コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

平成21年度第9回開催 ローレル賞 他

11月9日~13日の開催では、2歳牝馬によるローレル賞が11日に、3歳牝馬によるロジータ記念が12日に行われました。活躍を見せたのは町田直希騎手。ローレル賞では2着、ロジータ記念では、船橋のタカヒロチャームを重賞初制覇に導きました。 今回はこの2つの重賞と、開催最終日に行われた2009秋・川崎ジョッキーズカップを振り返っていただきました。(聞き手・構成/斎藤修)

2009年11月11日(水)ローレル賞

優勝馬 キョウエイトリガー

斎藤
デビューから圧倒的な強さで2連勝、山崎誠士騎手のスパンキーラビットが注目されましたが、残念な結果でした。
竹見
スパンキーラビットはすんなりハナに行きました。無理して行ったわけでもないし、今までのレースと変わったところもないので、勝っても不思議はないのですが、3コーナーあたりで手ごたえがなくなってしまいました。どうしたんでしょうね。急にバテてしまいました。あとで佐々木仁調教師に、どうしたんでしょうと聞いたら、『竹見さんに乗ってもらわなくちゃ勝てない』と言われました(笑)。
斎藤
柏木健宏騎手のキョウエイトリガーは楽勝でした。
竹見
この馬はダッシュ力があって、楽なレースができました。3~4コーナーでも手ごたえが楽でした。今回は、たしかにスパンキーラビットより、道中の手ごたえはよかったようです。
斎藤
4コーナーで勝ち馬の直後に迫った町田直希騎手のレギュラーサヤカが2着でした。
竹見
スタートで出負けしてしまいました。もう少しすんなりスタートしていれば楽にレースができたと思いますが、テンからちょっと無理して、道中はちょこちょことずっと追っています。普通だったらバテてしまうような展開ですが、これで2着はよく走ったと思います。
斎藤
レギュラーサヤカは、最後は勝ち馬に突き放されてしまいました。
竹見
5馬身も差がついたのは、不良馬場もあったでしょう。良馬場なら、この馬だけでなく、結果は違ったかもしれません。勝ち馬の強さだけが目立ったレースでした。

2009年11月12日(木)ロジータ記念

優勝馬 タカヒロチャーム

斎藤
最後の直線、接戦の叩き合いを制したのは、町田直希騎手のタカヒロチャームでした。
竹見
いいレースをしましたね。よくツクシヒメを差し切り勝ました。町田騎手は東京ダービーも勝っているし、重賞では勝負強いところがあるのかもしれません。
斎藤
町田騎手は、最後、いつも大きいアクションで追ってきます。
竹見
体全体を使って追ってきますね。でも、こういう接戦になると仕方ないです。中央の騎手などはゴール前でもきれいに追ってきますが、地方はやはりダートの質が違って砂が重いですから、自然に力が入ります。最後は、追って、追って、差し切りました。こういう勝ち方は価値があります。
斎藤
2100メートルのレースらしく、1周目のスタンド前では、ガクンとペースが落ちました。
竹見
ツクシヒメの山田信大騎手は、そのあたりでスッと単独で2番手くらいに行けばよかったかもしれません。行かなかったことで、1~2コーナーでは外を回ることになりました。それでも道中はかなり楽をしていたようで、4コーナーあたりでは、直線でもっと伸びるかと思いましたが、案外でした。
斎藤
ゴール前は見ごたえのあるレースでした。
竹見
全員がうまく乗って、どの馬にも不利などはなく、いいレースだったと思います。

2009年11月13日(金)2009秋・川崎ジョッキーズカップ

優勝馬 トウコウホープ

斎藤
勝った山崎誠士騎手のトウコウホープは最後方からの追走でした。
竹見
終いがいい馬なので、最初から押さえていったのでしょう。3コーナー手前から押していって、4コーナーではもう先団にとりついています。この馬は強いですね。馬の力が違いました。
斎藤
2着には増田充宏騎手のキャンビーウノ、3着には郷間勇太騎手のエスプリギャルが、ともに中団よりうしろを追走していて、直線ではよく差を詰めてきました。
竹見
増田君はまじめにやっているし、郷間君もだいぶ乗れるようになってきました。6着でしたが、伊藤君もいいですね。これからもっと数を乗せてもらえれば、うまくなるセンスのいい若い騎手は川崎にはたくさんいますよ。