コラム
佐々木竹見・王者の眼差し
佐々木竹見(ささき たけみ)
元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。
平成20年度第12回開催 エンプレス杯 他
牝馬によるJpnIIのエンプレス杯は、TCK女王盃で1、2着のヤマトマリオンとユキチャンに人気が集中しましたが、勝ったのはこれが引退レースのニシノナースコールでした。そして船橋のシスターエレキングが逃げ粘って波乱の結果となりました。 今回は、そのエンプレス杯と、2月23日のうぐいす特別について、佐々木竹見さんに振り返っていただきました。(聞き手・構成/斎藤修)2009年2月25日(水)エンプレス杯
優勝馬 ニシノナースコール
- 斎藤
- ニシノナースコールは、道悪でもゴール前の脚が際立っていましたね。
- 竹見
- 中団の位置どりで、向正面でヤマトマリオンに先に行かれても、まだ持ったままでした。相当手ごたえがよかったのでしょう。それに、道悪がうまかったこともあると思います。
- 斎藤
- 尾形調教師には「最後のレースなので好きなように乗ってきなさい」とだけ言われていたようですが。
- 竹見
- 自信を持って乗っていたのでしょう。3コーナー過ぎで一気に上がって行きました。シスターエレキングの桑島騎手が緩みのないペースで逃げて、ペースがやや速かったので、あそこまで待って仕掛けたんだと思います。
- 斎藤
- シスターエレキングは、よく2着に粘りましたね。
- 竹見
- 馬場が味方したことも大きかったと思います。それと、桑島騎手の思い切りのよさでしょう。
- 斎藤
- ユキチャンはスタートがよくありませんでした。
- 竹見
- ゲートの中で行きたがって、一旦うしろに下がったところでゲートが開いてしまいました。ユキチャンは、スタートをうまく出て、2~3番手に行って自分のペースに持ち込めないと力が出せないですから、残念なレースになりました。大跳びで、道悪も得意ではないようです。
2009年2月23日(月)うぐいす特別
優勝馬 サイレントスタメン
- 斎藤
- サイレントスタメンは、最後方からになりました。
- 竹見
- こういう道悪は、ある程度前に行ったほうがいいんですが、金子騎手は意識的に下げたんでしょうか、落ち着いて乗っていました。1~2コーナーではラチ沿いを回って、無理せず自然に5番手あたりの好位につけました。
- 斎藤
- 直線では、逃げていた1番人気のマスターハンドを差し切りました。
- 竹見
- 直線の脚はすごかったですね。水が浮くほどの道悪で、これほどの脚が使えるレースぶりは将来性があります。
- 斎藤
- 父がレギュラーメンバーですね。
- 竹見
- ロジータの血をひいていて、川崎記念も勝っていますからね。そういうことでも楽しみです。