コラム
佐々木竹見・王者の眼差し
佐々木竹見(ささき たけみ)
元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。
平成21年度第3回開催 関東オークス 他
6月15日~19日の開催では、17日のメインに関東オークス(JpnII)が行われました。断然人気に支持された中央のラヴェリータが5馬身差の圧勝。川崎勢ではアンペアが逃げ粘って3着に入り、復活を感じさせました。 今回はその関東オークスのほかに、金子正彦騎手のヤマニンリコッシェが離れた最後方から差し切り勝ちを見せた18日の第3レース(C3五六七組)と、佐藤博紀騎手のエースオブタッチが快勝した同日のメイン水無月特別(A2下)を振り返っていただきました。(聞き手・構成/斎藤修)2009年6月17日(水)関東オークス
優勝馬 ラヴェリータ
- 斎藤
- 1番人気のラヴェリータは、スタートで出遅れたような感じでした。
- 竹見
- つまづいたのか、かなり出遅れましたね。それでも岩田騎手はすぐにサクラミモザのうしろ、3番手につけました。
- 斎藤
- 1周目の直線でペースが落ち着いても、仕掛けていく馬がいませんでしたね。
- 竹見
- 今回は有力馬が前のほうにいたからでしょう。2コーナーからペースが上がって、あとは緩むことがありませんでした。ラヴェリータは、それを楽に交わして突き放すんですから、このメンバーでは力が抜けていました。
- 斎藤
- 5馬身離されましたが、東京プリンセス賞で3着だったツクシヒメがアンペアを交わして2着に入りました。
- 竹見
- 1番枠だけに、坂井騎手はスタートしてすぐに内のいいところにつけました。道中で楽ができたぶん、最後に伸びてきたのではないでしょうか。
- 斎藤
- 川崎に来て結果を残せていなかったアンペアが積極的に行って粘りましたね。
- 竹見
- 的場文男騎手は出ムチを入れて、飛ばして行きました。今回はそういう作戦だったのではないでしょうか。途中ペースを落として、うまく乗りました。スタートで無理して行ったわりには、最後までよく粘ったと思います。
2009年6月18日(木)C3五六七組
優勝馬 ヤマニンリコッシェ
- 斎藤
- 金子正彦騎手のヤマニンリコッシェが、大きく離れた最後方から差し切ったレースです。
- 竹見
- ヤマニンリコッシェは、スタートもそれほど悪くはなく、行きたくても行けなかったのか、仕掛けずに馬なりで行きました。終いに賭けていたのではないでしょうか。東京ダービーのサイレントスタメンもそうでしたが、金子騎手は常に落ちついて乗っていますね。
- 斎藤
- 今回、具体的にはどのあたりがよかったでしょうか。
- 竹見
- 向正面ではかなり離れていましたが、3コーナーでは無理せず、楽な手ごたえのまま馬群にとりつきました。
- 斎藤
- この馬は、久しぶりの勝利でした。
- 竹見
- 鳥飼調教師は「もう8歳で、なかなか勝てないんですよ」と言っていたんですが、少頭数で流れが落ち着いて、この馬にはいいペースになったのではないでしょうか。
2009年6月18日(木)水無月特別
優勝馬 エースオブタッチ
- 斎藤
- 1番人気は大井のアートルマンでした。
- 竹見
- 川崎マイラーズでも3着に来ているのでアートルマンが強いかと思ったんですが、エースオブタッチは強いレースをしましたね。
- 斎藤
- スタートでは外からエスプリベンが行きました。
- 竹見
- 山崎誠士騎手は、何がなんでもという感じで行きましたね。アートルマンの的場文男騎手も直後の2番手につけました。エースオブタッチの佐藤博紀騎手は的場騎手をマークして、楽に3~4番手に行きました。
- 斎藤
- 3~4コーナーでは佐藤騎手が的場騎手に並びかけて行きましたね。
- 竹見
- このあたりではアートルマンが勝つような手ごたえでしたが、追ってからが案外で、最後はクラシックムードにも差されてしまいました。直線ではエースオブタッチの伸びが違いましたね。この馬は追ってからいい脚を使います。
- 斎藤
- 将来性については。
- 竹見
- エースオブタッチは、5歳ですか。まだまだこれからよくなるかもしれません。重賞にでも出てきたら楽しみですね。