3番人気で、2019年が2~4番人気で決まった以外は、1~3番人気から2頭が3着以内となった事はなく、6番人気以下が激走している。

 前述の3例以外の7年は三連単の配当が3万円以上、2015年は618万3360円と大波乱。人気薄を如何に拾えるかが鍵となる。

【単勝人気別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1番人気 2 2 1 5 40.0 % 50.0 %
2番人気 2 1 0 7 30.0 % 30.0 %
3番人気 1 1 3 5 20.0 % 50.0 %
4番人気 2 0 1 7 20.0 % 30.0 %
5番人気 1 1 1 7 20.0 % 30.0 %
6番人気以下 2 5 4 71 8.5 % 13.4 %

近年の傾向は人気に推された船橋所属馬だが、大井・川崎の人気薄も一考

 浦和所属馬が5勝3着2回。これは全て近7年間によるもので、1・1・2・3・4・5・7番人気だった。勢いならこちらか?

 連対率・複勝率なら船橋所属馬。3勝2着7回3着1回。近6年連続で馬券に絡んでいる(1・2・2・3・3・3・5・6番人気)。

 上位人気馬から選ぶなら船橋所属馬か浦和所属馬が良さそうだ。

 大井所属馬の1~3番人気は全て着外。その代わり、10年で勝ち馬は無いが5・10・10・12番人気の4頭が馬券絡み。出走してきたら人気薄から穴馬を探したい。

 地元川崎所属馬は出走頭数が多い割りに2勝2着2回3着4回といまひとつだが、1・3・4・8・8・9・11・12番人気と両極端。こちらも穴馬に注意したい。

【所属別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
大井 0 1 3 18 4.5 % 18.2 %
船橋 3 7 1 23 29.4 % 32.4 %
浦和 5 0 2 24 16.1 % 22.6 %
川崎 2 2 4 37 8.9 % 17.8 %

断然牡馬

 牝馬は8頭が参戦し、2016年3戦全勝で挑んだディーズプリモの3着があるのみ。

 一線級牝馬は直前に行われている桜花賞に参戦している事が多く、余程の事がない限り厳しい。

【性別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
牡馬 10 10 9 95 16.1 % 23.4 %
牝馬 0 0 1 7 0.0 % 12.5 %

枠順による有利不利はほぼ無い

 6枠が3勝3着2回と頭1つ抜けているが、両隣の5・7枠が1勝止まりで信頼するには至らない。

 連対率・複勝率では内枠の方がやや有利な数字となっているが、枠順による差はほぼ無いと考えて良いだろう。

【枠順別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1枠 0 2 1 7 20.0 % 30.0 %
2枠 1 1 2 5 22.2 % 44.4 %
3枠 2 1 1 12 18.8 % 25.0 %
4枠 2 2 1 14 21.1 % 26.3 %
5枠 1 0 1 17 5.3 % 10.5 %
6枠 3 0 2 14 15.8 % 26.3 %
7枠 1 1 1 17 10.0 % 15.0 %
8枠 0 3 1 16 15.0 % 20.0 %

椿賞勝ち馬か、重賞参戦馬の巻き返しか

 2018年から同じ川崎1,600mを舞台としたつばき賞(2020年からは椿賞)がトライアルレースとなり、近5年はその勝ち馬が4勝3着1回、2着馬も2頭が再度2着になっている。

 但し、2024年は同じ3月開催時にネクストスター東日本競走(1,400m)も実施されるため、こちらからの転戦馬にも注意をはらいたい。

 京浜盃出走組も3勝2着1回3着5回と好相性。3・4・6・7・8・10・11・12着からの巻き返しで、内3頭は優勝している。警戒が必要だ。

 雲取賞出走組は1勝止まりも2着6回3着3回と紐に一考。

 ニューイヤーカップ出走組は3勝2着3回3着2回。三連単618万・21万とと大荒れとなった際の1・2着馬はニューイヤーカップ出走組だった。ちなみに同レースで2着だった4頭は全て馬券に絡んでいる。

 穴馬を探す際に注意したいのは、近2走で4着以内がなかったのは2018年1着スプリングマンと2023年2着ナイトオブバンド(2走前は中央芝に参戦、3走前に盛岡で2着有り)の2頭のみで大敗続きからの一変は難しい。

 最後に、前走から騎手が替わった馬が毎年馬券に絡んでおり、8勝2着4回3着5回で計17頭もいる事を付け加えておく。
ライター:友好春

アムクラージュ
アジアミッション
チャダルクン

ネクストスター東日本(2024年3月14日)

クニノトキメキ

椿賞(2024年3月13日)

シシュフォス

アクアマリンカップ(2024月3月5日)

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

第27回クラウンカップ(SIII)

注目馬情報

■シシュフォス(牡3歳 船橋・佐藤裕太厩舎)

写真:真鍋元

 道営3勝で船橋に移籍。初勝利が6戦目と成長に時間はかかっていたが、転入戦は1700mをコンマ5秒差をつけてあっさり逃げ切った。自ら調教をつけている佐藤裕太調教師も心身共に成長しているのを感じている。道営時代は1700mを中心に使われていたように、今回だけでなく距離延長されてからも生かせるスタミナは武器になっていきそうだ。

「道営のあとは茨城の牧場で軽くコンディションを整えてから入厩した。前走の体重増は成長分ですね。パドックで入れ込んだり物見をしたり、まだ荒削りで幼さはありますがレースでは折り合いもつきます。左回りの船橋内コースで乗っている動きはスムーズですよ。100m距離短縮だけが不安材料ですね」と佐藤裕太調教師。

■アジアミッション(牡3歳 川崎・山崎裕也厩舎)

写真:真鍋元

 デビューからすべて掲示板にのり、重賞レースでも好走する堅実派。このところは差しに回ることが多いが、集中力を切らさず折り合いがついて精神面でもひと回り成長した。ネクストスター東日本では道中包まれる不利がありながらもレース最速の上がりで3着まで迫った。8番人気を考えれば健闘だろう。今回は巻き返しを図りたい。

「前走は下がってきた馬の後ろになってしまって身動きが取れなかった。枠順も良いし改めて期待したい。デビューの頃は気持ちの強さが先立っていたが今はだいぶ落ち着きが出てきたのがわかる。間隔が2週間しかないので目一杯ではなくても仕上がっているし併せ馬の動きは良かった」と山崎裕也調教師。

■クニノトキメキ(牡3歳 船橋・張田京厩舎)

写真:真鍋元

 トライアルの椿賞を差し切り勝ちして重賞初挑戦。器用さのあるタイプではないが、じりじりと伸びて長く脚を使えるのが強味。ヨーイドンになる競馬は不向きなのであとは流れ次第。まだ幼さもあって自分でハミを外そうとする面があるので、ハミを取らせるためにマルタンを着用してカバーしている。

「前走は頭数も少なかったぶん捌きやすかった。距離は長くても問題なく、マイル以上の馬ですね。エンジンの掛かりの遅いタイプではありますが使うたびに良くなってきているので、流れ次第では十分チャンスはあると思う」と今野忠成騎手。

■チャダルクン(牡3歳 大井・赤嶺本浩厩舎)

写真:小金井邦祥

 スタートが課題。初めての重賞挑戦だったネクストスター東日本ではタイミングが合わず後方からの競馬になったが、長くいい脚を使って5着まで追い上げた。初物尽くしのなかでの入着は上出来。結果的に抑える競馬になったがむしろ収穫のある一戦だったと言えるだろう。デビューから掲示板を外していないように競馬が上手で、川崎コースへの適性も確認できた。

「前走もゲートの中でうるさく、出遅れてしまった。それでも最後はひとあし使って伸びてきたから力はあるんだ。中間はゲート練習を積んできたしうまくうまくスタートを切れるかが鍵だね」と赤嶺本浩調教師。

■アムクラージュ(牡3歳 浦和・藤原智行厩舎)

写真:真鍋元

 デビューから500キロを超える大型馬だが成長が早く、昨年8月のルーキーズサマーカップでは大外枠から早めに先頭に立つ強い内容で後続を5馬身突き離す完勝。鎌倉記念やニューイヤーCでは抑える競馬にも対応できるようになり、以前の叩きつけるような走りからストライドが伸びて走りが軽やかになった。どこからでも競馬ができる器用さがあり、ホッコータルマエ産駒で距離マイルもこなすだろう。

「前走は2コーナーでバランスを崩して頭を上げ、前との間隔が開いてしまった。それでも手応えはなくならなかった。距離はマイル以下が理想だが、追い切りでの動きも良かったし叩き2戦目で先々につながるレースをしてほしい」と藤原智行調教師。

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

写真:真鍋元

 クラウンカップの1着馬には東京ダービーの優先出走権が与えられるトライアル重賞。

 13頭が出走し、白熱した戦いになった。

 スタートから積極的に主導権を取ったのはツキシロ。外からダッシュが良かったライゾマティクス、ビスマルクが2、3番手。インコースにシシュフォスも加わり、先団を固めた。道中はよどみのない流れで隊列は縦長状態。4コーナーまでは大きな動きもなくあとは直線勝負。内にいたシシュフォスが直線外に持ち出すと、半ばでは先頭に立ちそのまま押し切った。

 2着には直線いい脚で伸びたアムクラージュがコンマ3秒差まで迫った。3着は中団から追い上げたアジアミッションが入り確定。

 勝ちタイムは1分44秒4(晴・稍重)。

写真:小川慎介

1着 シシュフォス

 先行力があり、逃げ馬の後ろでうまく折り合い、無駄のないレース運び。上がりもレース最速と完璧な内容で重賞初制覇を成し遂げた。将来的にも楽しみな一頭。

<佐藤裕太調教師>
 泰斗くんにお任せでしたが、シシュフォスの特徴を掴んでくれていて完璧な騎乗で勝利に導いてくれました。調教で騎乗している感じだと物見をしたり、まだ幼いところがあるんですけど、集中して走ってくれていいパフォーマンスが引き出せました。今日は距離の短さが課題。克服してくれましたが、距離がもっと長ければいい競馬ができたでしょう。このあと順調であれば東京湾カップを使いたいと思います。その先はうまく行けば東京ダービーに挑戦したいですね。

<森泰斗騎手>
 北海道でどんな競馬もできるようによく教えられてきたんだと思います。上手に立ち回ることができました。マイルは半信半疑でしたが川崎マイルの定石通りの競馬ができました。距離延びてさらにいい馬だと思います。裕太厩舎のすごく良い環境で仕上げられて、僕はいいタイミングで乗せてもらいました。感謝申し上げます。

2着 アムクラージュ

 勝ったシシュフォスの一列後ろからの競馬。直線の伸び脚も良く2着も、力差を感じさせないレース内容だった。

<御神本訓史騎手>
 窮屈なところもあったけど、我慢できた。まだ緩さがあるので良くなる余地はあります。

3着 アジアミッション

 差し脚が板につき、終いは確実に伸びてくる。デビュー戦からすべて掲示板に載る堅実さが売りだが、重賞で勝ち負けするにはもうひとパンチほしい。

<山崎誠士騎手>
 前回はハマってしまったけど、今日はスムーズに行ってこれまでの課題もクリアできたがあともう一段階パワーアップしてほしい。本当は泰斗さんか御神本さんの位置で競馬したかったですね。枠的に取れなかったのが悔しい。どこかでチャンスはあると思います。善戦マンは脱したい。 

4着 ツキシロ

 展開的にも楽な逃げではなかったが、粘り強さは見せた。自己タイムも大幅に縮め、成長が感じられる。

<野畑凌騎手>
 前回より馬っぷりも良くなっていましたし、行こうと思ってました。いい競馬ができました。4コーナーでは一発あるなと思ったくらい力もあります。最後は矢野さんの馬にも競り勝っているし根性もありますね。道中噛んでいたので、もっとリラックスして走れるようになれば先々チャンスある馬だと思います。距離は1500,1600mくらいがベストでしょう。

5着 ライゾマティクス

 好スタート、好ダッシュで楽に2番手追走も、直線の伸び脚を欠いた。良い頃の走りと比べると少し物足りない。

<矢野貴之騎手>
 リズム良く運べたんですが・・最後は走りきっていない感じ。まだ馬に緩さがありますね。ここまでは能力だけで勝ってきたんだと思います。

6着 クニノトキメキ

 後方から追い上げてきたが、まだ自分からハミを取って走ってはおらず、気性面の課題は残る。

<今野忠成騎手>
 自分の走りはできたけど渋いですね。もう少し外から捌ききれれば違うんでしょうが、あんなに横に5、6頭いたんではその外を回るわけにはいかなかった。馬が競馬を覚えてくれば。

7着 ゴールデンブザー

 距離の幅は広く、マイルとも問題がないが初めての重賞挑戦で相手も強化。流れに乗りきれなかった。

<和田譲治騎手>
 スタートは出たんですけどね。行き脚がつかなくて外から被されながら。そのあとも砂を嫌がって外にもたれてしまった。前進気勢は見られなかった。上がっていこうとしたがエンジンが掛からなかった。

8着 クリコマ

 後方から直線勝負に懸けたが、重賞では少し荷が重い。

<笹川翼騎手>
 ちょっと馬込みを嫌ったりして精神的な課題は見えましたね。末脚もいいものを持っているのでその辺が噛みあってくれば変わってくると思います。広いコースの方が合いそうですし、そういう点からも上積みはありそうです。

13着 チャダルクン

 前半は好位につけていたが、3コーナー当たりから脚いろがあやしくなり直線はバテていた。

<岡村健司騎手>
 返し馬からちょっと元気がなかった。距離も長かったですね。

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
26 令和5年 ポリゴンウェイヴ 牡3 山口 達弥
25 令和4年 フレールフィーユ 牡3 和田 譲治
24 令和3年 ジョエル 牡3 張田 昂
23 令和2年 ウタマロ 牡3 酒井 忍
22 令和元年 ホールドユアハンド 牡3 戸崎 圭太
21 平成30年 スプリングマン 牡3 左海 誠二
20 平成29年 ローズジュレップ 牡3 吉原 寛人
19 平成28年 ガーニーフラップ 牡3 的場 文男
18 平成27年 ウインバローラス 牡3 柴田 大知
17 平成26年 ワタリキングオー 牡3 的場 文男
16 平成25年 アメイジア 牡3 吉原 寛人
15 平成24年 キタサンツバサ 牡3 繁田 健一
14 平成23年 ナターレ 牝3 的場 文男
13 平成22年 ポシビリテ 牡3 松岡 正海
12 平成21年 サイレントスタメン 牡3 金子 正彦
11 平成20年 モエレラッキー 牡3 張田 京
10 平成19年 エスプリベン 牡3 今野 忠成
9 平成18年 サンキューウィン セ3 左海 誠二
8 平成17年 ブラウンコマンダー 牡3 張田 京
7 平成16年 ブルーローレンス 牡3 的場 文男
6 平成15年 ウィンブロー 牡3 石崎 隆之
5 平成14年 キングセイバー 牡3 酒井 忍
4 平成13年 シングルトラック 牡3 堀 千亜樹
3 平成12年 ピーエムカイザー 牡4 佐藤 隆
2 平成11年 キタノダイマジン 牡4 桑島 孝春
1 平成10年 ハードサインカラー 牡4 佐々木 竹見