コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見 プロフィール写真

佐々木竹見(ささき たけみ)

元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。

令和3年度第5回開催 スパーキングサマーチャレンジ 他

7月28〜31日の4日間開催は重賞がなく、次開催のスパーキングサマーカップに向けた、準重賞・スパーキングサマーチャレンジが行われました。勝ったのはマイネルナイペスで、中央2勝クラスから転入して7戦目での初勝利となりました。鞍上は山崎誠士騎手でした。 30日のメイン・三浦すいか特別でも好騎乗を見せた山崎誠士騎手のアンダープロミスが勝利。山崎騎手はこの4日間開催で7勝を挙げ開催リーディングの活躍でした。 最終日の3歳馬による仏法僧(ぶっぽうそう)特別は、7番人気ながら神尾香澄騎手のナインボールが5馬身差圧勝となりました。 今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(インタビュー・構成/斎藤修)

2021年7月29日(木)スパーキングサマーチャレンジ

優勝馬 マイネルナイペス

マイネルナイペスは、縦長の7番手からの追走。南関東同士の1600メートル戦で、これほど縦長になるのはめずらしいです。終いの脚を使える馬なので、山崎騎手はあまり前には行かなかったのでしょう。それにしてもこの位置からよく差し切りました。 縦長になったのは前が飛ばしたこともありました。ファーストスキップの西啓太騎手が出ムチを入れていって、ファルコンビークも行き脚がついて並びかけていきました。3番手のブラックジョーは馬が行きたがって今野騎手は抑えきれないような感じでした。 それだけにマイネルナイペスの山崎騎手は、少頭数で馬がバラけたこともあって、うしろからでもレースがやりやすかったと思います。4コーナーを回るところではまだ6番手あたりでしたが、余裕で差し切ることができました。山崎騎手のペース判断が冴えての好騎乗でした。マイネルナイペスはこれまで惜しいところで勝てないレースが続いていましたが、ようやく勝ちました。 先行した中では1番人気のファルコンビークがゴール前まで粘っていましたが、結局、中団よりうしろにいた馬たちが上位3着までを占める結果でした。

2021年7月30日(金)三浦すいか特別

優勝馬 アンダープロミス

山崎騎手(アンダープロミス)は、このレースでもスタート後は後方からでした。ただスパーキングサマーチャレンジと違ったのは、川島正太郎騎手(プロシージャー)がすんなり先頭に立つと、競りかけて行く馬もなくスローに流れたことです。それで向正面中間あたりから早めに位置取りを上げて行きました。4コーナー手前でも楽な手ごたえのまま、前の3頭をとらえにかかりましたが、こういう思い切ったレースは経験がないとなかなかできません。このレースも山崎騎手の好判断でした。馬にもそれなりの能力があったということでしょう。 逃げた9番人気のプロシージャーは、川島騎手がペースを落とせるだけ落として2着に粘りました。これで負けたのではしかたありません。川島騎手もうまく乗りました。

2021年7月31日(土)仏法僧特別

優勝馬 ナインボール

逃げたのは拜原騎手のミステリーパワーで、スタートで落馬した馬が前にいたからなのか、馬がかなり行きたがる感じで縦長の展開になりました。 神尾騎手のナインボールは、外枠からラチ沿いに進路をとって、縦長の4番手から。これほど隊列がバラけると、仕掛けるタイミングが難しいですが、神尾騎手は3コーナーから前をつかまえに行きました。 直線では先行2頭が一杯になりましたから、ナインボールがそのまま抜け出しました。後続も脚色が一緒になって追いかけてくる馬もなく、2着に5馬身差をつけました。縦長でも道中の位置取りと、早めに仕掛けたのがよかったと思います。