コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

令和3年度第4回開催 スパーキングレディーカップ 他

 7月5〜9日の開催でメインとして行われたJpnIIIのスパーキングレディーカップは、大井のサルサディオーネが逃げ切って6馬身差の圧勝。ダートグレード3勝目としました。鞍上は大井の矢野貴之騎手でした。  7日に行われた川崎スプリントシリーズ・トウザヨリ賞は、古岡勇樹騎手のヒルドが直線で抜け出し、神尾香澄騎手のゴールドハーレーが外から迫って2着。若手騎手によるワンツーの決着でした。古岡騎手はこの開催6勝を挙げる活躍で通算31勝となり、7月17日の船橋開催から減量が△2kg減となります。  恒例の2021川崎ジョッキーズカップ第6戦は、後方から一気にまくった山崎誠士騎手のサンベリーニが、直線粘る岡村裕基騎手のシンキングポケットをゴール前でとらえての勝利。山崎騎手は本シリーズの合計ポイントで2位に浮上しました。    今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(インタビュー・構成/斎藤修)

2021年7月8日(木)スパーキングレディーカップ

優勝馬 サルサディオーネ

 サルサディオーネは絶好の1番枠に入って、雨の重馬場も味方になりました。ウルトラマリン、リネンファッションもスタートダッシュはよかったですが、無理には競りかけてこなかったので、サルサディオーネはすんなり逃げることができました。サルサディオーネにスタートを決められたら、外の2頭は控えるしかありません。サルサディオーネの矢野騎手は序盤から自分のペースで進めることができました。  武豊騎手のリネンファッションがぴたりと外目の3番手につけて、3コーナー過ぎから追ってきましたが、直線ではサルサディオーネが突き放しました。それにしても6馬身差は強かった。雨の湿った馬場もありましたが、1分39秒0というタイムも優秀です。ただ、もしリネンファッションと枠順が逆だったら、ハナを取るまでに脚を使って、これほど楽には勝てなかったかもしれません。7歳でもまだまだ活躍できそうです。

2021年7月7日(水)トウザヨリ賞

優勝馬 ヒルド

 古岡騎手(ヒルド)はゲートを出ると、行く馬を行かせて、すぐにそのうしろ、内の好位置につけました。このレースだけでなく、古岡騎手はスタート切ってサッといい位置を取りに行くのがうまい。4コーナーでは前の伊藤裕人騎手(フォルチェーロ)の手応えが一杯になったのを見ていて、直線ではその内からうまく抜けてきました。1番人気の森泰斗騎手(グローリアスサード)を差し切ったのだからたいしたものです。超短距離戦だけに、スタートしてすぐに好位置を取れたのが勝因でしょう。古岡騎手は、追ってからも体があまりブレなくなったし、手綱も緩まないところがよくなりました。  神尾騎手(ゴールドハーレー)は3コーナーで大外を回ってきましたが、スタートでダッシュがつかずうしろからになったので、これは仕方ありません。無理して内を突くよりよかったと思います。4コーナーではかなり外に膨れたので、そこをうまく回れるともっとよかった。追ってくるときに手綱を短く持っているのもいいし、デビューしたころよりだいぶ良くなりました。

2021年7月8日(木)2021川崎ジョッキーズカップ第6戦

優勝馬 サンベリーニ

 前は3頭の先行争いになってハイペース、縦長の展開になりました。雨馬場なので先行馬はなおさら逃げたいという気持ちはあったかもしれません。勝った山崎騎手のサンベリーニは後方2番手からの追走でした。  前3頭の外、1番人気の山林堂騎手(アニマート)は3コーナーで後退してしまいましたが、岡村騎手(シンキングポケット)は直線でも先頭で、よく2着に粘りました。  サンベーリニは3コーナーから一気にまくってきて、ゴール寸前で測ったように差し切りました。もともとうしろから行く馬なので、前が速くなって展開も味方したと思いますが、これは山崎騎手の好騎乗です。  先行3頭の真ん中にいた神尾騎手(アキコノユメヲ)は競り合わずに控えて3番手の内につけられるとよかったのですが、調教師からの指示があったのかもしれません、それでも4コーナーまでは2着馬の直後で食い下がっていました(6着)。向正面を向いたあたりでスッと3番手に控えれば、3着くらいはあったかもしれません。ただ4kgの減量がありますから、積極的に前に行こうとする姿勢は悪くないです。